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iPAQ Pocket PC H3870

iPAQ Pocket PC H3870

2002年05月07日 14時46分更新

文● アスキーPC Explorer編集部・小林 久

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iPAQ Pocket PC H3870

コンパックコンピュータ

オープンプライス
(ダイレクトプラス価格 7万9800円)

Pocket PC普及の火付け役となった「iPAQ Pocket PC」に、BluetoothとSDカードスロットを搭載した新モデルが加わった。ジャケットシステムによる拡張性を継承しつつ、バッテリ容量や細部の使い勝手を改良した1台だ。

ジャケットシステムの
評価が選択のカギ

写真1 新機能のSDカードスロットとBluetoothモジュールは本体上部に装備。また、十字キーに内蔵されていたスピーカも上部に移った。
 コンパックコンピュータの「iPAQ Pocket PC H3870」は、Pocket PC 2002 Softwareを搭載した「iPAQ Pocket PC」(以下iPAQ)の最上位モデルである。2001年11月に米国で発売された英語版から、約4カ月遅れての国内投入となったが、本機はInternet ExplorerやPCとの同期時のバグフィックスを行ったService Pack 1を搭載しての登場となった。

 従来機種からの変更点は、

  1. 本体上部にBluetoothモジュールとSDカードスロットを内蔵(写真1)
  2. バッテリ容量が従来の1100mAhから1400mAhに増え、連続駆動時間も14時間に延長(グラフ1)
  3. 表示色が最大4096色(12bit)から約6万色(16bit)に向上

という3点。



写真2 ゲーム時の操作性を意識してか、従来別々に押さないと認識されなかったボタンの同時押しが可能になった。ただし横長になった十字キーは従来よりもやや押しにくく感じる。
 特に大きな変更点と言えるのが(1)だ。Bluetoothの通信規格は、バージョン1.1に準拠しており、Dial Up Networking ProfileやSerial Port Profileなど8種類のプロファイルに対応する。接続機器の追加や無線強度(3段階)の増減は専用ユーティリティの「Bluetooth Manager」から設定可能で、Bluetooth通信のオン/オフやActiveSyncの起動は画面下のアイコンをタップするだけで簡単に行える。
 原稿執筆時点(3月中旬)で接続検証が取れているのは、NTTドコモの「パルディオ 633S」、auの「C413S」、ソニーの「VAIO PCG-SRPCG-C1」シリーズなどだが、受け側のバージョンとプロファイルが一致すればそれ以外の機種とも通信できるという。



グラフ1 液晶画面を消した状態でのMP3再生時間の比較。バッテリ容量が1100mAhから1400mAhに増加したことで、7時間以上の長時間再生が可能となっている。
 本体サイズは、84(W)×145(D)×16(H)mmで、重量は190g。上部や十字キーのデザインが若干変更されているが、本体のサイズや形状は基本的にH3600と同等だ。iPAQの特徴である「拡張ジャケット」(背面を覆うように装着するアウターケース)も従来のものがそのまま使える。ただし、標準で同梱するジャケットは液晶画面を保護するカバーパックに変更され、CFスロット搭載のジャケット「IPP CF拡張パック」は別売(4800円)となった。



写真3 iPAQにも流行のキーボードが登場。ジャケットを装着した状態で装着可能にするため、若干厚めになっているが、配列に無理がなくアプリケーション起動ボタンも備えている。
 本機の発表に合わせて、セカンドバッテリを内蔵した新型拡張ジャケットの「CF拡張パック・プラス」(1万4800円)と「PCカード拡張パック・プラス」(1万8800円)も登場している。セカンドバッテリはホットスワップが可能で、標準のスリムタイプ(920mAh)のほか、別売の大容量タイプ(1840mAh)も利用できる。



図1 今回からバンドルされた携帯ゲーム機「GAME GEAR」のエミュレータ。もちろんセガ公認だ。オンライン上でROMの有償販売も行われる。
 それ以外のスペックに関しては、基本的に据え置きだが、実際に使用してみると細かな改良が加えられていることに気付く。スタイラス収納部がポップアップ型となった点、周囲の明るさに応じて自動的に輝度が変わる「可変フロントライト」の調光機能が5段階から25段階へと細かくなった点、不用意に本体メモリを消さないためにバッテリスイッチを排除した点、クレードルがUSB/シリアル両対応となった点などだ。今回から、セガの携帯ゲーム機「GAME GEAR」の公式エミュレータとROMデータ(Baku Baku、Sonic the Hedgehogなど6種類)が付属することもあり、従来別々にしか認識されなかったアプリケーション起動ボタンの同時押しも可能になっている(写真2)。



図2 バンドルソフトの「モバイルアトラス for iPAQ」。地図ビューアが付属すること自体はそれほど珍しくないが、本機では8大都市の地図データが切り出し済みとなっている。
 このようにH3870は、ジャケットシステムによる拡張性という最大の武器を生かしつつ細部の使い勝手を見直した完成度の高い1台に仕上がっている。難点は、価格が7万円台後半と若干高価な点とジャケットを使用すると後発の他社製品に比べて大きくなってしまう点だが、サードパーティ製品を含めたジャケットの豊富さはiPAQだけの特徴だ。本機を選択するかどうかは、このジャケットシステムをどう評価するかにかかる。


iPAQ Pocket PC H3870の主なスペック
製品名 iPAQ Pocket PC H3870
メモリ 64MB(SDRAM)+32MB(フラッシュROM)
表示 3.8インチフロントライト付き反射型カラーTFT液晶(240×320ドット/6万色)
スロット SDカード×1
通信 Bluetooth 1.1対応
電源 専用リチウムポリマバッテリ
バッテリ駆動時間 最大14時間
本体サイズ 84(W)×134(D)×16(H)mm
重量 190g

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