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【BorCon 2002 Vol.2】著名プログラマーがDelphi開発者に.NETのメリットをアピール

2002年05月21日 22時38分更新

文● 編集部 佐々木千之

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米アナハイムで開催中の“Annual Borland Confrerence”において20日(現地時間)、現在米マイクロソフト社の開発部門の著名プログラマーで、かつて米ボーランドインターナショナル社に在籍していたアンダース・ヘルスバーグ(Anders Hejlsberg)氏がキーノートスピーチを行なった。

アンダース・ヘルスバーグ(Anders Hejlsberg)氏
アンダース・ヘルスバーグ(Anders Hejlsberg)氏。かつて氏の移籍に関して、米ボーランドインターナショナルが米マイクロソフトを訴えたが、現在の両社の関係は良好なようだ

ヘルスバーグ氏は1996年に米ボーランドインターナショナル(現ボーランドソフトウェア社)から米マイクロソフトに入社する前、米ボーランドインターナショナル時代に、主任技術者として『Delphi』を開発した。Delphiの元になった『Turbo Pascal』自体もヘルスバーグ氏がオリジナルコードを書いている。移籍後は『Visual J++』や.NETフレームワーク、および.NET向けプログラム言語“C#”の開発を手がけた。

ヘルスバーグ氏は、COBOLがメインフレーム時代を、Turbo PascalやQuickBasicが(DOSの)PC時代、Visual BasicやDelpiがGUI時代、HTMLやScriptがウェブ時代を、それぞれ牽引してきたように、.NETがXMLベースのウェブサービス時代をもたらすという。

.NETフレームワークの概要
.NETフレームワークの概要

そして、ソフトウェア開発者から見た.NETの長所として、XMLウェブサービスのネイティブサポートやプログラミングモデルの統合、開発工程の大幅な単純化、堅牢な実行環境、さまざまな言語のサポート、既存コードの相互運用性の高さを挙げて、それぞれについて説明した。

プログラム言語やスタイルがどのようなものであれ、.NETフレームワークによって統合できるという
プログラム言語やスタイルがどのようなものであれ、.NETフレームワークによって統合できるという

堅牢な実行環境に関しては、自動的なメモリー管理機構によるガーベージコレクション、安全でないキャストや初期化されていない変数などが生じない、プログラムのインストールの際にレジストリへの登録が不要なことなどを紹介した。特にインストール時にコピーするだけでレジストリへの登録がいらないという説明の際には会場から拍手が沸いた。

.NETの“堅牢な環境”
.NETの“堅牢な環境”

言語については、.NETではどの言語も同じ立場であり、どの言語を使用して開発しても完全に統合が可能だとしている。.NET対応の言語としては、マイクロソフトはVisual Basic、C++、C#、J#、JScript、ボーランドからはDelphiが対応すると述べた。またこれらのほか、COBOL、Fortranなどもさまざまな団体によって対応が検討されているとしている。

.NETはすべてのプログラム言語に対して中立的で、クロス言語開発が可能という
.NETはすべてのプログラム言語に対して中立的で、クロス言語開発が可能という

ヘルスバーグ氏は、ウェブサービスとは何か、と問いかけ、HTML、XML、SOAPという標準のもとで、ウェブの力を増し、異なるシステムを統合し、真にスケーラブルな分散アプリケーション環境をもたらすものだと説いた。

.NETフレームワークのインターオペラビリティー
.NETフレームワークのインターオペラビリティー

またヘルスバーグ氏は、米マイクロソフトと米ボーランドソフトウェアが緊密な連携を取りながら.NET対応のDelphiの開発にあたっていることを紹介。2002年の後半に.NETアプリケーションの作成が可能な次世代のDelphi“Aurora”(コードネーム)がリリースされ、さらに2003年には.NETをフルサポートする“Galileo”(コードネーム)がリリースされる予定だと明らかにして来場者の喝采を浴び、.NETアプリケーションの開発を呼びかけてスピーチを終えた。

.NETフレームワークが次世代のウェブサービスをひらくという
.NETフレームワークが次世代のウェブサービスをひらくという

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