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日本クアンタム、ATLプロダクツジャパンの吸収合併を発表――仮想テープライブラリー『ADAM DX30』も発表

2002年05月16日 21時43分更新

文● 編集部 田口敏之

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日本クアンタムストレージ(株)(以下日本クアンタム)は15日、都内に報道関係者を集め、ATLプロダクツジャパンを、6月に吸収合併すると発表した。併せて、米クアンタムが開発したディスクベースの製品技術“ADAM(アダム:Adaptive Disk Array Management)テクノロジー”に基づく、ADAMファミリーの最初の製品として、仮想テープライブラリー『ADAM DX30』の出荷を9月に開始すると発表した。価格はオープン(編集部による市場予想価格は895万円前後)。

2001年10月時点での米クアンタム社の体制
2001年10月時点での米クアンタム社の体制。SSGの下に、データ・プロテクション事業部とNAS事業部が配置されている

今回の合併は、2001年10月23日および本年4月24日に、米クアンタム社が発表した組織改編に基づくもの。2001年10月に米クアンタムは、同社の100%子会社で、企業向けにテープライブラリー製品などの開発・販売を行なっていた米ATLプロダクツ社を合併した。これにより、米ATLプロダクツは、新設されたストレージ・ソリューション・グループ(SSG)下のデータ・プロテクション事業部として活動を開始した。

2002年4月以降の米クアンタムの体制
2002年4月以降の米クアンタムの体制。データ/プロテクション事業部とNAS事業部が統合された

そして4月に、米クアンタムはSSGのNAS(ネットワーク・アタッチド・ストレージ)事業部と、データ・プロテクション事業部を統合し、販売経路や顧客ターゲットを一本化した。

クアンタム代表取締役社長の桑畑俊一氏
日本クアンタムとATLプロダクツジャパンの代表取締役社長を兼任する桑畑俊一氏。合併後も、同氏が引き続き代表取締役として就任する

これに伴って日本クアンタムは、米クアンタムのデータ・プロテクション事業部の日本法人であるATLプロダクツジャパンを、吸収合併する形で統合する。代表には、両社の代表取締役社長を兼任している桑畑俊一氏が就任する。日本クアンタムは、同社とATLプロダクツジャパンの営業やマーケティング、および技術・管理部門を一本化し、テープ・オートメーション製品とNAS製品の双方をサポートする企業として活動を開始する。製品は、すべて“Quantum”ブランドに統合される。発表会において桑畑氏は「日本クアンタムとATLプロダクツジャパンは、NAS市場とテープ・オートメーション市場で、それぞれ別個に活動してきたが、今後は1つにまとまって、よりよいサービスを提供できるようにがんばりたい。今後は、主要ターゲットとして中規模クラスのストレージ市場に注力していく」と述べた。

ADAM DX30
ADAM DX30

同日付けで発表した、ADAMテクノロジーによる仮想テープライブラリー『ADAM DX30』は、日本クアンタムが今後主要ターゲットとする、中規模クラスのバックアップ用ストレージ市場向けの製品。ADAMテクノロジーとは、OSに依存せず、テープライブラリーのエミュレーションを行なうディスクアレー装置について、米クアンタムが開発した独自の技術。HDDを高密度に実装することにより、装置の小型化を図っている。また、アクセスを行なうHDDのみを回転させることにより、省電力化を図っている。ミリ秒単位のアクセスタイムを可能とする通常のRAID装置と異なり、10秒程度のアクセスタイムを必要とするが、最低でも2分以上のアクセスタイムを必要とするテープライブラリーに比べれば、短時間でバックアップ/リストアを行なえる。

ADAM DX30は、2U(高さ約90mm)のラックマウント筐体内に15台、または最大30台のHDD(120GB)を搭載できる。記憶容量は、最大3TB。バックアップ時のデータ転送速度は、1秒あたり40MB(1時間あたり140GB)。RAID(RAID 5に対応。10にも対応予定)コントローラーを搭載し、データの保護を行なうと同時に、バックアップ/リストアにかかる時間を短縮している。インターフェースとして、毎秒2Gbitの転送速度を持つファイバーチャネル×2と、10/100/1000BASE-TX×2を備えている。本体重量は46.8kg。

米クアンタムのSSG技術開発担当副社長であるスティーブ・モリヒロ(Steve Morihiro)氏
米クアンタムのSSG技術開発担当副社長であるスティーブ・モリヒロ(Steve Morihiro)氏

発表会において、米クアンタムのSSG技術開発担当副社長であるスティーブ・モリヒロ(Steve Morihiro)氏は「現在、バックアップはミッション・クリティカルな課題。バックアップの重要性はさらに増しているが、大規模なデータのバックアップは、バックアップにもリストアにも時間がかかりすぎるなどの問題がある。そこで米クアンタムは、テープとディスクの利点の両方を享受できるADAM DX30を開発した。同製品は、バックアップサーバーとテープライブラリーの中間に位置するもの。一時的にADAM DX30でバックアップを行ない、データアーカイブはテープライブラリーに定期的に保存する、などといった利用が可能。クアンタムは、ADAMテクノロジーに基づく製品によって、既存のストレージ環境を維持する一方で、既存環境との共存によって、バックアップの体制を強化できるデータ保護モデル“強化型バックアップ・ソリューション”を提供していく」と語った。

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