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“プログラミング”も“アート”表現の一種 ―― NTT ICC、“アート.ビット コレクション展”を開催中

2002年06月29日 03時51分更新

文● 編集部 内田泰仁

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NTTインターコミュニケーション・センター(NTT ICC)は、6月21日から8月11日まで、“プログラミング”と“アート”をテーマとする展示会“アート.ビット コレクション展”を開催している。この展示会では、“テクノロジーとアートの融合がもたらす人間の表現力、創造力の可能性を探求する”というNTT ICCの活動の一環として開催されるもので、コンピューターには欠かすことのできない“プログラミング”や“ソフトウェア”を“アート”のひとつと位置づけ、7つのユニークなテーマに分類されたさまざまなソフトウェアが紹介されている。

“アート.ビット コレクション展”会場エントランスのロゴ。タイトル中の“ビット”は、コンピューターのプログラムのことを示しているとのことだ

展示スペースはごらんのように薄明かりの不思議な空間。会場の雰囲気のせいもあり、普段接するパソコンが、全く別の何かのように感じてしまう
アスキー本社ビルからほど近い、東京オペラシティの4~5階にあるNTT ICC内に設けられた展示ブースには(入場受付は4階、展示ブースは5階)、PC系のイベントよろしくパソコンがずらりと並べられているが、テーブルに近づくと明るく光りだすテーブルライトや全体に薄明かるい照明、さらに壁に大きく映し出されたソフトウェアの実行画面が、サイバーなアートの独特な雰囲気を醸し出している。

それでは、各セクションの紹介と、特に目に付いた作品を順に説明していこう。



Visual Programming Environment
視覚的コンピュータ・プログラミング環境

“プログラミング”というと、プログラムの仕組みを考えることだけでなく、開発言語の習得が必須事項なので、敷居の高さを覚える人が少なくないだろう。しかしこのセクションで紹介されているプログラミング環境は、簡単なルールを示すグラフィックスを組み合わせていくことで、プログラムを作っていこうというソフトだ。本セクションのテーマに“プログラミング言語”という単語が用いられていないのは、そのあたりを表しているのだということだ。

画面内の左側にある、中央が壁に仕切られた黄緑色の“土台”は“ルール世界”で、左のものが右のものに変化する、ということを表している。画面右側は“実行世界”で、プログラムの実行結果はここに表示される
たとえば、右に画面を掲載した『3D-Visulan』では、“(実行すると)AがBになる”という状態の単純な変化にいくつかの“条件分岐”を組み合わせてプログラミングする。最も単純な例として用意されているサンプルプログラムは、“プログラムを実行すると太ったキャラクターが痩せたキャラクターになる”というもので、ブロックを積み上げたようなキャラクターが実行ボタンをクリックすると一瞬で変身する。このプログラム(?)の仕組みは非常にシンプルで、“土台”の左側に太ったキャラクター、右側に痩せたキャラクターを作るだけ。この開発環境の基本は、この土台の上に置かれた実行前/実行後のキャラクター作りなのだ。

さらに大きなプログラムを作るときは、この“土台”をどんどん追加し並べていく。条件分岐を交えつつこれらを組み合わせていくと、下の画面のような『インベーダーゲーム』まで作れてしまうというのだ。 覚えるべきことはいたってシンプルだが、それだけに、思ったようなプログラムを作るのは工夫が必要でちょっと難しい。ただ、やっていること自体はプログラミング言語でプログラムを書くときと同じはずなのに、おもちゃのブロックでお城を作るような面白さだ。



『3D-Visulan』で作られたインベーダーゲーム。画面手前に配置されているのが“実行世界”で、いわゆるゲームのプレー画面にあたる。その背後にずらっと並んだブロックの列がプログラム本体

『MindRover』。これは車のセットアップを行っている画面だ。パーツの機能、他パーツとの連動、さらに重量やスペースを考えながらセットアップしなければ、ライバルに勝つことはできない。対戦するステージのルールにマッチしたパーツセッティングを探ろう
一方、ゲームの一要素として、グラフィカルなプログラミング機能が組み込まれているのが、アメリカはCogniToy社の『MindRover』。このゲームは、車のボディーに、センサーやエンジン、武器などの部品を取り付けて、レースや相撲で敵の車と戦おう、というものだ。一見ありがちな設定に感じられるが、このゲームに出てくる車をプレイヤーは直接操作できず、車は、ボディーに詰め込まれたパーツ類の組み合わせや設定などによって定まる“ルール”によって自動的に動作する。しかも、単純にパーツを置いていけばいいわけではなく、たとえば、“左側のセンサーが反応したら左にハンドルを切る”とか“このレーダーが相手を探知したら武器を使う”というように、搭載したパーツ同士を連結してルールを作るのだ。センサー類の特性とそれにより動き出す各パーツの意味を理解し、さらに、限られたパーツ搭載スペースとパーツ獲得ポイントをどのように組み合わせてルールを作るかがポイントだ。ミニカーのようなかわいらしいキャラクターデザインからくる第一印象とはまったく異なり、かなり頭脳を使わされる。それだけに、思うように車が動き出したときには思わず拍手をしたくなるほど感動する。



こちらがプログラム部分。ここに並んでいるカラータイルにはそれぞれ“カーソルを動かす”“カラータイルを置く”“動作を繰り返す”などといった命令が割り振られているプログラムの実行結果は画面の右側に表示される。左のプログラムの結果は、スマイルマークの描画だ
こちらは色ごとにコマンドが割り当てられた“タイル”を並べていくことで、大きな1枚のタイル絵を描かせるプログラムを作る『ColorFL』。描画プログラム自体もカラータイル、できあがる作品もカラータイル、ということで、いずれも非常にカラフルだ。

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