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【ビジネスシヨウ 2002 TOKYO Vol.3】特別講演にアドビCEOが登場――電子署名機能搭載の次期Adobe Acrobat Readerをプレビュー!

2002年05月27日 23時24分更新

文● 千葉英寿

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東京ビッグサイト(東京・有明)において開催された“ビジネスシヨウ 2002 TOKYO”の3日目、5月23日に米アドビシステムズ社の社長兼CEO、ブルース・チゼン(Bruce Chizen)氏が特別講演を行なった。アドビシステムズは、IT関連一色となった同展示会においてAdobe PDFを中心にビジネス向けの電子認証、電子署名ソリューションと新たに加わったAdobe Accelio製品を展開したが、講演ではそれらのソリューションを紹介するとともに次世代のAcrobat Readerが初公開された。

ブルース・チゼン氏
アドビシステムズ社の社長兼CEO、ブルース・チゼン氏

チゼン氏はまず、「年商12億ドル(約1500億円)を超え、製品が21言語にローカライズされ、25ヵ国に事業拠点を持つ世界企業であり、創業以来20年ソフトウェア業界におけるトップ企業である」と同社の概要を改めて確認した。続いて、Adobe PDFテクノロジーを全世界で5億ユーザー以上が採用し、政府機関や法規制を受ける産業が依存するファイルフォーマットであると紹介し、PDFをハンドリングできるAdobe Acrobatの優位性を確認した。

チゼン氏は、2002年はAcrobatを顧客ベースで50%の拡大を目標としているとした。また、企業のビジネスプロセスを顧客、パートナー、社員に拡張することで2004年までに43億ドル(約5373億円)以上の市場へ引き上げるとした。

その導入事例として、国内のメーカー2社の例を紹介した。まず、医薬品メーカーの第一製薬(株)では、新薬開発において、関係官庁への膨大な資料をPDFを活用した電子申請で行なうことで効率化、スピードアップを図っている。また、計測機器メーカーの横河電機(株)は、各国の拠点に向け送っている情報をPDFで配信したところ、50%以上のコスト削減に成功したという。さらにオンライン注釈機能を使うことで、関係者が速やかに直接、コメントすることができるようになったとした。

さらにPDF導入の取り組みとして、政府関連の状況も説明された。米国の“政府ペーパーワーク軽減法”など各国で電子政府への取り組みが進んでいるが、ドイツの“ブントオンライン”は電子調達システムが確立しているという。また、日本での活用事例として、法務省文書課がPDFならびにAcrobatを活用、47都道府県はPDFを採用しており、申請書フォームでサービスを自動化したり、行政情報や議会議事録をオンラインで流したりしている。

●PDF戦略に“Adobe Accelioソリューション”を追加

今回、このPDF戦略におけるアドビ製品群に新たに“Adobe Accelioソリューション”が加わった。Adobe Accelioはドキュメントベースのビジネスプロセスを効率化、高速化するサーバソリューションで、電子フォームによる情報収集を行なう『AdobeAccelio Capture』、ビジネスプロセスに必要な情報と人を統合する『Adobe Accelio Integrate』、PDFをはじめとするさまざまな形態のアウトプットを可能にする『Adobe Accelio Present』がある。

愛媛県ではこのCaptureとIntegrateを採用しており、岐阜県は雇用申請などで活用している。Adobe Accelioは、他社技術との連携も重視しており、富士通や三菱電機、日立をはじめ、マイクロソフトのBiztalk、SAPのSAP R/3、オラクルのsBusiness Suiteとも連携している。

ここでAdobe Accelioについて、アドビシステムズのエヴァンジェリストのアステリア・リー氏が登壇し、個人の不動産売買をケーススタディとしてデモンストレーションを行なった。デモでは、基幹システムを中心に不動産ローンの成立を巡って、顧客と金融機関の間でやり取りされる認証や署名といった、これまで文書でのやり取りや担当者が直接確認作業を行なわなければならなかった作業から解放されると解説した。Adobe Accelioを導入することで、より確実で簡単なものに置き換えることができ、生産が向上したと紹介した。

