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【IDF Spring 2002 Vol.4】AMDがIDF会場近くで次世代プロセッサー“Hammer”を公開

2002年03月01日 16時42分更新

文● 塩田紳二

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例年のことだが、IDFの開催が近づくとAMDからプレス向けのブリーフィングの案内が来る。インテルがIDF会場でさまざまな技術を披露している近くで、AMDも何か見せてくれるのである。ただ残念ながら、毎回おもしろいものを見ることができるわけではない。前回の“IDF Fall 2001”の際には、Athlonのモデルナンバーの話だけでちょっとがっかりした。しかし、今回はAMDの次世代プロセッサー“Hammer”を見ることができた。正しくはIDFでの発表ではないのだが、IDFレポートとしてお送りする。ご容赦いただきたい。

こうした状況にインテルも気が付いたのか、最近のIDFはプレス向けのセッションが目白押しという状態。これじゃあDeveloper ForumじゃなくてPress Forumだという声も聞く。

ベールを脱いだ2種類のHammer

その忙しい合間を縫ってAMDのブリーフィングに行ってきた。もっとも内容は、行く前に分かっていた。先にプレスリリースが出ていたのである。“AMD、次世代プロセッサーをデモ ─“Hammer”プロセッサーのデモ、64ビット/32ビット技術で初披露─”というやつである。

1月末にニューヨークで開催された“LinuxWorld”でもAMDのブリーフィングに呼ばれたが、このときは話だけで、実物は拝ませてくれなかった。しかし近々デモできるという話だった。

そして“IDF Spring 2002”が開催されている26日からAMDのデモが開始されたのである。場所は、IDF会場のMoscorn Centerに近いとあるホテルの1室。そこに“第8世代”プロセッサー“Hammer”があった。稼働しているマシンは2台。片方では32bitモード(従来のAthlonと同じIA-32互換環境)でWindows XPが動き、もう片方は64bitモードでLinuxが動作していた。Hammerには、もう1つ互換モードというのがあり、これは64bitモードの中でIA-32完全互換環境を実現するもの。まあi386のVirtual 86モードのようなものだ。

AMDのClawHammer用マザーボード『Solo 2』
AMDのClawHammer用マザーボード『Solo 2』

使用チップセットは、直前に発表されたAMD-8000チップセットである。AMD-8000チップセットとHammerとはHyper Transportで接続され、USBやEthernet、PCIバスなどに変換するI/O Hub(AMD-8111)、AGPポートに変換しつつ、Hyper Transport信号も出力するAGP 3.0 Graphics Tunnel(AMD-8151)などがある。デモに使われていたマザーボード『Solo 2』にはこの2つが使われていた。

ClawHammerとAGP 3.0 Graphics Tunnel(AMD-8151)。中央に見える斜めに走っているパターンがHyper Transportの信号線
ClawHammerとAGP 3.0 Graphics Tunnel(AMD-8151)。中央に見える斜めに走っているパターンがHyper Transportの信号線

また、Hammerチップは“ClawHammer”(シングルプロセッサーのみ)、“SlegeHammer”(マルチプロセッサー対応)の2つがあった。もっとも見たのはパッケージであって、プロセッサーチップそのものではない。両社の大きな違いはピン数であり、ClawHammerが754ピン、SlegeHammerが940ピン。パッケージサイズはほとんど同じで、754ピンの場合には中央部分が空いているが、940ピンの場合にはほとんど隙間無くピンが配置されていてまさに剣山である(挿入ミスを防ぐためか、ところどころピンが欠けているところがあるが)。

ClawHammerとSledgeHammer。上面は熱を逃がすためにPentium 4(Northwood)と同様の金属プレート状になっている
写真手前(左下方向)がClawHammerで、奥側(右上方向)がSledgeHammer。上面は熱を逃がすためにPentium 4(Northwood)と同様の金属プレート状になっている

デモを見た後、担当者から説明を聞く。使っているPowerPointスライドのファイル名が“IDF Spring”となっているのがちょっとすごい。AMDの社内では「こんどのIDFでHammerのデモを行なう件なんですが……」なんて打ち合わせをやっているんでしょうかね。

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同I/O Hub(AMD-8111)。AGP 3.0 Graphics Tunnel(AMD-8151)と8bitのHyper Transportで接続している。こちらはちゃんと型番の刻印などがある

Hammerについては、いままでさんざん説明を受けてきたが、ようやく動いている本物を見ることができた。比較対照できるリファレンスマシンは無いので、デモマシンが速かったのかどうかは不明。Windows XP上でOffice XPを使ったベンチマークの画面を見ている限り、そこそこの速度は出ているようだ。前に聞いた話では、同クロックのAthlonと比較すると30%は速いということだ。インテルのHyper-Threadingもやはり30%程度の向上が見られるとのことなので、来年登場するインテルのPrescottともいい勝負になるのではないかと思われる。しかも、今度はインテルもクロックだけでは性能を語れない状態だ。
 両者が登場した時点では、たぶんWindows XPなどの32bitOSでのベンチマークと舌戦とで争うという感じなのだろう。ただ、64bitモードで動くLinuxと、Prescottの32bit版Linuxとの速度比較がどうなるのか? 64bitで多少効率がよくなる部分もあるはずだが、実際にベンチでも取ってみないと分からないところ。

x86-64戦争が始まる?

ちょっと気になるのが、インテルもIA-32を64bit化する計画を持っているというウワサ。そういえば、以前インテルのチャンドラシーカ副社長にインタビューしたときに、低価格64bitマシンの可能性を聞いたら「もしどこかが、デスクトップ向けに安価な64bitマシンを出したとしたら、我々もそういうゲームをするだけだ」と答えていた。

心配性のインテルのこと、Hammerが低価格でかつ64bitというビジネスについては、なんらかの対抗策を用意しているに違いない。それがIA-32の64bit化であってもなんの不思議もない。最近のCPUは、ソフトウェアから見えるアーキテクチャーと実際のハードウェアが一致していないし、命令はさらにマイクロ命令に変換されて実行されるので、 IA-32の64bit化にそれほど多くのトランジスター数は必要ないと思われる(IDFでのプレゼンテーションによるとPrescottではNetBurstアーキテクチャーを強化する予定だという)。いまのPentium 4にHyper-Threadingを意味するフラグが入っているように、Prescottに64bitプレフィックス(命令の前に付けると32bit動作が64bit化するコード)が入っていても不思議はないのかも。

Hammerシリーズの登場でいよいよAMD対インテルの戦いも新たなステージを迎える。Pentium 4対抗で、モデルナンバーを持ち出したAMDの巻き返しはなるか? 最初のHammerは今年後半(年末か?)に登場するClawHammerだが、その前哨戦はすでに開始されたようである。

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