時間帯と好みのジャンルを指定すると、放送中のTV番組が自動的に録画されるので、ユーザーはそれを見たいときに見る。ソニーが提案する、この新しい視聴スタイルを実現する「CSV-S55」は、10万円を切る価格で最大約50時間の長時間録画を行えるHDDビデオレコーダだ。
自動的に録り貯めて
見たいものだけを見る
写真1 本体内部のほぼ中央にファンが1基装着されているが、回転音は小さいのでTV視聴の妨げにはならない。映像出力はS-VIDEOとコンポジットビデオで、D端子は用意されていない。 |
写真2 リモコンの一番下、15秒単位で前後にスキップできる「フラッシュ」ボタンは秀逸で、録画した番組のCM飛ばしなどに重宝する。しかし、ダイレクト選局の1~12ボタンがないことと、再生ボタンが小さいのは不満。 |
録画モードは「SP」「LP」「EP」の3種類で、Clip-Onに用意されていた11.5Mbpsの最高画質「HQ」モードは省略されている(表)。一番高画質なSPモードであっても、派手なライティングで動きの激しい歌番組などでは盛大なブロックノイズが見られるものの、バラエティ番組やドラマ、ニュースならLP/EPモードで十分納得できる画質だ。ちなみに、録画したデータをデジタルのまま取り出すことはできない。
モード | 記録時間 | ビットレート |
---|---|---|
SP | 約25時間 | 6Mbps |
LP | 約40時間 | 3.7Mbps |
EP | 約50時間 | 2.8Mbps |
図 5つのジャンルと24のキーワードで設定する「おまかせ・まる録」。キーワードの一部は、専用Webサイトに接続することで季節ごとに更新される。 |
例えば、「音楽」「指定なし」「深夜」という設定なら、深夜の音楽番組を(放送時間が重ならない限り)軒並み録画しておくことができ、逆にこの機能を使うことで、今まで見たことのなかった番組に出会う機会が生まれる。「とりあえず録るだけ録っておいて、見るかどうかはユーザーに任せる」という発想だ。
ただ、あいにくキーワードに任意の文字列を設定することはできないので、「○□の出演する番組をすべて録画したい」というようなニーズには対応できない。あくまでライトユーザー向けということなのだろうが、それにしてももう少しキーワードが多くてもいいのではないだろうか。また、キーワードの中に「回(連続もの)」「!(特別番組)」など、直感的でない表記があるのも気になる。
手動の録画予約は、日時とチャンネルを直接指定するほか、GガイドによるEPGが利用できる。なお、Gコードには対応していない。Gガイドは、関東ならTBSの電波に乗って1日4回(5/11/14/18時台)配信され、CSV-S55上で時間別、チャンネル別、ジャンル別にソートして表示できる。しかし、その表示範囲が狭いことと、EPGデータが常に2.5日分程度しか配信されてこないこともあって、数日先の予約はほとんどの場合が手動で行う羽目になる。そうなると、Gコードが使えないのは辛い。
このほか、外出先からの録画予約を可能にする「@録画予約」機能も用意されている(月額300円)。PCや携帯電話を使って専用のWebサイト「カモン! マイキャスター」で予約を行うと、CSV-S55が設定された時間(1日2回まで)に自動的にダイヤルアップしてその予約情報を取得し、録画を実行してくれる。また、おまかせ・まる録で使うキーワードの一部は、この接続を使ってシーズンごとに更新されていく。
実売9万円台という価格、EPGやWebを使った録画予約の実装、HDDレコーダならではのタイムシフト再生など魅力が多いものの、画質を重視したり毎日のように大量の録画を行うヘビーユーザーは不満を感じるだろう。いつも決まった番組を“ながら見”するような、ライトユーザーにこそ使ってほしい1台だ。
CSV-S55の主なスペック | |
製品名 | CSV-S55 |
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映像方式 | MPEG2(2.8~6Mbps) |
音声方式 | MPEG1 Layer2 |
HDD | 80GB |
モデム | V.90/K56flex |
サイズ | 430(W)×326(D)×77(H)mm |
重量 | 約4.5kg |