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日立と物質・材料研究機構、二ホウ化マグネシウム系超伝導物質による小型コイルの開発に成功と発表

2002年03月22日 16時07分更新

文● 編集部 今井睦俊

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(株)日立製作所の日立研究所と独立行政法人物質・材料研究機構は22日、都内で記者発表会を開催し、二ホウ化マグネシウム系超伝導物質を用いた長尺の超伝導線を開発し、世界最初の小型コイルによる磁場発生に成功したと発表した。記者発表会には、日立研究所のエネルギー材料研究部から青野泰久部長と岡田道哉主任研究員、物質・材料研究機構から熊倉浩明氏が出席した。

青野部長と岡田主任研究員、熊倉氏
左から日立研究所のエネルギー材料研究部の青野泰久部長と岡田道哉主任研究員、物質・材料研究機構の熊倉浩明氏

二ホウ化マグネシウムは、2001年1月に青山学院大学の秋光純教授が発見した超伝導物質で、超伝導臨界温度が金属系材料として世界最高の摂氏マイナス234度である。同物質の結晶はダイヤモンドのように硬いため、塑性加工が困難であった。だが、物質・材料機構が、同物質の粉末をニッケルなどの高強度の金属で被覆し、圧延などで線状に加工する線材作製法を開発。2001年6月に、同線材により1平方センチメートル当たり45万アンペアの臨界電流を得たと発表した。

二ホウ化マグネシウム系超伝導物質の長尺線
今回製作した二ホウ化マグネシウム系超伝導物質の長尺線。ニッケルで被覆されている

日立研究所は、この成果を受けて、同物質を高密度で流動させ、10メートル級の長尺線材を製作する特殊な圧延加工法を開発。また、同線材を用いて小型コイルを製作し、磁場を発生させることに成功した。今回開発した圧延加工法は、同物質の微粉末を金属パイプに充填し、複合体を生成。この複合体を、太い径から細い径へと通して、徐々に伸ばして、線材に加工するというもの。長尺の超伝導線を作製する一般的な加工法と基本的に同じであるが、超伝導物質の粒子が高密度で均一に形成されるように、線材に加わる圧力などの製造条件を最適化したとしている。また、同技術は、製造工程で焼結プロセスなどの熱処理を行なわないため、従来技術と比較して製造工程の短縮や製造コストの削減などが期待できるとしている。

二ホウ化マグネシウム系線材で製作した小型コイル二ホウ化マグネシウム系線材で製作した小型コイル。1300ガウスの磁場を発生する

今回製作した線材は、厚さ0.3mm、幅2.7mmのテープ状で、長さは12m。同線材の特性評価では、摂氏マイナス269度の液体ヘリウム中で実用レベルの220Aの臨界電流を確認したという。また、同線材で製作した小型コイルは、ステンレス製の巻枠に、内径38mm、外径42.5mm、高さ70mmのサイズで、80ターンの巻き付けを行なったもの。同コイルを液体ヘリウムで冷却し、数度のトレーニング現象(通電するごとに特性が向上する現象)の後で特性を評価。実用レベルの105Aの臨界電流で、1300ガウスの磁場の発生を確認した。

二ホウ化マグネシウム系超伝導物質は、高い超伝導転移温度を持ち熱的に安定であるため、高い信頼性が必要な永久電流スイッチ素子や医療用MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などへの応用を見込めるという。なお、今回発表された研究成果は、文部科学省科学技術振興調整費の研究課題“ホウ素系新超伝導物質の材料化基盤研究”の一環として、日立研究所が担当した“長尺線材作製技術の開発に関する研究”で得られたものとしている。

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