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NTTコムウェアと早稲田大学、“Digital Campus Consortium 第2次計画”の共同運営に合意

2002年05月10日 03時03分更新

文● 編集部 田口敏之

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エヌ・ティ・ティ・コムウェア(株)と早稲田大学は9日、“Digital Campus Consortium 第2次計画(DCC(第2次))”を共同で企画・運営することに合意したと発表した。DCC(第2次)の活動期間は、2002年4月から2005年3月までとしている。

左から、NTTコムウェア代表取締役社長の松尾勇二氏と早稲田大学総長の奥島孝康氏
左から、NTTコムウェア代表取締役社長の松尾勇二氏と早稲田大学総長の奥島孝康氏

DCCとは、アジアの大学を中心とする、国際大学コンソーシアム“Cyber University Consortium(CUC)”の設立・運営を支援する企業コンソーシアム。CUCは、国際派知識人の育成や、教育研究のグローバル化、および企業との連携を強化したコーポレートユニバーシティーの設立などを目標にしている。DCC(第1次)は、1997年にスタートした“早稲田大学情報化推進プログラム9ヶ年計画”の中核プログラムとして、1999年4月から2002年3月まで、他校とのネットワーク型授業の実施などの活動を行なった。結果として、16ヵ国30大学とのネットワークを構築し、インターネットを利用したオンデマンド型のネットワーク授業を実用化した。

DCC(第2次)では、100大学とのネットワークの構築を目標とし、人と技術のグローバルな産学連携モデルの確立や、ネットワーク型遠隔授業の拡大を行なう。また、複数の大学間でシラバス(学生が履修計画を立てたり、科目選択を行なうための情報)をデータベース化して共有するシステムや、留学情報システム、研究情報システムなどといった、CUCに関連するシステムの開発を行なっていくという。役割分担としては、NTTコムウェアがインフラの構築支援や、産学連携ビジネスモデルの企画・推進などを行ない、早稲田大学は共同授業カリキュラムの企画や大学間の調整、運用体の整備を行なう。NTTコムウェア以外に参画する幹事企業は、ソニーブロードバンドソリューション(株)、日本アイ・ビー・エム(株)、日本電気(株)、NECソフト(株)、松下電器産業(株)、横河電機(株)の6社。

NTTコムウェア代表取締役社長の松尾勇二氏
NTTコムウェア代表取締役社長の松尾勇二氏「企業という立場から、グローバルな人材の育成や企業内の人材の再活性化・再教育に期待している」

NTTコムウェア代表取締役社長の松尾勇二氏は「我々は、高度なシステムを構築するノウハウと人材、および技術と積極性を持っており、CUCの実現のためにそれらを提供する。ネットワークの構築や企画実験の実施を通して、CUCの構想の実現に寄与できたら良いと思っている」と述べ、「企業の立場から、グローバルな人材の育成や企業内の人材の再活性化・再教育に期待している。また、早稲田大学さまが持つ、研究所の知的財産や知的能力と、我々の能力と人材を結合することによって、新しいビジネスモデルを構築できるのではないかと考えている」と語った。

奥島氏
早稲田大学総長の奥島孝康氏「たとえばの話だが、学生のうち20%から30%を外国、特にアジア太平洋地域の大学で勉強させ、外国からも同様に留学生を招きたいと考えている」

早稲田大学総長の奥島孝康氏は「早稲田大学は、アジア太平洋の教育におけるネットワークの中心の1つになろうということで改革を進めている」と述べ、「たとえばの話だが、学生のうち20%から30%を外国、特にアジア太平洋地域の大学で勉強させ、外国からも同様に留学生を招きたいと考えている。現在、早稲田の交換留学の協定校は345校で、うちアジア地域は102校。交換留学生は400名を超えており、今年は500名を超えるだろう。我々が目標とする2000名までには時間がかかりそうだが、着々とヒューマンネットワークの結成を行なっている」と語った。

早稲田大学副総長の白井克彦氏
早稲田大学副総長の白井克彦氏「学生は自由に飛翔していく可能性を持っていると思う」

また、早稲田大学副総長の白井克彦氏は、「IT技術とブロードバンドを用い、外国の大学との共同ゼミや遠隔授業などを行なうようになった。しかし、参加している生徒は1000人前後と、早稲田大学全体の数万人の生徒からしてみれば、一部分でしかない。この3年間で、何千人という学生が参加していくだろう。外国の大学生と仲良くなるということを基盤にして、早稲田から離れたところで違う勉強をするかも知れない。学生は自由に飛翔していく可能性を持っていると思う」と述べ、「大学全体では、今後、国際社会でデファクトスタンダードな言語になるであろう、英語の教育を抜本的に見直し、多数の学生に対してチュートリアルを始めている。英語だけでなく中国語など、外国語で議論を行なえるレベルにまで、学生を育成したい」と語った。

さらに奥島氏は「日本から外国へ行く学生は16万人いるが、ほとんどが短期の語学研修。しかも、留学先は中国がほとんどで、中国以外のアジアの国々にはほとんど出ていない。どうして日本の若者たちは、アジアの人たちと本当の意味で付き合おうとしないのか。学問的なレベルが低いと見下しているのではないだろうか。インターネットを利用して、韓国の学生と討論などを行なうと、それはとんでもない思い違いであるということが分かるはず。こういうことを、アジアに目を向けるきっかけにしていきたい。アジア地域における交流こそ、日本の今後の道ではないかと思っている」と語った。

NTTコムウェアと早稲田大学は、2004年度までにDCCをさらに発展させた体制を検討するという。また、奥島氏は「まだ構想の段階だが、国際教養学部の創立を考えている。学部の学生のうちの3割、500~600人は外国人を入れ、授業はすべて英語で行なうことを決めている」としている。

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