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セイコーエプソン、A3ノビ対応の顔料インクジェットプリンター『PM-4000PX』など“Colorio”シリーズ2製品を発表

2002年03月06日 02時02分更新

文● 編集部 田口敏之

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セイコーエプソン(株)は5日、同社のインクジェットプリンター“Colorio”シリーズの新製品として、『PM-4000PX』と『PM-850PT』の2機種を発表した。PM-4000PXは、最大A3ノビまでの用紙に対応し、同社が新開発した顔料インク『PXインク』を採用している。発売は22日で、価格は9万4800円。PM-850PTは、コンパクトフラッシュ、スマートメディア、メモリースティックの3種類のメモリーカードスロットを搭載しており、パソコンと接続しなくても印刷が可能。発売は15日で、価格は3万9800円。販売は、エプソン販売(株)を通じて行なう。

併せて同社は、“PRINT Image Matching II(PIM II)”の開発を発表した。これは、デジタルカメラで撮影した写真を、撮影者の意図に沿って、最適に印刷するという技術で、同社が2001年に発表した技術“PRINT Image Matching(PIM)”をバージョンアップしたもの。PIM IIに最初に対応し、高画質写真を印刷できるというソフトウェア『EPSON PhotoQuicker』は、6月に同社ウェブサイトからのダウンロードによる配布を開始する予定。

PM-4000PX――耐久性と発色性を兼ね備えた顔料インク『PXインク』を採用

PM-4000PXは、A3ノビまでの用紙に対応し、最大2800×1440dpiでの印刷が可能。付属する『CD-Rプリントトレイ』や『ロール紙ホルダ』を利用して、CD-R/RWのレーベル面への直接印刷や、ロール紙への印刷も行なえる。また、用紙厚1.3mmまでのボード紙への印刷にも対応している。

『PM-4000PX』
『PM-4000PX』

同製品の特徴は、同社が新開発した顔料インク『PXインク』を採用していること。同社製品として、顔料インクを用いたA3インクジェットプリンター『MC-2000』があるが、対応する用紙も少なく、どちらかというとプロ向けの製品であったという。今回、PXインクを開発し、採用したことにより、用紙適応性が向上し、専用紙だけでなく、再生紙や普通紙などでも高品位な印刷を行なえるようになったとしている。

顔料インクは、Colorioシリーズで使われてきた染料インクと較べて耐水性が高く、耐光性と耐ガス性を兼ね備え、色安定性が高く変色しにくい。PXインクは、この顔料インクに、同社独自の改良を施したもの。具体的には、インクの粒子を微細化し、かつ樹脂でカプセル化している。これにより、印刷を行なった際に、樹脂が印刷面で皮膜化し、なめらかな質感の印刷面を得られるとしている。なお“PX”とは、“写真(Photo)”、“保存性(Permanent)”、“顔料(Pigment)”、“普通紙(Plain Paper)”などの頭文字“P”と、この技術が持つ可能性を表わす“X”を組み合わせたものだという。

染料インクと顔料インクの比較。染料インクは水に溶けるのに対して、顔料インクは全く溶けない
染料インクと顔料インクの比較。染料インクは水に溶けるのに対して、顔料インクは全く溶けない
PM-4000PXが採用しているインク射出ノズルの断面図
PM-4000PXが採用しているインク射出ノズルの断面図

同社では、高濃度の顔料インクによって、高解像度に見合った印刷結果を得るため、インク滴を射出するノズルの筒を長くし、インク滴を真っ直ぐ正確に飛ばせるようにしている。これによって、高精度な印刷結果を得られるという。また従来は、インクを射出していない状態のノズルに付着したインクが粘度を持ち、高速で射出できなくなるという欠点があった。この対策として、同製品では、ノズルに微振動を加えるという技術を採用している。

最小インク滴は4pl(ピコリットル)で、同社製品で染料インクを用いるインクジェットプリンター『PM-950C』の最小ドット滴、2plの倍となっているが、染料インクは、着弾すると被印刷物の表面に染みこんで、横方向に広がる性質を持っている。このため、横方向に広がらない顔料インク滴の4plと、染料インク滴の2plとでは、実際に紙にインク滴が着弾した際には、同程度の大きさになるという。

染料インク滴と、顔料インク滴が着弾した際の違い
染料インク滴と、顔料インク滴が着弾した際の違い

また同製品は、PM-950Cと同様“インクチェンジシステム”という機能を備えている。標準で付属するインクカートリッジ“フォトブラック”“グレー”“シアン”“マゼンタ”“イエロー”“ライトシアン”“ライトマゼンタ”の7色に加えて、“マットブラック”をオプションとして用意しており、フォトブラックと入れ替えられる。マットブラックは、フォトブラックの3倍の色の濃度を持っている。“マットブラック+マットブラック”という組み合わせも可能で、黒色をより強調した印刷を行なえる。

