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バーンジャパン、2002年度新経営戦略を発表――コンサルティングサービスにプロジェクトフィー制を導入

2002年05月15日 22時16分更新

文● 編集部 田口敏之

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バーンジャパン(株)は14日、都内に報道関係者らを集め、同社が4月から実施している2002年度の新経営戦略について発表した。この発表の中で同社は、ERP製品『iBaanERP5.0c』と、CRM製品『iBaan for CRM SalesPlus/SalesPoint』、およびプロダクト・ライフサイクル・マネージメント(PLM)製品『iBaan for PLM』などの新製品を、6月に出荷すると発表した。併せて、同社のコンサルティングサービスの価格体系を一新し、従来の作業工数に比例した“タイム&マテリアル”方式から、受注前に成果を確約した定額費用による“プロジェクトフィー制”を、本年度より採用すると発表した。

バーンジャパン代表取締役社長の杉山隆弘氏
バーンジャパン同社代表取締役社長の杉山隆弘氏

発表会において、同社代表取締役社長の杉山隆弘氏は、現在の日本のERP市場について「国内で、ERPを全社的に導入している企業は、全体の約5%でしかない。しかし我々は2005年までに、この5%が25%にまで増えると認識している。日本のERPの市場は、再度活性化しつつある。日本の企業は、BPR(Business Process Re-engineering:ビジネスプロセス改革)が伴わなければ、ERPを導入しても効果がないことを理解し、BPRに強制力を持たせるITインフラツールとしてのERP、という正しい認識が持つようになった」

「同時に、ERP製品、およびそのベンダーも進化している。日本の企業のきめの細かい要求に対応できるようになった。製品のアプローチの形態も、企業個々の要求に応じた受諾開発から、パッケージ群の組み合わせによるカスタマイズソリューションの提供へと変化した」としている。

また同氏は、バーンジャパンの2001年の経営戦略の総括として「親会社である英Invensys(インベンシス)社の指導のもとで、営業力を強化し、ターゲットの市場を製造業界に特化した。そして事業形態を、ライセンスを販売して、パートナーにシステムインテグレーションとサポートを一任するという、ある意味ライセンス管理的なものから、企業に対して主体的に経営課題への解決策を提供するものへと変えた。また、カスタマーサポートを強化し、サービスビジネスの品質を改善した」と述べた。

続けて、2002年度の新経営戦略について、同氏は「本年は、新製品としてERP製品『iBaanERP5.0c』、CRM製品『iBaan for CRM SalesPlus/SalesPoint』およびPLM製品『iBaan for PLM』を、6月に出荷する。iBaanERP5.0cでは、これまでのERPが苦手としていた、手形などを中心とする日本固有の会計システムにスタンダードで対応している。対象とするマーケットは、自動車、電気電子、機械、産業機械(重工)、食品の5部門」

「また、製品導入の際の価格体系として、事前に見積もりを行ない、作業工数も約束した上で定額受注を行なう“プロジェクトフィー制”を採用する。これにより、顧客企業は導入に際して、投資対効果を把握できる。この方針に基づいた提案を、すでに数多くの企業に提出している」

「さらに、営業体制を強化し、企業の課題に対して、解決策を提供するコンサルティング力の強化を図る。大型案件への対応も進める。日本アイ・ビー・エム(株)や(株)電通国際情報サービス、(株)日立製作所、富士電機(株)、日本電気(株)などといった有力なリセラーとの協業を強化する。また、製造業に強い戦略コンサルティングとの個別連携を、これまで以上に強める。社内的には、ビジネスの拡大に合わせて、組織と環境を整備する。本年度中に、人員を現在の120名から140名へ、コンサルタントを現在の100名体制から200名体制へ拡大する」と述べた。

加えて同氏は、iBaanERPが、8企業17サイトにおいて4月から稼働を開始しており、6企業14サイトにおいて、6月までに稼働を開始する予定であることを発表した(※1)。なお、稼働を開始している企業と予定している企業の内訳は、デンセイ・ラムダ(株)以外は公表していない。発表会では、iBaanERPを導入して7ヵ月で基幹システムの再構築を完了したという、デンセイ・ラムダの熊澤壽氏が、ゲストスピーカーとしてスピーチを行った。デンセイ・ラムダは、スイッチング電源とその周辺機器、無停電電源装置や、発電装置の電源システムの開発・製造・販売などを行なっている企業。

※1 デンセイ・ラムダ(株)、(株)小松製作所、東京エレクトロン東北(株)、(株)モリタ、アネスト岩田(株)、(株)エノモト、(株)荏原製作所、(株)ケアコム、小松エレクトロニクス(株)、(株)島津製作所、セキエレクトロニクス(株)、第一電子工業(株)、丸善電機株、丸本ストルアス(株)(順不同)。

デンセイ・ラムダ(株)の熊澤壽氏
デンセイ・ラムダ(株)の熊澤壽氏

熊沢氏は「日本の企業にとって、ERPの導入は難しいもの。我々も、バーンの製品を導入する前に全役員を集めて合宿を行なったが、なかなか理解されなかった。これは、企業内部で、セクショナリズムやセンチメンタリズム、過去の成功体験などがなかなか捨てきれないことが多いのが原因。この状況下で、なぜ7ヵ月という短期間で導入できたかというと、導入のためのメンバーの人数を絞り、ポリシーとして“ノーカスタマイズ”“ノーネゴシエーション”“ノーミーティング ウィズ デパートメント”を貫いたから。いちいち各部門と調整を行なっていたのでは、導入までに1万回ぐらいミーティングを行なわなくてはならないので、一切の交渉を断った。ERPの導入に最も必要なのは、導入するという決断と、それを推し進める度胸であると思う」

熊沢氏
熊沢氏がERP導入に際してポリシーとした、“ノーカスタマイズ”“ノーネゴシエーション”“ノーミーティング ウィズ デパートメント”

「また、ERPを導入する過程で、企業内で“決めなければならないのに、決めていないこと”がいかに多いかが分かった。各部門が独自の判断で行なっていたことを改め、導入によって企業内に細やかなルールを設けることになった。これを浮き彫りにできたことは素晴らしい。導入が完了したとはいえ、まだまだ問題はあるのだが、これからもバーンジャパンのお力を借りて、日本で最大のビジネスを生むようになりたい」と述べた。

バーンジャパンは、2002年度の経営目標として、80億円の売り上げを目指している。

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