ローコストのエントリー市場向けとされ、SDRAMがVRAMとして組み合わされる仕様となっているGeForce4 MX420に、DDR SDRAMが組み合わされたイレギュラーな仕様の製品「TORNADO GeForce4 MX420」がInnoVISIONから登場した。
Nvidia製GPUを搭載するカードの場合、チップ提供時の契約上、その仕様変更(主に拡張)にはNvidiaによる制限がかかっており、ほとんどの場合ベンダ側は、より高速なメモリチップを搭載することくらいしかできない。以前某中堅ビデオカードベンダが新製品に“Quadro化ジャンパ”を搭載しようとしてNvidiaから販売差し止めを受けた例もあり、そう考えると今回InnoVISIONが行ったVRAMチップ換装は“冒険”と言えるだろう。
ただこれにはウラがあるようで、ある有名ビデオカードベンダ関係者によると「DDR SDRAMとSDRAMの価格差がなくなったのと、ローエンド市場のシェア拡大(買い換え需要の喚起)のため、Nvidiaは非公式にGeForce4 MX420 GPUとDDR SDRAMの組み合わせをかなり前の段階で認めている」という。実際そのベンダは現在DDR版GeForce4 MX420カードを製造しているとのことだが、その話を裏付けるかのように、発表されている仕様とは異なり、DDR SDRAMを搭載したGeForce4 MX420カードが入荷したことがあるというショップもあった。ただし、ベンダ側で公式にDDR SDRAMの搭載をうたっている製品が登場したのは今回のInnoVISION製品がはじめて。
カード裏面の型番シール |
型番シールでは“MX(420)TV DDR 64MB AGP”と、DDR SDRAM搭載が明記されている同製品のカード上にはGeForce4 MX420の仕様である“166MHzのSDRAM”を大きく凌ぐ、最高200MHz(DDR 400MHz)駆動をサポートするhynix製の128Mbit DDR SDRAM“HY5DV281622AT-5”を4枚、合計64MB分搭載。実際の動作クロックは不明であるものの、仕様上の最高速で動作するとすれば、3.2GB/秒の帯域を持つ計算になる。
hynix製のDDR SDRAMを64MB搭載する |
価格はコムサテライト3号店で9480円。SDRAMを搭載するモデルとほとんど売価が変わらないまま、メモリ帯域幅がSDRAMの2.7GB/秒から引き上げられたDDR版GeForce4 MX420の魅力は高い。GeForce4 MXシリーズのラインアップが混乱する可能性を秘めてはいるものの、ローエンドビデオカードのスペックはDDR版GeForce4 MX420によって大きく引き上げられることになりそうだ。なお、台湾ブランドの製品ではもはや珍しくなくなりつつあるが、ビデオ端子が出力にしか対応していないにもかかわらず、ビデオ編集ソフト「PowerDirector SE」をなぜか同梱している。
【関連記事】