昨年の店頭展示から登場が待たれていたMSI「K7D Master」とGigabyte「GA-7DPXDW」の2枚が本日、同時にアキバデビュー。どちらもデュアルAthlon MPに対応する“AMD-760MPX”チップセットを搭載するマザーボード。先に流通しているASUSTeK製「A7M266-D」、そしてTyan製「Tiger MPX」と同様、USBインターフェイスカードを同梱しての発売となった。
コストパフォーマンスで前評判の高かった「K7D Master」
期待どおりの機能と価格
MSI初のデュアルAthlon MPマザーボードとなるK7D Masterは1月26日から一部ショップで展示されている展示品とほぼ同一のもの。そもそも昨年6月に初お目見えした際にはAMD-760MPマザーボード「K7D Master-LR」で、その後製品名はそのままで昨年10月にAMD-760MPマザーボードとして展示され、今年に入ってからは「K7D Master-L」と型番が変わっているが、結局はIDE RAIDコントローラもネットワークコントローラも搭載しないシンプルな構成になっている。ネットワークコントローラに関してはそれらしき空きパターンを確認でき、K7D Master-Lが登場する余地があるものの、IDE RAIDコントローラに関しては製品版でスペースすら用意されいない。
基板上にはネットワークコントローラ用と思われるパターンが残されており、マニュアルによるとIntelの82559(10/100base)が搭載されるモデルも用意される可能性がある。「K7D Master-L」か? |
拡張スロットはAGP Pro×1、64bit/66MHz PCI×2、32bit/33MHz PCI×3。オンボードのUSB端子が基板上から廃され、代わりにNEC製のUSB2.0コントローラを搭載する4ポートのUSB2.0カードを同梱するあたり、A7M266-Dとよく似ている。A7M266-Dでは1MHz刻みのオーバークロック設定があり注目を集めたが、K7D Masterでも100MHz~150MHzまでの範囲を11段階に設定可能。また、倍率も5~12.5倍の範囲を0.5倍刻みで設定可能だ。ASUSTeK製品と同じく、コンシューマをターゲットにしたデュアルマザーボードだと見ていいだろう。
そうなると気になるのはメモリサポート。DDR SDRAMをサポートするDIMMソケットは4本用意され、最大で4GBまで拡張可能だ。ただし、当初レジスタードタイプでは4GB、アンバッファードタイプでは2GBまでのメモリがサポートされていたが、製品版ではパッケージやマニュアルの表紙にプリントされた“Only Registered”のマークどおり、レジスタードタイプのみのサポートになったので注意してほしい。エム・エス・アイ・コンピュータ・ジャパンによると「あくまでもレジスタードのみサポート」ということだが、保証外ながらDIMM2本までならアンバッファードでも動作する可能性があるとしている。実際にボードを見てみると、DIMM1と2についてはアンバッファードタイプで動作すると解釈できるシルク印刷があり、試してみる価値はありそうだ。
電源はPentium 4用が利用可能。基板上にはATX12Vコネクタが装備され、電源容量は300W以上が必須となっている。各電圧に要求される最低スペックは12V/12A、5V/35A、3.3V/16A、+5VSB/2Aとなっており、要求されるスペックはかなり高い。+5VBが2Aとなると、初期のPentium 4対応電源で一部対応できないものがあるので注意したい。
価格は3万円前後。価格でもA7M266-Dと同程度で、新製品ながら3万円を切っているのはかなり魅力的だ。
半年のお待たせで登場の「GA-7DPXDW」はサーバ仕様
他社製品とは一線を画す
昨年9月14日に店頭展示され、その時には11月末にも発売と言われていた「GA-7DPXDW」。店頭展示から約半年が経過し、ようやくの登場となった。発売前から認知度の高いマザーボードになっていたが、これでようやく購入することができるようになったわけだ。
さてこのGA-7DPXDWだが、他社製品と異なり、明確にサーバ/ワークステーション向けという位置づけがされている。Tiger MPXもローエンドサーバ向けという意味合いが強いが、Gigabyteの場合はそれが前面に打ち出されている印象。パッケージもサーバ/ワークステーション向けの、いわば地味なもので、同時発売となったK7D Masterとは好対照である。
拡張性などは展示されたマザーボードと同一構成となっており、拡張スロットはAGP Pro×1、64bit/66MHz PCI×2、32bit/33MHz PCI×3。64bitPCIの間に1本32bitPCIを挟む仕様も展示品どおりだ。オンボードではIntel製のネットワークコントローラとPromise製のUltra ATA/100対応のIDE RAIDコントローラを搭載しており、エントリレベルのサーバ用マザーボードとしては十分なスペックだ。
South Bridge“AMD-768”の問題は同製品でももちろん改善されておらず、K7D Masterと同様、USB2.0カードを同梱。オンボードのUSB端子は削除されていないが、付属のバックパネルを利用するとこの部分が隠れるようになっており、実際には利用できないようになっている。
各種重要な情報が記載されたペーパー |
結局、登場するすべてのAMD-760MPXマザーボードが別途USBカードを用意することになったAMD-768の問題だが、同梱する英文の注意書きペーパーには“new stepping of AMD-768 scheduled on early March”とある。5日の記事で日本ギガ・バイトはバグの解消にはまだかなりの時間がかかることを示唆していたのを考えると、問題を解消した新ステッピングのAMD-768が3月中に登場するかどうかは微妙だと言わざるを得ない。
なお、このペーパーにはこのほかにも重要な情報が記載されている。まず電源はATX12Vに対応する400W以上が必須で、電流は12V/21A、5V/35A、3.3V/34A、+5VSB/2Aが必要。また、メモリサポートはレジスタードタイプのみで、最大3.5GBまでとなっている。4本搭載するDDR SDRAM用DIMMスロットについて最大容量は4GBとなっているが、恐らくはこれはWindowsの制限を考慮したものだろう。Windows 2000/XPの“Professional”製品で物理メモリは最大で4GBまでとなっているが、4GB搭載するとビデオカードBIOSや拡張カード類のBIOSのROM領域が加算されるため実質4GBを超えてしまう。3.5GBというのは、Windowsがインストールできなかったり挙動不審になるのを考慮しての記述と思われる。
電源の要求スペックが高く、メモリの種類や搭載容量の上限について細かな説明があるのは「すべて安定動作のため」(日本ギガ・バイト)。基板を見てもチップコンデンサの数が多く、サーバ向け製品として安定に苦心した跡が見られる。しかし、その分価格は4万円前後と、他社製品に比べると明らかに高価。それだけに人を選びそうだが、出来る限り安心できる環境でデュアルAthlon MPのパフォーマンスを味わいたいのであれば決して高すぎる出費にはならないだろう。
価格 | ショップ |
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MSI K7D Master | |
\29,980 | 高速電脳 コムサテライト2号店 |
\29,980 | コムサテライト2号店 |
\30,800 | コムサテライト3号店 |
Gigabyte GA-7DPXDW | |
\39,800 | 高速電脳 USER'S SIDE本店 |
\40,480 | OVERTOP コムサテライト2号店 |
\41,800 | コムサテライト3号店 |
\42,500 | コムサテライト1号店 |
\42,800 | DOS/Vパラダイス本店 DOS/Vパラダイス秋葉原2号店 |
\40,800 | TWOTOP 1号店(8日入荷予定) T-ZONE.PC DIY SHOP(入荷済み。週末販売開始予定) |