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“第2回インターネットホットライン連絡協議会研究会”が開催――トラブルの最新事例を紹介

2002年03月05日 17時28分更新

文● 編集部 田口敏之

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任意団体のインターネットホットライン連絡協議会は4日、都内で“第2回インターネットホットライン連絡協議会研究会”を開催した。同協議会は、トラブルに遭遇したインターネットユーザーからの問い合わせに、適切な対応をするために設立された団体で、研究会は同協議会の活動を広く知ってもらうことを目的としている。インターネットプロバイダー、キャリアー、行政機関、メーカー、弁護士、警察など、50を超える団体(※1)が出席した。

※1 警察庁、警視庁、東日本電信電話(株)(NTT東日本)、経済産業省、(社)コンピュータソフトウェア著作権協会、スパム反対運動リング、ケイディーディーアイ(株)、(株)ドコモ・エーオーエル、日本電気(株)、ニフティ(株)、日本情報保全センター((株)アイビーポート)、松下電器産業(株)、ヤフー(株)など(参加団体より抜粋)

会場内の様子
会場内の様子。50を超える団体から100名近くが集まった

ネット詐欺の手口は、ますます巧妙かつ悪質に

まず、ネットトラブル対策サイト“Web110(ウェブ・ワン・テン)”の代表である吉川誠司氏が、“今ネットの世界で何が起きているのか?――ネット犯罪、トラブルへの対処法”と題して講演を行なった。

Web110代表の吉川誠司氏
Web110代表の吉川誠司氏

内容は、インターネットに関するさまざまなトラブルの具体的な事例を紹介するというもので、“巧妙化するネットオークション詐欺の手口と問題点”、“プロバイダー、ホスティング会社のセキュリティー意識”、“看過できぬ国際電話とトラブル”、“ワン切り急増の原因と課題”、“悪質サイト恐喝の手口”、“迷惑メールをめぐる各種問題点”という、6つのトピックスについて、それぞれ実例を紹介した。

“巧妙化するネットオークション詐欺の手口と問題点”については、最大手のYahoo! Japanがクレジットカードによる本人認証という対策に乗り出してから、激減しているという。しかし「残っている手口が厄介で、オークション型のシステムでも排除しづらい」と同氏は語った。

具体的な実例として、同氏が挙げたのは、複数のオークションサイトに出品を繰り返し、落札が行なわれる前に、入札者に個別に取引を申し出るというもの。出品者は先払いを要求するが、入金しても言い訳をして商品を送付せず、またオークションに同じ商品を出品する。被害者が警察に被害相談に行くと、代金の一部が返されることがあるという。約3割の被害者が返金を受けており、これでは、明らかな詐欺なのか、理由があって契約が履行できないのかを断定できない。

同氏はこの事例について、「巧妙かつ悪質な、新手の詐欺という印象を持っている」と述べた。この手口では、出品者と被害者が直接取引を行なっており、オークションというシステムを介していないので、オークション側が事件に介入できない。また、被害者は落札者ではないために、オークションのシステムにある“評価”を、出品者に対して付ける権利が与えられない。また、一部返金の事実があるため、これは明らかな詐欺だということが断定しづらいのだという。

しかしある時、以前に相談を受けた被害者の1人から、警察に犯人が逮捕された旨の報告があったという。そして、しばらくして被害者の弁護士から連絡があり、実は複数人数による犯行で、犯人グループは被害者に、被害金額と振込手数料のみで示談にしてほしい、と要求しているのだという。

被害者は示談には応じたくないが、裁判をするには、金銭的にも時間的にも余裕がないため、こんな時どうすれば良いのか分からない。と、吉川氏に対して相談を持ちかけている。吉川氏はこれに対して、「被害金額をあきらめることができるのであれば、示談には応じないでほしい。刑事裁判になると思うが、何百人も被害者がいる状況で、1人に負担がかかる心配はないと思う」と答えたという。
また同氏はネットオークションの詐欺について「それぞれの被害金額はわずかなものだが、人の信頼を裏切る行為は極めて悪質。被害者の中には、こつこつお金を貯めて商品を購入しようとした中学生もある。この詐欺が、中学生に与える将来の影響なども考えると、たかが数万円として看過できる問題ではない」と語った。

“プロバイダー、ホスティング会社のセキュリティー意識”では、サービスを利用している企業や団体が、サーバーのデータを書き換えられる、電子メールを勝手に閲覧されているといった被害を受けているにもかかわらず、プロバイダーやホスティング業者が、アクセスログの開示を行なわない事例を挙げた。また、セキュリティーに関する具体的なガイドラインや、被害を受けた場合の責任の所在についても明示されていない場合が多く、同氏は「セキュリティーに関してどれだけ気を配っているのかが甚だ疑問。ガイドラインの設計と、監査が必要なのではないか。また、もう少し柔軟に対応できないものか」と語った。

“看過できぬ国際電話とトラブル”では、ADSLの利用者で、電話回線が物理的にパソコンに接続されていないにも関わらず、国際通話料の請求が来たというトラブルが、最近になって続出していることを発表した。原因は今のところ、不明だという。しかし、身に覚えのない請求や、インターネットに繋がれてしまったらしい国際電話料金の請求に関する相談は、国内に6社ある国際電話会社のうち、ある1社に集中しているという。

“ワン切り急増の原因と課題”では、特定商取引法の改正以来、スパムメールが激減した反面、一度は沈静化した携帯電話の“ワン切り”(1回だけコールして切る)が多発し始めていることを語った。同氏は、これも一種のスパムであると判断しており、法制で規制できないか、NTT側での対処はできないかと訴えた。

