アイ・オー・データ機器から登場した「LAN-iCNシリーズ」は、LAN上に直結した共有ハードディスクにWindowsやMacintoshからアクセスできるという機器だ。「HDA-i80G/LAN」はHDDとセットで4万9800円という、これまでにないリーズナブルな価格も魅力になっている。
家庭でもお手軽に使える
ファイルサーバ
最近、このような機能を持つ機器、いわゆる「NAS」(Network Attached Storage)が注目されつつある。普通の家庭でもPCは「一家に一台」の時代を過ぎて、「パパ用のWindows PCとママ&子供用のiMac」という具合に複数台を使い分けるケースが増えているのだろう。筆者宅のように、UNIX(FreeBSD)のファイルサーバを置いている家は極端な例としても、手軽に使える共有ディスクが欲しい、という要望は意外と大きいのかもしれない。
そんな中でアイ・オー・データ機器が、同社の独自インターフェイス規格「i・CONNECT」対応HDDと組み合わせて使うことで、NAS相当の機能を実現できるLANコンバータ「LAN-iCN」を発売した。コンバータと言っても、実はこの機器の正体は、最近の家電に入っているような組み込み型の小型コンピュータだ(写真1)。OSはCFカード(32MB)にインストールされ、Lineo社のLinux「Embedix」を採用している。したがって、普通のPCにUNIX系OSを導入した場合と同様、WindowsとMacintoshのどちらからでもアクセス可能という特徴を持つ。LAN-iCN単体は2万4800円という価格なので、すでにi・CONNECT対応のHDDを持っているユーザーなら、かなり少ない投資で便利な環境が構築できる。
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写真1 LAN-iCNの背面には、10BASE-T/100BASE-TX対応のLANインターフェイスとCFカードスロットがあり、このスロットにOS(Lineo Embedix)が入ったカードを差す。 |
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図1 基本設定。LAN-iCNの設定は、最近のルータなどと同様にすべてWebベース(IE 5.0以上に対応)で行う。 |
最低限、Windowsネットワーク用の名前(NetBIOS名)とワークグループ名、IPアドレスさえ設定すれば、すぐにLAN-iCNを使い始めることができる。あとは、Windowsなら「マイネットワーク」から共有フォルダにアクセスし、Mac OS 9.xならセレクタから共有フォルダをマウントするだけだ。
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図2 新しい共有フォルダを作成したり、ユーザーを追加したいときは、管理者権限で「高度な設定」(Advanced Menu)へアクセスする。 |
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図3 ファイル転送テストの結果。フォーマット直後のHDDに、(1)(2)を順に実行。その後(2)のフォルダを削除してから(3)を実行。すべて、転送元のWindows 2000のエクスプローラ上で操作。 |
このような機器を買う動機として、データの共有以外に、最近ではキャプチャしたMPEG2ファイルの保存といった目的も増えていると思われる。こうした用途(動画再生など)では、LAN-iCNの転送速度がボトルネックになってしまう。また、筆者宅のLAN環境では、数GBのファイル転送が途中で中断してしまう場合もあった。とはいえ、サーバ用にPCを1台用意するのに比べればかなり安価で、かつ省電力なのも魅力だ。できれば今後のOSのチューンによる転送速度や安定性の向上、またftp接続への対応など機能の拡張にも期待したい。
HDA-i80G/LANの主なスペック | |
製品名 | HDA-i80G/LAN |
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OS | Windows 95/98/Me/NT 4.0/2000/XP、Mac OS 8.6/9.x |
接続プロトコル | TCP/IP |
インターフェイス | 10BASE-T/100BASE-TX、i・CONNECT |
HDD | 80GB |
サイズ | LAN-iCN:116(W)×74(D)×26(H)mm/HDD:33(W)×187(D)×117(H)mm |
