このページの本文へ

セイコーエプソン、“USB On-The-Go”対応のワンチップコントローラー『S1R72005』を発表

2002年05月29日 19時46分更新

文● 編集部 田口敏之

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

セイコーエプソン(株)は29日、USBのホスト機能とペリフェラル機能に加え、パソコンを使用せずに2つの周辺機器を相互に接続できるUSBの新規格“USB ON-The-Go”(以下OTG)の機能をワンチップ化したコントローラーLSI『S1R72005』を開発したと発表した。9月に量産出荷を開始する予定。当初は月産10万個で、12月までに50万個の出荷を予定している。サンプル価格は1500円。

『S1R72005』
“USB ON-The-Go”の機能をワンチップ化したコントローラーLSI『S1R72005』

OTGは、2001年12月にUSB関連製品の規格策定委員会“USB-IF(Implementers Forum)”が、USB 2.0の追加仕様として策定した、パソコンを介さずにUSB機器同士を相互接続するための規格。“OTG 1.0”に準拠した製品は、USB 2.0/1.1に対応した周辺機器と接続が可能。転送速度として、標準で12MbpsのFS(Full Speed)モードをサポートし、オプションで1.5MbpsのLS(Low Speed)モードと、480MbpsのHS(High Speed)モードをサポートする。

左から半導体事業部IC設計部部長の武井英樹氏、電子デバイス営業本部IC営業推進部の藤原安英氏、半導体事業部IC商品企画室課長の浅田達夫氏
左から半導体事業部IC設計部部長の武井英樹氏、電子デバイス営業本部IC営業推進部の藤原安英氏、半導体事業部IC商品企画室課長の浅田達夫氏

記者説明会において、セイコーエプソン電子デバイス営業本部IC営業推進部部長の藤原安英氏は「パソコンがなくても、相互に通信を行なえる規格としてIEEE1394やBluetoothなどがあるが、もっと手軽に利用できる、パフォーマンスの高いものを求めて、OTGの機能をワンチップ化した。これは、携帯電話などのデジタル機器の普及に大きく弾みをつけるだろう」と述べた。また同氏は「なお、今回の開発は当社のプリンター戦略と同期するものではなく、独自の製品展開に基づくもの」としている。

携帯電話に搭載した場合の利用例
携帯電話に搭載した場合の利用例

続けて、半導体事業部IC商品企画部課長の浅田達夫氏は「OTGは携帯電話にホスト機能を搭載できるので、携帯電話に周辺機器を接続することが可能になる。デジタルカメラやDVカメラなどに搭載することによって、新しい用途の提案ができる。例えば携帯電話は、待ち受け画像や着メロなどのデータ交換が短時間にできるようになる。対戦型のゲームもできるのではないだろうか。カメラ付き携帯電話で撮影した画像もプリンターで出力できるようになり、外部スピーカーやゲームコントローラーも接続できる。また、カードリーダーが利用できるので、SDカードやメモリースティックなどの専用スロットが不要になる」と述べ、「デジタルカメラの場合は、携帯電話を接続してキーボードの代わりにして画像に文字を入れたり、撮影した画像にイラストを取り込んだりできる。加工した画像を直接プリンターで印刷したり、CD-Rに記録できたりする。本製品によって拡張性が一気に広がる」と語った。また、製品の出荷形態として同氏は「携帯電話向けのASSP(Application Specific Standard Product)や、カスタムICとして出荷したい」とした。

『S1R72005』の構成
『S1R72005』の構成。USBトランシーバーをホストとペリフェラルの共用にすることによって省電力化を図っている

S1R72005はOTG1.0規格に準拠し、12MbpsのFSモードをサポートするほか、オプションで480MbpsのHSモードもサポートする。0.25μm CMOSプロセス技術を採用し、ホストとペリフェラルの両機能に加えて、OTG機能をワンチップに集積している。コントロール、バルク、インタラプト、アイソクロナス転送をサポートする。また5本の汎用エンドポイントおよびエンドポイント0をサポートしている。12MHzの水晶振動子(内蔵発振回路使用)と、27MHz/48MHzの水晶発振器入力に対応する。3.3V/2.5Vの2電源動作(I/O部電源3.3V、内部動作電源2.5V)で、USBトランシーバーをホストとペリフェラルで共用することによって省電力化を図っている。パッケージは64ピンの薄型QFPと、81ピンのCSP。

なお、同LSIを搭載した具体的な新製品については、関連各部署から発表するとしており、記者説明会では発表されなかった。

会場で行なわれていたデモンストレーション
会場で行なわれたデモンストレーション。S1R72005を搭載した評価ボードをホストとして、同社のインクジェットプリンター『PM-850C』を接続し、プリントアウトを実行していた
評価用ボード上のS1R72005
評価ボード上のS1R72005

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン