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ボード上、そしてマニュアルと、ところどころに見える意味深な刻印や表記が好奇心を刺激する“Apollo KT333”チップセット搭載マザーボード「KT3 Ultra-ARU」とその廉価版「KT3 Ultra」がMSIから登場した。同製品は以前一部ショップで展示された際に“Thoroughbredコア版Athlon対応”として注目を集めた製品だ。
FSB 166MHz対応?! Thoroughbredの姿が見え隠れする意味深な表記
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ボード上のシルク印刷とマニュアルに見える“166MHz”“333MHz”の文字 |
ボードを見てみると、製品版となった今回もFSB 166MHzのジャンパ設定用シルク印刷があり、またマニュアルにもFSB 166MHz(DDR 333MHz)のCPUをサポートする旨の記載を確認できた。KT333でサポートするPC2700(DDR333) DDR SDRAMのメモリ帯域2.7GB/秒は、2.1GB/秒のメモリ帯域で十分なFSB 133MHz版の現行Athlonに対してオーバースペックであり、劇的なパフォーマンス向上には寄与しない。2.7GB/秒のメモリ帯域を必要とするのはFSB 166MHz版CPUであり、システム全体のパフォーマンスを考えると、AthlonのFSBが166MHzへ引き上げられるというのは理にかなっていると言えるだろう。ちなみにFSB 166MHz版Athlonこそ0.13μプロセスのThoroughbredコア版Athlon XPという情報もある。FSB 133MHz(Quad Pumped 533MHz)版Pentium 4にぶつけるカタチで4月から5月にかけて市場へ投入されると目されている製品と噂されるが、プロセスルールの変更以外詳細は不明だ。
ただし、1月から3月にかけてKT333チップセットの位置づけが大きく変わってしまったことも影響しているのだろうが、エム・エス・アイ・コンピュータ・ジャパンは今回、この文字列についてノーコメントとしているため、実際にKT3 Ultra-ARUがFSB 166MHz版Athlonに対応するのかは分からない。対応は当初予定されていた幻の“Apollo KT333A”に代わって登場する“Apollo KT400”搭載マザーボードからになるのか、メモリ帯域的にはぴったりはまる現行のKT333マザーボードでサポートされるのか。結論は実際にFSB 166MHz版Athlonが出てみるまでお預けということになる。
3つのブラケットで各種機能を提供
“Bluetooth”サポートも?!
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意味深な印刷を除くと、全体的なデザインは同社従来製品「K7T266 Pro2-RU」によく似ている。拡張スロットはAGP×1、PCI×5、CNR×1。DIMMスロットは3本で、すべてPC2700 DDR SDRAMをサポート。エム・エス・アイ・コンピュータ・ジャパンによると、初期に出荷されたA3リビジョン(チップ刻印の2行目末尾が“CD”)のNorth Bridgeでは2本までのサポートで、KT3 Ultra-ARUが搭載するA4リビジョン(“CE”)では3本すべてでPC2700をサポートするという。
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展示品が搭載していたA3リビジョン版KT333。製品版では2桁目の末尾が写真の“CD”から“CE”に変わっている。一部で“KT333A”と呼ばれているKT333は、どうやらこのA4リビジョンのことを指しているようだ |
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注目は同梱のブラケットで、その数なんと3つ。お馴染みのD-LED&USB“D-Bracket”をはじめ、オンボードのNEC製USB2.0コントローラ用のUSB2.0ブラケット、そして本邦初登場となる5.1chアナログ出力&同軸/光デジタル出力ブラケット“S-Bracket”がパッケージに同梱されているのは見逃せないところだ。USB2.0ブラケットは従来4ポート用意しているが、今回は3ポート。1ポートは“Do not remove, when using bluetooth”というナゾの青いシールで塞がれている。これは文字どおりBluetooth用のポートで、今後MSI製のマザーボード上位機種でサポートされるようだ。タイミングを考えると、おそらくKT400やi845Eチップセット搭載マザーボードから、ということになりそう。エム・エス・アイ・コンピュータ・ジャパンでは、今後マウスやキーボードは順次Bluetooth接続になっていくという見解を示しており、今回のシールはそれに向けた布石といったところだろう。
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S-Bracketは、オンボードのRealtek製AC'97コーデック“ALC650”を利用する5.1chアナログ出力とデジタル出力ブラケット。ALC650は先日発表されたばかりの最新版AC'97コーデックで、DA/ADそれぞれ16/16bitの解像度を持つ一般的なオンボードサウンドチップよりも高い20/18bitのDACを内蔵し、デジタル入出力時のサンプリングレート48/44.1/32kHzをサポート。またGS準拠のWavetable音源を持ち、Direct3Dにも対応するRealtek製のAC'97コーデックだ。この高性能コーデックにより、KT3 Ultra-ARUではサウンドチップなしでサラウンド出力が可能になっている。別にサウンドチップを用意しないためノイズの減少にも寄与するとしているエム・エス・アイ・コンピュータ・ジャパンでは、今後、AC'97コーデックを順次このALC650に変更するという。
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このほかオンボードではPromise製のUltra ATA/133対応IDE RAIDコントローラを搭載するほか、South Bridge“VT8233A”でもUltra ATA/133に対応している。FSBは100~220MHzの範囲を1MHz刻みで設定可能。VCoreは1.725~1.850Vの範囲を0.025刻みで、AGP供給電圧はAuto/1.6/1.7/1.8V、DIMMスロット供給電圧はAuto/2.6/2.7/2.8Vの中から設定できるようになっている。
実売価格は1万8800円~1万9800円。これだけの機能を有しながら2万円を割っているのは実に魅力的だ。ちょっとアヤしげな記述に心ときめかせる人だけでなく、単純にハイスペックのマザーボードを探している人にとっても魅力的な選択肢になるだろう。なお、同時に店頭へ並んだKT3 UltraはオンボードのUSB2.0コントローラとIDE RAIDコントローラが省かれ、同梱のブラケットはD-Bracketのみとなっている。3~4000円程度安価なため、コストパフォーマンスを求めるならこちらもオススメだ。
9日現在の価格
価格 | ショップ |
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KT3 Ultra | |
\14,800 | BLESS 秋葉原本店 |
\14,979 | TSUKUMO eX. |
\14,980 | 若松通商エルプラザ |
\15,200 | コムサテライト3号店 |
\15,600 | TWOTOP1号店 |
\15,799 | カクタソフマップ |
\15,800 | USER'S SIDE本店 |
KT3 Ultra-ARU | |
\18,979 | TSUKUMO eX. |
\18,980 | コムサテライト2号店 |
\19,680 | T-ZONE.PC DIY SHOP |
