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【BorCon 2002 Vol.4】ウェブサービスには標準争いはない?──BorConキーノートから

2002年05月24日 19時05分更新

文● 編集部 佐々木千之

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カリフォルニア州アナハイムで22日(現地時間)まで開催されていた“13th Annual Borland Conference”(主催:米ボーランドソフトウェア社)が閉幕した。21、22日のキーノートスピーチには米サン・マイクロシステムズ社のジェームズ・ゴスリング(James Gosling)氏と米インテル社のクリス・トーマス(Chris Thomas)氏が登場し、それぞれの立場からネットワークを通じたウェブサービスとはどういうものかを語った。

Javaはコミュニティーでありマーケット

ゴスリング氏は米サンの副社長兼フェロー(特別の功績を挙げた技術者に与えられる肩書き)で、“Java”言語の設計、コンパイラーやバーチャルマシンのインプリメントを行なったプログラマーとして知られている。

米サン・マイクロシステムズ社のジェームズ・ゴスリング氏
米サン・マイクロシステムズ社のジェームズ・ゴスリング氏。Javaのマスコットである“Duke”のTシャツで登場。プレゼンテーションに使っているのはWindowsマシンではなく、PowerBook G4

ゴスリング氏は、1980年代のJavaの誕生とその開発の経緯から語り始めた。ネットワーク化された家電のためのコンピューティングの研究を行なっていたとき、家電のためのプログラミングでは、従来のコンピューター向けのものとはまったく違ったものが必要だということに気づいたという。家電はさまざまな種類のものが雑多に、かつ非常に大量に存在しており、高い信頼性とセキュリティー、そして使いやすさも必要だということだ。

具体的には、家電はメーカーによって、CPUなどハードウェアはまったく異なり、1つの解決策がすべてに通用することはあり得ない。スケーラビリティーの点ではスマートカードからスーパーコンピューターまでを考慮しなくてはならず、また製品が出た後から追加策を講じるのは非常に難しい、など多くの要求があった。これに応えるべくゴスリング氏が作り上げたのがJavaだ。Javaは不均一/雑多な現実に対して、均質な眺めを提供するのだという。

米Cyberonicsの“e-GasStation”
米Cyberonicsの“e-GasStation”

Javaはいまや携帯電話、PDA、ビルディング、自動車、トースターなど、裾野がどんどん広がっているという。その1つの例としてゴスリング氏が紹介したのが、米Cyberonics社の“e-GasStation”システムだ。壇上に登場した給油機には米aJile Systems社のJavaチップが組み込まれており、ガソリンの販売量、ガソリンタンクの残量、音頭など各種のセンサーの情報をネットワークを通じて集中的に監視/管理できるという。

e-GasStaionに取り付けられたセンサーからのさまざまな情報は一元的に管理できる
e-GasStaionに取り付けられたセンサーからのさまざまな情報は一元的に管理できる

またゴスリング氏はJavaのロードマップはJavaの(開発者の)コミュニティーが決めるとした。Javaは“製品”ではなく、“コミュニティー”であり“市場”なのだという。実際、Javaのコミュニティーの集まりである“JCP(Java Community Process)には、200以上ものエキスパートグループがあり、Javaの発展を支えているとしている。

Javaはコミュニティーであり、市場だ。しかし、製品ではないという
Javaはコミュニティーであり、市場だ。しかし、製品ではないという

ゴスリング氏は最後に、Javaの真実は、エンド・ツー・エンド、サイド・バイ・サイドのソリューションであり、雑多な現実に均質の眺めを提供するもの、そしてJavaは市場であって製品ではないと繰り返し、会場の開発者に対してあなた方がJavaを育てるのだというメッセージを送って締めくくった。

ウェブサービスが業務の効率化を促進する

クリス・トーマス氏は米インテルでチーフ e-ストラテジストを務め、同社のSolutions Market Development Organizationで活動している人物。

米インテルでチーフ e-ストラテジストのクリス・トーマス氏
米インテルでチーフ e-ストラテジストのクリス・トーマス氏

トーマス氏はまず、半導体市場における2001年の大きな景気後退について触れ、「半導体の市場サイクルは過去何度かあったが、こうした景気後退から抜け出るには新たな技術が必要だ」と述べた。トーマス氏によると、今回それにあたる新たな技術というのが、ウェブサービスの技術であり、市場を活性化するe-インフラストラクチャーを作り出すのだという。

トーマス氏は米Acuo社、米Mail-Well社、米Comvia社など、XMLやSOAPなどの標準技術を使ったウェブサービスを展開している企業の実例を挙げ、それが従来のシステムに比べていかに効率的であるかを説明した。

トーマス氏によるウェブサービスの定義
トーマス氏によるウェブサービスの定義

例えば、主に企業向けの印刷ビジネスを展開する米Mail-Wellでは、XML技術を使って、顧客の発注がその担当者のExcelのデータに直接するシステムを導入した。これによって、発注の確認や人為的ミスなどが抑えられ、作業効率は300%にも達し、結果として顧客企業にさらなる拡張サービスを提供できるようになったという。

異なる企業の担当者のExcelデータを、ウェブサービスによって共有するというデモ
異なる企業の担当者のExcelデータを、ウェブサービスによって共有するというデモ。右下のWindows内は別の担当者のデスクトップを示している。他方のデータを変えると、即座にもう一方のデータも更新される

また、スポーツシューズメーカーの担当者が自分のExcelで開いた在庫の数字を変更すると、スポーツ用品店の調達担当者のExcelデータが即座に更新されるという、米Comviaのシステムのデモを行なった。このデモを最初見せようとしたときに、うまく動作しないというハプニングがあった(2度目のトライでは無事動作した)が、トーマス氏が見せたかったのは、このスポーツシューズのデータを共有する際に、コピーして貼り付けるとか、どこかのシステムにログオンするとか、メールにURLのリンクを貼り付けて送るといったことが不要で、ただ単に数字を変更するとそれが反映されるということだという。そして、この技術はJavaと.NETが統合されたものだと紹介し、ウェブサービスにおいてはどちらの標準技術にするかを選ぶ必要はないという。

Javaと.NETはウェブサービスにおいては競合するものではないという
Javaと.NETはウェブサービスにおいては競合するものではないという

トーマス氏によるとウェブサービスの革命はこれからが本番であり、ブラウズの時代から統合やトランザクション、そして自動化やコラボレートへと進んでいくのだと説明した。

ウェブサービスによる革命はこれから拡大する
ウェブサービスによる革命はこれから拡大する

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