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HDA-i80G/LAN

HDA-i80G/LAN

2002年05月09日 15時16分更新

文● culi

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HDA-i80G/LAN

アイ・オー・データ機器

4万9800円

アイ・オー・データ機器から登場した「LAN-iCNシリーズ」は、LAN上に直結した共有ハードディスクにWindowsやMacintoshからアクセスできるという機器だ。「HDA-i80G/LAN」はHDDとセットで4万9800円という、これまでにないリーズナブルな価格も魅力になっている。

家庭でもお手軽に使える
ファイルサーバ

 最近、このような機能を持つ機器、いわゆる「NAS」(Network Attached Storage)が注目されつつある。普通の家庭でもPCは「一家に一台」の時代を過ぎて、「パパ用のWindows PCとママ&子供用のiMac」という具合に複数台を使い分けるケースが増えているのだろう。筆者宅のように、UNIX(FreeBSD)のファイルサーバを置いている家は極端な例としても、手軽に使える共有ディスクが欲しい、という要望は意外と大きいのかもしれない。

 そんな中でアイ・オー・データ機器が、同社の独自インターフェイス規格「i・CONNECT」対応HDDと組み合わせて使うことで、NAS相当の機能を実現できるLANコンバータ「LAN-iCN」を発売した。コンバータと言っても、実はこの機器の正体は、最近の家電に入っているような組み込み型の小型コンピュータだ(写真1)。OSはCFカード(32MB)にインストールされ、Lineo社のLinux「Embedix」を採用している。したがって、普通のPCにUNIX系OSを導入した場合と同様、WindowsとMacintoshのどちらからでもアクセス可能という特徴を持つ。LAN-iCN単体は2万4800円という価格なので、すでにi・CONNECT対応のHDDを持っているユーザーなら、かなり少ない投資で便利な環境が構築できる。

写真1 LAN-iCNの背面には、10BASE-T/100BASE-TX対応のLANインターフェイスとCFカードスロットがあり、このスロットにOS(Lineo Embedix)が入ったカードを差す。

図1 基本設定。LAN-iCNの設定は、最近のルータなどと同様にすべてWebベース(IE 5.0以上に対応)で行う。
 接続と設定はごく簡単だ。HDDのi・CONNECTとLAN-iCNを接続し、LAN-iCNの背面にあるLANコネクタをスイッチングハブなどにつなぐ。注意点としては、初期設定でIPアドレスに「192.168.0.200」が割り当てられているので、自宅LANに割り振っているプライベートアドレスが「192.168.0.xxx」以外の場合は、自分のPCをいったん上のアドレス範囲(例えば192.168.0.100など)に手動で変更し、LAN-iCNにアクセスしてアドレスを変更しなければならない(図1)。その際、自宅にブロードバンドルータなどを設置しているのなら、(ルータの)DHCP割り当てを受ける設定に変えてしまえば、以後はアドレスに悩まされずに済む。また、LAN-iCNで使うファイルシステムはWindowsやMacintoshで使うもの(FATやNTFSなど)とは互換性がないため、これまでUSBやIEEE1394経由でPCに接続していたi・CONNECT対応HDDを使い回すときには、ディスク全体をフォーマットし直す必要がある点にも注意したい。

 最低限、Windowsネットワーク用の名前(NetBIOS名)とワークグループ名、IPアドレスさえ設定すれば、すぐにLAN-iCNを使い始めることができる。あとは、Windowsなら「マイネットワーク」から共有フォルダにアクセスし、Mac OS 9.xならセレクタから共有フォルダをマウントするだけだ。



図2 新しい共有フォルダを作成したり、ユーザーを追加したいときは、管理者権限で「高度な設定」(Advanced Menu)へアクセスする。
 より細かな設定も可能だ。共有フォルダのアクセス権をユーザー別、グループ別に設定したり、フォルダをWindows専用、Macintosh専用にそれぞれ設定できる(図2)。HDDにチェックディスクをかけることも可能だ。TCP/IPのホスト名やドメイン名も設定できるが、これはもっぱらMac OS X用のメニューで、WindowsのWeb共有などには対応していない。なお、telnetやftpではLAN-iCN本体に接続できない。



図3 ファイル転送テストの結果。フォーマット直後のHDDに、(1)(2)を順に実行。その後(2)のフォルダを削除してから(3)を実行。すべて、転送元のWindows 2000のエクスプローラ上で操作。
 パフォーマンスだが、(1)LAN-iCN経由で接続したi・CONNECT対応HDD、(2)Windows 2000が動作するPCにUSB 2.0で接続した同じHDD(NTFSでフォーマット)に対し、それぞれネットワーク経由で同一のファイルをコピーする時間を計った。結果、(1)では(2)の3~7倍程度の時間がかかる(図3)。どうも、LAN-iCN本体の処理能力に問題があるように思われる。

 このような機器を買う動機として、データの共有以外に、最近ではキャプチャしたMPEG2ファイルの保存といった目的も増えていると思われる。こうした用途(動画再生など)では、LAN-iCNの転送速度がボトルネックになってしまう。また、筆者宅のLAN環境では、数GBのファイル転送が途中で中断してしまう場合もあった。とはいえ、サーバ用にPCを1台用意するのに比べればかなり安価で、かつ省電力なのも魅力だ。できれば今後のOSのチューンによる転送速度や安定性の向上、またftp接続への対応など機能の拡張にも期待したい。


HDA-i80G/LANの主なスペック
製品名 HDA-i80G/LAN
OS Windows 95/98/Me/NT 4.0/2000/XP、Mac OS 8.6/9.x
接続プロトコル TCP/IP
インターフェイス 10BASE-T/100BASE-TX、i・CONNECT
HDD 80GB
サイズ LAN-iCN:116(W)×74(D)×26(H)mm/HDD:33(W)×187(D)×117(H)mm

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