また、“悪質サイト恐喝の手口”では、極めてプライベートなユーザーの個人情報を握り、弱みに付け込んでの口止め料を要求するものから、複雑な規約を用意して、規約違反を理由に違約金を請求するものまで、実例を挙げて説明した。同氏によれば、これらの手口はさまざまだが幼稚なものがほとんどで、消費者の気弱な性格や、法律的知識不足につけ込んで、“払えなくもない微妙な金額”を要求することが多いという。Web110にも、それぞれの手口の事例について掲載しているので、参照してほしいということだった。

最後の“迷惑メールをめぐる各種問題点”では、“ドメイン指定受信”は、携帯電話からのメールを装って送られてくるスパムメールには効果がないことや、プロバイダーの“スパムフィルター”は、真っ当な業者から送られてくるメールまでフィルタリングしてしまう可能性があることを指摘した。そして、特定商取引法の改正によって、“!広告!”や“!連絡方法無!”と、メールのサブジェクトに表記しなければならなくなっても、その通りに従って送り続ける業者があること。連絡先の表示を義務づけても、本当の住所を明かさないなどの実例を挙げた。さらに、迷惑メールの根底に潜む問題は、その内容と方法であるという。同氏は、迷惑メールの内容は、ほとんどがアダルトサイトや、悪質な出会い系サイトの宣伝であることが多く、そのようなメールが、未成年に対しても構わず送りつけられている現状を問題視していると述べた。また、悪質な“スパマー”が野放しになっており、真っ当な事業者が規制を受けると、全体的なモラルの低下につながりかねないと語った。

同氏は、最後の締めくくりとして「それぞれの立場で、今何ができるのか、今何が不足しているのかを考えてほしい。法的な規制の不備もあるが、通信事業者や相談窓口の方、行政の方、それぞれにできることがあるはず。マスコミの方も、必要以上に不安をあおり立てるだけでなく、正しい情報と、正しい対策の仕方を消費者に伝えてほしい。できることから始めていきましょう、というのが私の意見。私個人ができることは、非常に微力ではあるが、こういった会合の場も出来たことだし、ひとつひとつ、解決の方向に導けたら良いと考えている」と述べた。

電子メールに対する、法律施行規則の改正へ

また次に、“電子メールによる一方的な商業広告の送りつけ問題(いわゆる迷惑メール問題)に対応するため、平成14年2月1日施行の「特定商取引に関する法律施行規則の改正」について”と題して、経済産業省商務情報政策局、消費経済政策課、課長補佐の原英史氏が講演を行なった。

経済産業省商務情報政策局、消費経済政策課、課長補佐の原英史氏
経済産業省商務情報政策局、消費経済政策課、課長補佐の原英史氏

内容は、同省が1月10日に公布し、2月1日に施行した“特定商取引に関する法律施行規則の一部を改正する省令”についての解説。同省令は、具体的には、通信販売事業者が電子メールで消費者に広告を送付する際に、住所氏名に加えて、サブジェクト欄に“!広告!”と明記することを義務づけるもの。また、消費者がメールの受け取りを希望しない場合のために、連絡先と連絡方法の明記を義務づけている。そして、連絡方法を明記しない場合には、サブジェクト欄に“!連絡方法無!”と明記しなければならない。

同氏は「一方的な商業広告の送りつけの問題には、2つの側面があると思っている。1つは、商売のやり方の問題。広告メールの内容は、政治目的や宗教目的などさまざまだが、多くが商売を目的にしている。最も多いのは出会い系のサービスで、消費者を強制的に商売に引きずり込むものも多くある。もう1つの側面は、通信の問題。大量の宛先不明のメールを一度に送信することは、半公共的なインフラであるインターネットに対して、大きな負荷をかけている」

「今回の改正は、“表示義務”の枠組みの中で行なったものだったので、表示を義務づけるだけに止まった。すでにテレビや新聞などで報道されたが、我々は国会に、迷惑メールについての2つの法案を提出する予定。この2つの法案は、先に挙げた2つの問題に対して対応するもの」だとしている。

同氏によれば、1つは与党内で調整中なのでまだ公開できないが、1つは3月1日に閣議決定したという。これは具体的には、消費者が電子メールによる商業広告の受け取りを希望しない旨を事業者に行なった場合、その消費者に対する商業広告の再送信を禁止するというもの。違反した事業者は、行政処分(指示、業務停止命令)の対象となり、さらに違反を繰り返した場合は、2年以下の懲役、または3億円以下の罰金という罰則の適用を受けることになるとしている。

同氏は「迷惑メールは、電子商取引の発展という観点から見ても、重大な阻害要因となっている。強調させてもらいたいのは、電子メールによる広告全般をネガティブに捉えているわけではないということ。これをもっと活用していく余地はある」と語った。

その後、同協議会から各団体に対しての、連絡と呼びかけが行なわれた。同協議会は、もっと多くの団体に参加してもらい、相談事例の公示や、情報材料の提供をしてもらいたいと呼びかけ、インターネット上の詐欺などを防ぎたいとした。また、2~3ヵ月に1回は、今回のような研究会を開催していきたいとしている。

会場内に展示してあった、“悪質商法対策ゲーム”(消費者教育支援センター発行)
会場内に展示してあった、“悪質商法対策ゲーム”(消費者教育支援センター発行)。中学生以上が対象で、すごろくで遊びながら、悪質商法への対策を学べるという。価格は、1部840円

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