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パソコン検定委員会事務局、中学生を対象にした無償のパソコン講習“IT教育運動”を実施

2002年02月25日 22時07分更新

文● 編集部 田口敏之

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省庁OBや教育者、一般企業などからなる任意団体のパソコン検定委員会事務局(以下P検事務局)は25日、全国の中学生約425万人を対象に、無償のパソコン講習“IT教育運動”を実施すると発表した。4月に全国の中学校で開始されるパソコンを使った情報教育に備えて、中学生の生徒間のデジタルデバイドを解消し、教員の負担を軽減するのが目的。期間は、4月1日から12月末までの約9ヵ月間。講習は、同事務局が認定するPASS(P-ken Authorization Special School)認定校が行なう。

IT教育の現状について
中学校における情報教育の現状と今後の展開

全国の中学校では、本年4月に、パソコンを使った情報教育が開始される。しかし、文部科学省の調査によれば、パソコンを用いて授業を行なえる中学校の教員は、全体の約36%となっており、教師の間にもデジタルデバイドが生まれているという。また、P検事務局の調査によれば、家にパソコンがある生徒は全体の約88%だが、自由に利用できる環境にある生徒は約39%で、パソコンを利用できる生徒とそうでない生徒の間にも、デジタルデバイドが生まれているとしている。

同事務局では、デジタルデバイドの解消とITスキルの底上げ、情報教育を行なう教員への負担の軽減を図るため、全国の中学生を対象に、パソコンの講習を行なう。生徒は、講習を無料で受けられる(ただしテキスト代は別途必要)。講習は、PASS認定校がボランティアで行なうことになっている。同運動について、全国に約1700校あるPASS認定校に、同事務局がアンケート調査を行なったところ、100%が賛同の意を示しており、ほぼ全てのPASS認定校で、講習の実施が見込まれるという。また、(社)日本教育工学振興会(JAPET)と、全日本中学技術・家庭科研究会が後援する。

講習の内容は、パソコンの基本操作や日本語入力、インターネットの利用方法など、全部で3時間程度の実技講習。具体的な授業の内容は、たとえば住所をメールアドレスに、プロバイダーを郵便局にたとえて電子メールについて学び、最終的にはメールソフトを用いて、実際に電子メールを送信するところまで学ぶ。テキストには、(株)旺文社が発行している、P検5級に対応した『はじめてのコンピュータ』を用いる。価格は300円。カリキュラムは同事務局が作成するが、講習の回数や実施日などは、各PASS認定校に一任されている。講習を終えた生徒は、同委員会のウェブサイトにアクセスし、自分の名前と学年を入力して、ラジオボタン選択式によるアンケートに回答する。このアンケートは修了試験と、講習の実態調査を兼ねているという。

IT教育運動実施のスケジュール
IT教育運動の実施スケジュール

講習の申し込み方法は以下の通り。まず、同事務局が3月下旬に、全国約1万1000校の中学校へ向けて、“無料講習チケット”を送付する。教員は、チケットに学校名と教師名を記入して捺印し、生徒に配布する。これを受け取った生徒は、最寄りのPASS認定校に直接電話で講習の予約をする。受講可能なPASS認定校の一覧は、同事務局がチケットと一緒に学校へ送付するリストのほか、同事務局のウェブサイトや、P検のコールセンター(TEL.03-5338-8784)でも確認できる。

P検委員会事務局長の須古勝志氏
P検委員会事務局長の須古勝志氏

同事務局長の須古勝志氏は、同運動について「昨年末ごろから、P検の学生の受験者数が急増しており、IT教育の重要性が再確認されている。今回の講習を通して、生徒にパソコンを好きになってもらい、学校での情報教育を楽しくスタートしてもらいたい」と述べた。

同事務局では、講習の実施期間である9ヵ月間で、全国の中学生約425万人の1割、約40万人の受講を見込んでいる。

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