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ヤマハ、セキュリティー機能を搭載したVoIP対応ブロードバンドルーターを発表

2002年05月17日 01時35分更新

文● 編集部 佐々木千之

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ヤマハ(株)は16日、都内で記者発表会を開催し、VPNやファイアーウォールなどのセキュリティー機能を搭載し、VoIPに対応したブロードバンドルーター『RTA55i』および『RT56v』を発表した。IPv6にも標準で対応する。RTA55iが5月下旬、RT56vが7月下旬に発売予定。価格はいずれもオープンだが、同社によると店頭価格は2機種とも3万円台半ばの見込みとしている。

『RTA55i』『RTA55i』
『RA56v』『RA56v』

SOHOや小規模事業所向けのブロードバンドルーター

RTA55iとRT56vの共通の特徴としては、ルーターに接続した一般の電話機を使ってのインターネット電話機能、PPTPによるVPN対応、NATやIPマスカレードに静的/動的フィルタリングを組み合わせたファイアーウォール搭載、の3つが挙げられる。

RTA55i/RA56vの機能概要
RTA55i/RA56vの機能概要

インターネット電話機能を実装するためのプロトコルとしては、端末同士が呼制御のやりとりができる“SIP(Session Initiation Protocol)”に対応している。RTA55i/56vは音声データを圧縮せず(64kbps)送ることができる音声プロトコルG.711をサポートするため『Net Meeting』などで使われている音声/映像通信プロトコルH.323(64kbpsの音声データを圧縮し8kbpsで送受信する)と比較して音質が優れている。RTA55i/RT56vは、本体のTELポートに接続した一般の電話機を使ってインターネット電話がかけられる。

NetVolanteシリーズを使ったインターネット電話の概念図
NetVolanteシリーズを使ったインターネット電話の概念図

インターネット電話はIPアドレスを使って電話を特定するため、ユーザーが固定IPを持っていない場合には、使い勝手が悪くなる。ヤマハでは固定IPを持っていないユーザー向けに、NetVolante専用のインターネット電話番号を提供する無料サービス“ネットボランチDNSサービス”を提供する。ネットボランチDNSサービスで付与された電話番号は、同サービスの利用者間(NetVolanteユーザー間)で使える。NetVolanteに接続した電話機で“##”に続いて相手の電話番号(ネットボランチDNSサービスで付与された番号)をダイヤルすると、相手にダイレクトに接続でき、無料電話として利用できる。

今回発表したRTA55i、RA56vのほか、NetVolanteシリーズの『RT60w』、『RTA54i』、『RTW65i』がインターネット電話に対応する
今回発表したRTA55i、RA56vのほか、NetVolanteシリーズの『RT60w』、『RTA54i』、『RTW65i』がインターネット電話に対応する。累計販売台数は10万台としている

なお、ネットボランチDNSサービスが付与する電話番号はこのサービス独自のものであり、総務省が先頃発表した、IP電話に与える、050で始まる11桁の専用番号とは関係はない。ただし、ヤマハではフュージョン・コミュニケーションズ(株)などの通信事業者と、インターネット電話サービスの相互接続確認を行なっており、それら事業者のインターネット電話サービス用端末として利用できるようになる見込み。そうしたサービス利用の場合には、利用料金は発生するが、一般電話回線などへダイヤルできることになる。

VPN対応では、米RSAセキュリティー社の暗号技術“RC4”を採用し、安全性の高いリモートアクセスVPNが構築できるという。ヤマハによると、このような暗号化機能の搭載は、数万円台クラスのルーターとしては初めてだとしている。前述のネットボランチDNSサービスでは、インターネット電話番号以外に、ホストアドレスも無料で提供しており、これを利用すると固定IPが無い場合でも、各種サーバーを運用するなど、VPNの利用が容易になるとしている。

RTA55i/RA56vのファイアーウォール機能
RTA55i/RA56vのファイアーウォール機能

RTA55i/RT56vのファイアーウォールは、NATやIPマスカレードといったIPアドレス変換機能のほか、送受信パケットを細かく制御する静的フィルタリング機能、アプリケーションプロトコルに応じて必要なパケットだけを通す動的フィルタリング機能、不正アクセスのパターンを検知してパケット破棄などの対応が可能な不正アクセス検知機能から成る。同様の価格帯のルーターでは最も強力なものだとしている。

RTA55iは、100BASE-TXのWANポート×1、100BASE-TXのLANポート×4、USBポート×1、TELポート×2、ISDN回線ポート×1、ISDN S/T点ポート×1を備える。サイズは幅26×奥行き115×高さ235mmで、重さは480g(バックアップ用乾電池、ACアダプター除く)。RA56vは100BASE-TXのWANポート×1、100BASE-TXのLANポート×4、USBポート×1、TELポート×3、アナログ電話回線ポート×1を備える。サイズは幅71×奥行き137×高さ184mmで、重さは700g(バックアップ用乾電池、ACアダプター除く)。2機種ともスループットは毎秒12Mbitとなっている。

RTA55iの背面RTA55iの背面
RA56vの背面RA56vの背面

発表会で説明したAV-IT事業部営業本部長の関口博氏は「スループットの速さがルーターの価値だった時代は過ぎ、ブロードバンドを使って何ができるかが問われるようになる」として、ブロードバンドならではの価値が提供できることが、次世代のルーターのポイントになるとした。また、今回新たに提供する無料サービス“ネットボランチDNSサービス”については、(みんな固定IPが利用できるようになる)IPv6が普及するまでのつなぎとして、NetVolanteのユーザーの利便性を高めるものと位置づけている。

AV-IT事業部営業本部長の関口博氏ヤマハAV-IT事業部営業本部長の関口博氏

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