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3万円で本格的なビデオ編集が可能に!ピナクルシステムズ製キット「Studio Deluxe」

2002年05月11日 00時00分更新

文● Jo_Kubota

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Studio Deluxe

 ピナクルシステムズといえば、プロ用のTARGA3000をリリースしているベンダとして、また最近ではELSAの「ELSA Pro-ONE」製造元としても有名だ。同社ではこれらのプロ向け製品のほか、コンシューマ製品もリリースしており、今回登場した「Pinnacle Studio Deluxe」(以下Studio Deluxe)はその最新作となる。価格はTSUKUMO eX.で2万9799円、OVERTOPとUSER'S SIDE本店で2万9800円。



わずか3万円でノンリニアに近い編集環境を実現

同梱品
同梱品
Pinnacle AVDV Capture Card
キャプチャカード
外付けボックス
外付けボックス

 Studio Deluxeはキャプチャカード「Pinnacle AVDV Capture Card」と、上位モデルであるELSA Pro-ONEと同等の外付け入出力端子ボックス、各種ソフトウェアから構成される製品だ。そんな同製品最大の特徴は“SmartCapture”機能。一般にDV編集を行う際、DVデッキ/カメラのデータをすべて一度HDDへて転送し、そこで編集ソフトから編集を行うわけだが、1時間も記録すると約12GBの容量が必要となる。このほかにテンポラリファイルや最終出力データの空き容量が必要になるため、DV編集には元の3倍程度の空き容量が必要で、1時間のデータだとざっと50GB程度の空き容量が要求される。さらに編集するPCのマシンパワーもそれなりに必要だ。それを軽減するのがSmartCaptureで、SmartCapture機能を用いてDVからデータを取り込むと、約115KB/秒程度の“プレビューデータ”がキャプチャされるようになっている。計算すると、1時間キャプチャしてもデータは400MB程度。編集時にはこの小さなデータを相手にするため、当然マシンへの負荷も軽くなるという仕組みだ。もちろんプレビューデータはあくまでプレビューデータで、編集データを最終出力する際には、改めてDVデッキ/カメラへアクセスし、ユーザー側で指定した解像度で、指定した範囲を取り込み、編集したとおりのエフェクト処理を施して出力されるようになっている。



SAA7146AH iDVX Ti製IEEE1394コントローラ
画像転送用チップであるPhilips“SAA7146AH”。動画データをPCIバスマスタ転送することができる。最近の製品だとカノープスの「VideoGate1000」にも搭載されているLSIの“iDVX”はMPEG2での録再生が行えるハードウェアエンコード・デコードチップだDV(IEEE1394)コントローラはTi製のチップが使われている

 また、ユニークなのは3Dエフェクトに対するアプローチだ。ELSA Pro-ONEでは自前のハードウェア上でリアルタイム・プレビューを実現しているが、Studio Deluxeでの3DエフェクトはビデオカードやCPUのパワーを利用して描画する。Smart Captureでキャプチャしたプレビューデータのファイルサイズが小さいため、エフェクトにかかる負荷が少ないことを利用してノンリニアに近い仕様を実現しているようだ。なお、PCのスペックによってはプレビューデータ上でエフェクト処理が追いつかない場合もあるようだが、マニュアルによれば、最終出力される映像上では処理し直されるため、問題はないとのこと。

インターフェイス

 インターフェイスはカードと前述の外付けボックスに用意され、ビデオ入力はDV(IEEE1394)が2系統に、RCAコンポジットとS端子のアナログ2系統を備える。キャプチャはアナログとDVのどちらでも可能で、AVI形式の場合最大720×480ドット/30fpsでのキャプチャが可能な本格仕様となっている。
 出力はDVへはもちろんのこと、アナログもサポート。VHSビデオテープへ編集データを書き出すこともできる。出力フォーマットはAVI、MPEG1/2のほか、RealVideo、WindowsMediaと豊富。



同梱ソフト
同梱ソフト3種

 付属するソフトウェアは編集ソフトの「Pinnacle Studio Version7」、3Dエフェクトとトランジションを実現する「Hollywood FX Plus Studio」、VideoCD/DVD Videoのライティングソフト 「Pinnacle Express」の3つ。特に3Dエフェクト・トランジションは100種類以上が用意されている。上位機種で、16万円台で販売されているELSA Pro-ONEでは編集ソフトが業界標準となっているAdobeの「Adobe Premiere 6」になっているほか、3DエフェクトソフトもHollywood FX Plus Studioの上位版である「Hollywood FX RT」が用意されているなどの違いはあるが、ホームユースの編集/エフェクトソフトとしては十分だろう。



接続イメージ
全体的な接続イメージ

 この分野で評価を得ているCanpusの「Power Capture」シリーズや「Premiere Booster」に対して、機能自体はまったく引けを取らないと言っていいだろう。IEEE1394カードに編集ソフトをバンドルして「編集機器」とうたう製品は別にすると、エントリーレベルのビデオ編集機器としては圧倒的に安価な3万円程度という価格ながら、ここまでの性能を提供する製品は正直珍しいといえるだろう。



【取材協力】

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