ウェブからの電子申請が行なえるAdobe Accelioソリューションを活用することで、ウェブからの電子申請が行なえる
PDAからもアクセスし、電子署名できるコンパックコンピュータのiPAQのようなPDAからもアクセスし、電子署名できる

●日立の電子認証・電子署名への取り組み

続いて、日本におけるパートナーである(株)日立製作所の情報・通信グループ COO(最高執行責任者)、森内康浩氏が登壇し、同社における電子認証・電子署名への取り組みとPDFテクノロジーを活用した商業登記署名プラグインについて説明を行なった。

森内康浩氏
日立製作所のCOO、森内康浩氏

同社では、設計ドキュメント管理システムを再構築し、手書き資料やWord/Excel文書のPDF化して管理し、配付・回覧をウェブ上で行なうことによる省力化、原本性、長期保存性の実現、電子署名や注釈、変更履歴によるバージョン管理の実現を目指した。また、また、給与明細を電子メール配付することで、高機密性と改ざん防止を実現し、約6万人の従業員への配付というコストの削減を実現した。そして、約11万枚の社員IDカードを配付し、電子署名で個人認証を実現した(現在、特許出願依頼申請を検討中)。

また、同社はPDFの関連技術として、PDFプラグインを使った『商業登記署名プラグイン』の販売を3月26日に開始している。法務省では4月1日から登記所への会社関係書類の提出に電子署名付きのPDFファイルでの電子提出を行なうことが可能とする告示を行なっている。同社の『商業登記署名プラグイン』はこの“電子的な”商業登記を実現する上での重要なソリューションと言える。

日立の商業登記プラグインの仕組み日立の商業登記プラグインの仕組み

このようにPDFを知り尽くし、社内外でPDFを活用している同社だが、最後に森内氏は、「現在、無償で入手できるAcrobat Readerは電子申請書類への書き込みができません。有償のAcrobatが前提となっている現状では、申請者である市民・個人に普及させるための新たなソリューションが必要だと考えます。アドビシステムズにはぜひ、これに対応するソリューションをご提案いただきたい」と問題提起をして講演を終えた。

●次期Acrobat Readerをデモ

この話を受けて、チゼン氏は新たなソリューションを準備中であるとし、次期、Acrobat Readerのデモンストレーションを通じて紹介した。

新しいAdobe PDFは、新技術を駆使したインテリジェントなものとなり、次世代のAcrobat Reader(無償)が申請者側に必要な機能、例えば、高度なフォーム機能、ファイル添付、電子署名、フォームの保存といった機能を提供するものとなるとした。さらにXML連携機能により、行政側のサーバx システムにも柔軟に対応できるとした。

デモは『不動産取得税減免申請書』を例にとって行なわれた。

ヘルプが現われる入力エリアにポインタを持ってくると、入力すべき事項のヘルプが現われる
ポップアップメニューから選択氏名の記入エリアには、個人名/法人名などといった氏名の種類をポップアップメニューから選択できる
記入漏れを確認できる記入後にドキュメント上部にある“記入漏れ検査”のボタンを押して記入漏れを確認できる。記入漏れがある場合は、確認を促すダイアログが出てくる。ダイアログのボタンをクリックすると未記入のエリアが自動的に表示される
当然、電子署名機能もある当然、電子署名機能もある
電子署名が無事終了すると署名が表示される電子署名が無事終了すると署名が表示される。電子印鑑システムも問題なく使用できる

今回、公開された次世代Acrobat Readerのリリース時期など詳細は未定だ。法整備や使用環境などが整いつつある電子認証、電子署名だが、使用者がほとんどいない現状に、無償で電子署名できる次世代のAcrobat Readerは、大幅に電子認証・電子署名を推し進める原動力となるだろう。

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