(株)クロスウェイブコミュニケーションズ(以下クロスウェイブ)は18日、全国に数百・数千規模で点在する拠点を持つ企業を対象に、それらの拠点を接続して企業内ネットワークを構築できるサービス“広域IPプラットフォームサービス”を、6月1日より提供すると発表した。
“広域IPプラットフォームサービス”の概要 |
同サービスは、拠点(店舗など)ごとに設置するルーターにIDを付与し、同社のバックボーン回線上のPOI(Point of Interface)に設置した認証システムでID認証を行なって、バックボーンとフレッツ網を接続し、顧客個別のセキュアーなクローズドネットワークを構築するというもの。バックボーン回線とルーターを接続する回線には、東日本電信電話(株)と西日本電信電話(株)の両社が提供しているインターネット接続サービス“フレッツ”シリーズを利用する。バックボーン回線には10BASE-Tを用いているが、早いうちに100BASE-TXにも対応するという。なお、拠点に設置するルーターのメーカーなどは特定しておらず、必要な機能を満たしていれば、顧客自ら設置できる。同社による設置サービスも用意している。なお同社の広報に、IP-VPNと異なる点について尋ねてみたところ、「拠点へのネットワークにはL3ネットワークであるフレッツ網を用いているが、バックボーン回線には、当社のL2ネットワークを用いている。また、IP-VPNを構築するのに必要な、MPLSのスイッチング技術などを用いていない点で、明確に異なっている」という答えが返ってきた。
サービスの提供地域は6月1日の開始時点で、北海道、宮城、東京、千葉、神奈川、静岡、愛知、大阪、兵庫、福岡の11都道府県。以降、順次展開を行なっていくという。
クロスウェイブ執行役員でネットワーク技術部長の浅羽登志也氏 |
同社執行役員でネットワーク技術部長の浅羽登志也氏は、同サービスについて「ブロードバンドが普及し、業務系のシステムのIT化やトラフィックに対する需要が高まってきている。だが、コンビ二エンスストアやガソリンスタンドなどが、1拠点1拠点を専用ネットワークで接続するにはコストがかかりすぎる。かといって、ISDN網などでネットワークを構築するには帯域が狭すぎ、業務システムなどの開発に制約がかかってしまう。ベストエフォートでも構わないので、広帯域で安価に、運用や管理もアウトソーシングできるサービスが欲しい、というユーザーの要望に応えて、同サービスを提供する」と述べた。
“広域IPプラットフォームサービス”の構成要素 |
セキュリティーに関しては、同氏は「ID認証を行なってVLANを構築し、完全にクローズなネットワークとする。レイヤー2のレベルで完全に分けてしまうので、吉野家の店舗が松屋の店舗とつながったりすることはない」としている。
また他社が提供しているIP-VPNサービスなどとの差別化に関して、同氏は「非常に料金を抑えていることと、広帯域な接続を提供するということ。それから、接続形態として、各拠点同士が自由に通信するイメージではなく、拠点とセンターとの通信を主体としてネットワークを構築している」と語った。
料金は、初期費用が15万円で、月額料金は、拠点までの合計帯域が10Mbpsの場合50万円、100Mbpsの場合は70万円、1Gbpsの場合は100万円。また、POIおよびバックボーン回線の使用料金として、設定/変更費用10万円、月額料金が25万円必要。
これに加えて、拠点ID料金が、利用サービス別に設けられている。設定/変更費用は1000円。月額料金は、利用サービスが“フレッツ・ISDN”の場合3000円、“フレッツ・ADSL 1.5Mbps/8Mbpsタイプ”の場合6000円、“Bフレッツ”は“ファミリー/ニューファミリー/マンション/ベーシックタイプ”の場合6000円、“ビジネス”の場合1万5000円となる。
“広域LANプラットフォームサービス”との相互接続サービスなど、ほかのサービスとの接続も考えているという |
同社では今後の展開として、同社が提供している“広域LANプラットフォームサービス”と相互に接続するサービスや、“フレッツ”シリーズ以外の方法による接続サービスなどを検討しているという。また、(株)インターネットイニシアティブ(IIJ)グループ各社が提供している、各種のインターネットサービスと組み合わせて、インターネットサービスやハウジング/ホスティングサービスなども利用できるという。なお、今後の目標や売り上げなどについては明らかにしていない。