(社)日本音楽著作権協会は22日、平成14年度定例記者会見を開き、平成13年度(2001年4月~2002年3月)の使用料徴収額は1052億8000万円だったと発表した。これは、前年度と比べて10億4000万円、1.0%のマイナスで、戦後初めて使用料徴収額が前年度を下回った。
左からJASRAC常任理事の加藤衛氏、会長の星野哲郎氏。加藤氏が主に説明した |
前年度を下回った背景としてJASRACは、「特別な理由があったわけではない。平成12年度は過年度分の収入が45億円ほどあったが、平成13年度は5億9000万円であり、それが大きい。過年度分などを差し引くと、2.9%のアップになる」と説明した。
着メロ収入は315%増の38億円
部門ごとに使用料を見ると、主力の録音部門が前年度比91%の約484億2000万円と振るわなかった。「CDの売り上げが落ちてしまった。DVDなどの映像ものは好調であったのだが、カバーするには至らなかった」(JASRAC)という。
また、この部門には、携帯電話のICチップにプレインストールされている着信メロディーの録音使用料も含まれるのだが、「携帯電話が普及し、ICチップ関連の伸びがそれほどでもなかった」との分析も加えた。ICチップの使用料は、前年度の75%の約15億円だったという。
一方、着メロダウンロードサービスの使用料は、前年度比315%の約38億3100万円億円。最も使用料収入が大きかった曲は、FOMAのCMキャラクターにもなった宇多田ヒカルの『Can You Keep A Secret?』。この曲の使用料は、着メロとしては過去最高だという。なお、着メロとインターネット音楽配信サービスを合わせた分類の“複合・その他”の売上は、前年度の315%増の約40億1000万円で、その95%を着メロが占めていたことになる。
放送、BGM、インタラクティブ配信の伸びに期待
著作権等管理事業法が施行されたため、平成13年度は、JASRACが単独で管理事業を行なう最後の年度になる。平成14年度の見通しについては、「オーディオ関係の伸びが期待できない。カラオケからの収入も、伸び率が鈍ってきている。伸びる要素は、放送と、14年度から始まったBGM(※1)、あとはインタラクティブ配信がどこまで普及するかだ」とした。
※1 BGM :2002年4月1日に、店内BGMの著作権管理を始めた。新たに管理の対象になるのは、飲食店や小売店、コンビニエンスストア、百貨店、ホテル、遊園地など。JASRAC賞金賞はMisiaの『Everything』
JASRAC賞授賞式より。『Everything』の作曲者である松本俊明氏の笑顔が印象的(前列左から3番目)。多忙のためか、歌唱者は1人も出席しなかった |
JASRACは併せて、“2002年JASRAC賞”を発表した。これは、2001年4月から2002年3月までの1年間に、JASRACからの使用料分配額が多かった作品の関係権利者に対し贈られるもの。金賞はMisiaの『Everything』が、銀賞は宇多田ヒカルの『Can You Keep A Secret?』が受賞した。