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松下、“掃除ロボット自律制御システム”を開発――掃除ロボットの実証実験を一般家庭で実施

2002年03月25日 21時37分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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松下電器産業(株)は25日、複数のセンサーを融合して自律制御を行ない一般家庭の自動掃除を実現する“掃除ロボット自律制御システム”を開発したと発表、同システムを塔載した家庭用掃除ロボットの試作機を公開した。

お掃除ロボット
掃除ロボット自律制御システムを塔載した家庭用掃除ロボットの試作機(名前は特になし)。2001年6月に新製品内覧会で参考出展された掃除ロボットを見たときからかわいいなあと思っておりまして、本日技術発表が行なわれると聞き、目や耳が付いたりしてかわいくなくなっていたらどうしようと心配していたのですが、この通り、既存の掃除機の本体部分のみといった感じのシンプルな本体デザイン(ブルーのトランスルーセントボディー)は、昨年見たものとほとんど変わっておらず感激です。静止しているとただの掃除機ですが、これが動くとかわいいんですよ~
ロボット背面
掃除ロボット試作機の背面
ロボット側面
側面から見た様子
ロボット底面
掃除ロボット試作機の底面。上部にゴミの吸い込み口がある。左に突き出ているのはダストボックスで、本体脇から引き出してゴミを捨てられるようになっている。排気は本体の四方から分散して出される
取っ手付き
持ち運び用の取っ手も付いている

同システムは、部屋形状や床面状態、ゴミの量などに応じて走行と集塵を制御できるセンサー融合型自律制御システム。同システムを塔載した掃除ロボットは、同社独自の“クロスパターン走行”による掃除を行なう。クロスパターン走行は、まず部屋の壁などに沿って外周を走行(1周)し障害物などを認識、次に障害物を避けながら部屋の内部を塗りつぶすように縦に往復走行、縦の走行が終わると90度方向を変え横方向に往復走行するというもの。これによりゴミの取り残しを少なくできるという。

クロスパターン走行
クロスパターン走行の流れ
走行パターン比較
掃除ロボットの走行パターン比較。シミュレーションを行ない検討した結果、電池エネルギーが限られている場合はクロスパターンが最も清掃率が高く、92~93%をカバーできるという(ランダム走行では80~85%)

また、超音波測距センサー(遠距離用)、赤外線測距センサー(近距離用)、感圧センサー(接触用)により、掃除ロボット本体の周囲にある障害物を検知し回避する“障害物回避アルゴリズム”、ジャイロセンサーで本体の方向を検知しターンと直進方向を制御するとともに、絨毯やカーペットなどの目による本体走行のズレをラダーセンサーで検知し直進走行できるように本体の姿勢制御を行なう“姿勢制御アルゴリズム”を搭載する。ラダーセンサーは、回転式キャスターの角度を検出する独自のセンサーで、ジャイロセンサーで検出した本体の方向とキャスターの方向から、本体の直進走行補正を行なうという。

さらに、階段など床面の段差を検知し本体を方向転換させる段差センサー“落ちまセンサー”や、ストーブなどの熱源を検知し熱源に近づかないようにする熱センサーを搭載する。例えば電源を入れていない(熱くない)ストーブは通常の障害物として検知し15cm手前で回避するが、電源を入れて熱くなったストーブは熱源と検知し50cm手前で回避するようになっている。そのほか、本体を子供が押さえつけるといった本体に加わる外力を検知する重量センサーやスリップセンサー、モーターの負荷状態を検知する過負荷センサーなどを搭載、外力が加わったり過負荷になったりすると自動停止して異常を報知するようになっている。

落ちまセンサー
落ちまセンサーのデモ。テーブルの端に来ると段差を検知して一時停止、方向転換する

電源は充電式のニッケル水素電池。電池エネルギーを効率よく利用するため、ゴミセンサー(赤外線センサー)でゴミのある部分のみ念入りに掃除できるよう制御する“省電力集塵制御技術”を備えている。ゴミのない部分を走行するときの速度は毎秒20~30cmだが、ゴミセンサーで床面のゴミを検知すると毎秒15cmに走行速度を落とし、さらに吸引力を通常の1.5倍にして掃除を行なうようになっている。この省電力集塵制御技術により、充電時間2時間で連続使用時間55分を実現したという(制御技術がない場合は29分)。

CPUは8bitマイコン×2個と16bitマイコン×2個。ROM容量は352KBで家庭用全自動洗濯機の10倍という。本体サイズは幅292×奥行き367×高さ265mm、重量は9.8kg。1回の充電で清掃可能な床面積は80m2(使用時間55分)。本体の操作は電源ボタンとタッチパネル式液晶画面で行ない、スタート操作を行なうと掃除を開始、部屋全体の掃除が終わったと判断すると自動的に運転を終了する。

液晶画面部
電源ボタンを押して電源を入れると、液晶画面に確認事項が表示される。順番に“チャイルドロック”“ストーブや置きタバコの火を消してください ドアを閉めてください”“幼児やペットがいる部屋で運転をしないでください”“コードやリモコン等の小物類があれば片付けてください”と表示され、最後に掃除モードを標準/簡単から選択すると自動掃除がスタートする。掃除中は“掃除中”と表示され、掃除が終わると“XX分間掃除しました”と自己主張する
お掃除中
掃除中。ゴミがないときは緑のランプが点灯している
ゴミ発見
ゴミを検知すると赤いランプが点灯し、吸引力がアップ、走行速度は遅くなり、念入りに掃除をする。ちなみに掃除にかかる時間は4畳半の部屋で約9分、主婦の1.5倍程度とのこと
充電用アダプター
充電用アダプター
ロボット背面に充電用アダプターを装着した様子
背面に充電用アダプターを装着した様子

同社取締役電化・住設社社長の林義孝氏は、「われわれは家事の自動化について積極的に取り組んでおり、安心/安全で快適な暮らしを提供したい。今回の自律制御システムは将来、家事ロボットや“見守り安心ロボット”として展開できる。例えば動画カメラや通信機能を搭載することで見守り安心ロボットとして留守宅の様子を外出先から確認できるだろう。就寝時に家の中を監視する“サイバーホーム警備員ロボット”にも応用できる。今後、自律制御システムを応用してさらなる事業展開を行ないたい」としている。

松下の林氏
松下電器産業の林義孝氏

同社は、同システムを搭載した家庭用掃除ロボットを利用した一般家庭における実証実験を5月に開始する。同社のウェブサイト上で本日より実験に参加する一般ユーザーを公募、実験参加者は試作機を2ヵ月間使用し、使用状況の報告を行なう。当初の募集人数は4名で、状況をみて参加人数を増やすという。同社は2~3年後に掃除ロボットの商品化を目指しており、商品化した際の価格は現時点で50万円程度を考えているという。ちなみに、今回の試作機のコストは数百万円とのこと。

なお同システムを搭載した家庭用掃除ロボットの試作機は、4月11日~13日にインテックス大阪で開催されるイベント“バリアフリー2002”に参考出展される。

構造図
掃除ロボット試作機の構成図
内部構造前面
試作機の内部構造(前面)
内部構造背面
試作機の内部構造(背面)
インバーターモーター
インバーターモーター
ジャイロセンサー
ジャイロセンサー
超音波測距センサー
超音波測距センサー
ラダーセンサー
ラダーセンサー
赤外線センサー
赤外線センサー
熱センサー
熱センサー

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