インクチェンジシステム
インクチェンジシステム

また、グレーはフォトブラックの3分の1の濃度となっている。グレーインクを採用したことによって、CMYK各色の中間色を表現でき、色の階調精度が向上した上に、濃いインクのドットを目立たせないという効果も得られるとしている。また、モノクロ写真のプリントなど、モノクロプリントにおける表現を高めているという。これまでのColorioシリーズの7色インクでは、“グレー”ではなく“ダークイエロー”を採用していた。この変更は、プロやハイアマチュアといった、PM-4000PXがターゲットとしているユーザー層からニーズの高い、モノクロプリントを重視したものだという。

ノズルの数は、黒が96ノズル、カラーは576(各96×6色)ノズル。マットブラックの使用時には、黒が192(各96×2)ノズルで、カラーが480(各96×5色)ノズルとなる。

インクカートリッジ。インクがなくなると、LEDが点灯する
インクカートリッジ。インクがなくなると、LEDが点灯する

CD-R/RWのレーベル面への印刷も、PM-950と同様に前面から行なえる。本体の内部には、CD-R/RWの位置を検出するセンサーを備えており、正確な印刷を行なえるという。専用の印刷ユーティリティーソフトも付属する。また、ロール紙ホルダを利用すれば、ロール紙への印刷も行なえ、オプションでロール紙のオートカッター(8000円)も用意している。

CD-Rのレーベル面への印刷を行なうためのカートリッジ
CD-Rのレーベル面への印刷を行なうためのカートリッジ
ロール紙のオートカッターと、ロール紙を受け止めるバスケット
ロール紙のオートカッターと、ロール紙を受け止めるバスケット

対応する用紙サイズは、L版~A3ノビサイズ縦用紙。A3ノビ/A3/A4用紙、はがき、およびL版と2L版で、4辺フチなし印刷に対応する。なお、染料インク向けの光沢紙への印刷には対応していない。接続インターフェースは、パラレル、IEEE1394、USB 2.0の3種類を装備する。本体サイズは幅631×奥行き334×高さ205mmで、重さは約11.2kg。電源はAC100Vで、消費電力は19W。対応するOSは、Windows 95/98/Me/NT 4.0/2000/XP、Mac OS 8.1以降となっている。

本体背面。3つのインターフェースを備えている
本体背面。3つのインターフェースを備えている

PM-850PT――家族みんなで使える家庭用プリンター

PM-850PTは、同社製品のインクジェットプリンター『PM-790PT』の後継機で、コンパクトフラッシュ(Type II)、スマートメディア、メモリースティックの3種類のメモリーカードスロットを備え(USB接続のカードリーダーを使用することで、SDカード、マルチメディアカードにも対応)、パソコンに接続しなくても印刷が可能(ダイレクトプリント機能)。

『PM-850PT』
『PM-850PT』

同製品は、PM-790PTのユーザーから受けた、ロール紙のオートカッターを標準で備えてほしい、デジタルカメラで撮影した画像データを、パソコンを用いずに、MOやメモリーカードに保存したいなどといった要望に、すべて応えているという。ロール紙オートカッターを標準で装備したほか、本体のUSB端子に、USBのマスストレージクラス対応のMOドライブ(※1)や、メモリーカードリーダーなどを接続して、パソコンを起動しなくても画像データの保存を行なえるようになっている。

※1 対応するMOドライブは、オリンパス光学工業(株)の『TURBO MO mini』『同 EX』『同 II』『同 EX II』、ロジテック(株)の『LMO-A630U』『HMO-640USB(S)/LMO-F636U(B)』、(株)アイ・オー・データ機器の『MOC-U640/MOC-640(SL)』、(株)富士通パーソナルズの『HMO-640USB』、ヤノ電器(株)の『XS64A-S』、富士通コワーコ(株)の『ZEBO MO640 U1』(3月5日現在)

プリントエンジンは、同社製品『PM-830C』と同等となっており、印刷速度および内部の処理速度がPM-790PTに比べて向上し、ダイレクトプリント時の印刷速度は、約2倍速となったという。具体的には、光沢の写真用紙を用いて、L版に4辺フチなし印刷を行なった場合、2分4秒で印刷できる。またパソコンとの接続時にも、A4フルカラー原稿1枚あたり、約3分40秒で印刷を行なえるとしている。

ユーザーインターフェースも一新しており、本体に搭載する液晶ディスプレーや、操作用のボタン類のサイズが、PM-790PTよりも大きくなった。印刷データは、本体のみでトリミングを行なえるようになった。また、すべてのエラーに対して、何が問題なのか、ユーザーが次に何を行なわなければならないかを、液晶ディスプレーに表示し、ユーザーをサポートする。さらに印刷の細かい設定を保存しておいて、ボタン1つで呼び出せる機能“ワンタッチメモリー”や、印刷の最中に次の印刷を予約できる機能(最大5件まで)も搭載している。

