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タイトー、米アナログ・デバイセズ、米MIT教授と共同で電子音源新技術を開発――カラオケやゲームに応用

2002年04月02日 19時24分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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(株)タイトーは2日、日本コロムビア(株)、米アナログ・デバイセズ社、米マサチューセッツ工科大学Barry Vercoe(バーリー・バーコー)教授と共同で、コンピューター技術を用いた電子音源において、CD並みの音質でリアルタイムに再生、編集、分析できる新技術を開発したと発表した。

発表会出席者
右から、慶應義塾大学環境情報学部の岩竹徹教授、マサチューセッツ工科大学メディアラボBarry Vercoe教授、森山良子さん、(株)タイトー代表取締役社長の西垣保男氏、米アナログ・デバイセズ社プロダクトラインディレクターMike Haidar(マイク・ハイダー)氏、デジタルハリウッド杉山知之学校長

同技術は、Vercoe教授が開発した電子音源プログラム言語“Csound”(※1)をアナログ・デバイセズ製DSP“SHARC”上で実行し高速化する技術“Extended Csound”(※2)をベースとした応用技術。

※1 音響および音楽の記述言語。C言語で記述されており、周波数で音を指定しパラメーターを操作して作曲できる。音楽CD並みの音質を表現可能。

※2 アナログ・デバイセズがSHARCを応用して開発したCsoundの拡張技術。Csoundのプログラム言語を音声に変換する場合、通常は数分かかるが、Extended Csoundを利用することで、リアルタイムで変換できる。

バーコー教授
マサチューセッツ工科大学メディアラボのBarry Vercoe(バーリー・バーコー)教授。「完全なソフトウェアサウンドシンセシスをベースとする業界初の製品がリリースされた。オーディオ業界にとって特別な日となることだろう」

例えば、同技術を業務用カラオケに導入すると、音楽CD並みの品質で演奏データを再生しながら、音程や速度を自由に変更できるようになるという。従来の通信カラオケで利用されているMIDI音源も音程や速度を変更できたが音質が乏しく、一方CDやLDのパッケージ音源は高い音質ながら速度を変更できず、また音程を変えると音質が損なわれるという問題があった。しかし同技術を採用した新音源は、高い音質を保ちながら音程と速度を変更可能で、尺八や三味線、サックスなどこれまで表現が難しかった楽器の演奏も忠実に再現できるという。

また、歌い手のリズムを認識し、その速度に合わせてカラオケ機の伴奏テンポが自動的に変化する“テンポ・フォロー機能”を搭載する。マイクを通じて入力された歌い手の歌を周波数のデータに変換してガイドメロディーと比較分析し、歌い手の歌唱テンポの変化を検出、歌唱テンポに合わせて伴奏のテンポを随時自動調整することで、歌い手のテンポに合わせた自動演奏が可能になるという。例えば、歌い手が通常のテンポよりゆっくり歌うと伴奏もゆっくりになる。

さらに、新たに歌唱力採点エンジンも開発したという。従来のカラオケ採点機能は、歌い手の歌がガイドメロディーとどれだけ似ているかで採点していたため、上手に歌っても高得点が出るわけではなかったが、今回開発された歌唱力採点エンジンは、歌の音程やリズム、抑揚といった音楽的要素を評価できるほか、こぶし、しゃくり上げ、ビブラートといった歌唱技術も加点対象となる。これにより、歌い手の音楽性と表現力を評価できるため、歌の上手な人に高得点が出るという。

そのほか、記述言語を追加/変更することで、MIDIシンセサイザー音源や各種音声圧縮伸張技術、各種音響効果アルゴリズム、音響解析、音声解析、音声合成、音楽解析といった音源や分析アルゴリズム機能を拡張できるという。なお、現時点での音源/アルゴリズムは、MIDIシンセサイザーがタイトーオリジナルの150音ポリフォニックシンセサイザー、データデコードはMPEG-1 Layer1/2、ADPCM。

また同社は、同技術を採用したPCI基板『TAITO Csound PCI REVD』を公開した。アナログ・デバイセズ製DSP『AD21160』×3を搭載し、外部メモリーとして64MBのSDRAMと2MBのSRAMを備えている。インターフェースはデジタルオーディオSPDIF入出力×2、MIDI入出力×2。Windows 98/2000/NT4.0およびLinuxに対応する。

新PCI基板
PCI基板『TAITO Csound PCI REVD』

タイトーは、同技術を業務用カラオケ機に採用し今夏に市場へ導入するほか、ゲームや携帯電話コンテンツ、ブロードバンド用コンテンツ、パソコン用シンセサイザーボードやDTMボードへの応用も検討中という。

本日都内ホテルで行なわれた発表会には、特別ゲストとして森山良子さんが登場、同技術を利用した新カラオケシステムを用いて、『この広い野原いっぱい』『想い出のグリーン・グラス』『あなたが好きで』を熱唱した。歌い終えた森山さんは、新カラオケシステムについて「今日はいい音で気持ちよく歌わせてもらいました。ひとつひとつの音がクリアでエモーショナルがあります。通常のカラオケ音源は打ち込んだ感じがしますが、今日の新しい音源は生演奏のような臨場感があるのではないかしら」とコメントした。

森山良子さん
現在『さとうきび畑』がロングヒット中の森山良子さん。以前カラオケで採点してみたら57点だったとか。今回発表された新技術を導入すれば、そんなこともなくなる?

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