本体付属の液晶ディスプレーとボタン類
本体付属の液晶ディスプレーとボタン類

また写真の周囲に、さまざまな画像のフレームを付けて印刷する機能“PRINT Image Framer(PIF)”を利用でき、メモリーカードからの直接印刷にも対応している。PIFのフレームの種類は、本体に付属するもののほか、同社のウェブサイトからダウンロードして追加できる。同社は、ユーザーがオリジナルのフレームを作成できるソフト『PIF DESIGNER』を、5月下旬ごろに同社ウェブサイトから無償で配布するとしている。

本体背面のインターフェース。中央のUSB端子で、MOドライブやカードリーダーなどを利用できる
本体背面のインターフェース。中央のUSB端子で、MOドライブやカードリーダーなどを利用できる

最大解像度は2880×720dpiで、インクはPM-830Cと同様に、“クロ”1色のカートリッジと、カラー5色一体型のカートリッジを用いる。最小インク滴は4pl。インクノズルは、黒が48ノズル、カラーが240ノズル(48×5色)。はがき~A4サイズの用紙と、幅210mmまでのロール紙に対応する。用紙トレイには、A4で最大100枚、はがきは最大30枚まで搭載できる。

本体前面に搭載しているカードリーダー。コンパクトフラッシュスロットは、マイクロドライブにも対応している
本体前面に搭載しているカードリーダー。コンパクトフラッシュスロットは、マイクロドライブにも対応している
オプションの1.6インチカラー液晶モニター『プレビューモニター』を装着した様子
オプションの1.6インチカラー液晶モニター『プレビューモニター』を装着した様子

対応するメモリーカードは、コンパクトフラッシュ、スマートメディア、メモリースティック、SDカード、マルチメディアカード(MMC)。また、マイクロドライブにも対応する。SDカード/MMCを利用する際には、市販のUSBカードリーダーが必要となる(※2)。オプションで、1.6インチのカラー液晶ディスプレー『プレビューモニター』(1万2000円)も用意する。パソコンとの接続に用いるインターフェースはUSB 1.1。本体サイズは幅492×奥行き290×高さ228mmで、重さは約6.4kg。電源はAC100Vを使用し、消費電力は約15Wとなっている。

※2 対応するカードリーダーは、(株)メルコの『MSR-SD』、ハギワラシスコム(株)の『FlashGate HBC-USD1』、マイクロテクインターナショナル(株)の『ZMMC-P/J』(3月5日現在)

撮影者の意図に最適な印刷技術“PRINT Image Matching II”

PIM IIは、デジタルカメラ業界標準の画像形式として制定された“Exchangeable Image File Format(Exif) 2.2”に対応したという。また、プリンターにデジタルカメラの画像情報を、より緻密に反映させるために、ノイズリダクション機能と、撮影シーンに応じた補正の組み合わせを自由にカスタマイズできる機能を付加している。

PIM II対応プリンターで反映可能な設定の一覧
PIM II対応プリンターで反映可能な、デジタルカメラの設定の一覧

PIM IIはPIMと上位互換が可能で、PIM II対応のプリンターは、PIMに対応するデジタルカメラ、PIM IIとExif 2.2の両方に対応しているデジタルカメラカメラ、およびExif 2.2にのみ対応しているデジタルカメラで、撮影者の指定した設定通りの印刷が行なえるという。

2002年には、シェア55%を目指す

セイコーエプソン専務取締役情報画像事業本部長の木村登志男氏
セイコーエプソン専務取締役情報画像事業本部長の木村登志男氏

今回発表したPM-4000PXは、オフィスユース、ホームユース、グラフィックユースなど、全てのシーンにおけるユーザーからの高い要求に応えられる製品として、プロやハイアマチュアなどを含めた、広いユーザー層をターゲットにしていくという。またPM-850PTは、家族の誰もが利用できるユーザーフレンドリーなプリンターとして、ホームユースにターゲットを絞り込み、今後の“パソコンライフの構造改革”を図るという。同社では初年度の売り上げとして、PM-4000PXは30万台、PM-850PTは50万台を見込んでいる。

同社の売り上げの推移
同社の売り上げの推移をあらわすグラフ

同社はこれらの製品により、既存製品と新製品のラインアップを強化し、“豊かなIT生活を演出するカラリオ”を目指すプロモーションを行なっていくという。また同社は、インクジェットプリンターの市場において、同社製品のシェアが54.5%を占めているとしており、2002年には55%のシェアの獲得を目指すという。また2002年の売り上げ高は、5%増を目指すとしている。

エプソン販売代表取締役社長の降旗國臣氏
エプソン販売代表取締役社長の降旗國臣氏

エプソン販売代表取締役の降旗國臣氏は「年末に発表した5つのモデルに加えて、春の商戦に向けた3モデルのうちの2つを、今回は発表させていただく。PM-4000PXは、コンシューマー市場からビジネス市場まで、またPM-950PTは、パソコンユーザーからパソコンを持っていないユーザーまで、幅広いユーザー層を見込んでいる」と述べた。

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