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アイ・ビー・イー、映像をデータベース化して管理できるソフト『Outliner』など4製品を発表

2002年02月21日 20時01分更新

文● 編集部 田口敏之

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(株)アイ・ビー・イーは20日、都内の本社に報道関係者を集め、同社の新製品と製品戦略について発表した。発表した製品は、映像データベースによる映像制作支援ソフト『IBE Outliner(アウトライナー)V.2.0』、字幕放送製作ソフト『NeON-III(ネオンスリー)』、TV会議ソフト『GloBiz21(グロービス21)』、ビデオ映像とパワーポイントによるウェブサイトを自動生成できるソフト『IBE EZ(イージー)プレゼンテーター Ver.2.0』の4製品。同日付けで受注を開始し、3月に出荷する予定。

放送局向けに映像制作支援を行なうOutlinerとNeON-III

Outlinerは、マスターテープからMPEG-1/-2/-4に変換した映像の素材をデータベースとして保存し、MPEG映像を管理できるソフト。複数のソフトから構成されている。素材に情報を付け加えてデータベースに登録するソフト『Outliner-Writer』と、データベースに登録された素材を検索してリストアップし、仮編集を行なうソフト『Outliner-Editor』の2製品のほか、利用するデータベースの形態によって、データベースを管理するソフトを用意している。

『IBE Outliner V2.0』
『IBE Outliner V2.0』

用意しているのは、データベースに『Microsoft Access』を用いて、Outlinerをスタンドアローン環境で利用するためのソフト『Outliner-Personal』と、データベースに『Oracle Personal』を用いて、OutlinerをスタンドアローンのOracleデータベースと連携させて利用するためのソフト『Outliner-Professional』、および『Oracle Enterprise』まですべてのOracle製品に対応し、大規模なデータベースと連携して利用するためのソフト『Outliner-Server』の3種類となっている。

サムネイルを選択し、リストアップして出力が可能
サムネイルを選択し、リストアップして出力が可能

MPEGに圧縮された素材のタイムコードは、マスターテープのものと同期しており、仮編集と試写の段階までをパソコンで行なって、本編集へそのままデータを持っていくことができる。これによって、従来は手作業で行なっていた映像制作の行程が、パソコン上で行なえるようになる。また、データベースに素材を保存すれば、複数のオペレーターが一度に同一の素材を扱える。これは、放送局内で別々のニュース番組を作成する際などに役に立つという。このほか、再生/一時停止した個所のタイムコードを自動的に記録し、素材からの台詞起こしをサポートする機能なども備えている。

Outliner-WriterとOutliner-Editorの動作環境は、CPUがPentiumIII-500MHz以上、メモリーが256MB以上(512MB以上推奨)、HDDの空き容量が30MB以上と、『Oracle 9i Client』をインストールするために、500MBの空き容量が必要となる。このほか、2MB以上のビデオメモリーを搭載するグラフィックスカードおよび、MPEG-1のエンコーダーが必要。

字幕作成ソフト『NeON-III』
字幕作成ソフト『NeON-III』

Outliner-Personalの動作環境は、CPUがPentium III-500MHz以上、メモリーが256MB以上(512MB以上推奨)、HDDの空き容量は50MB以上必要。Outliner-Professionalは、Personalと同じ動作環境に加えて、『Oracle 9i Personal』のためにHDDの空き容量が1.7GB必要。Outliner-Serverは、Personalと同じ動作環境に加えて、メモリーが512MB以上と、『Oracle 9i SE』のためにHDDの空き容量が1.7GB必要となっている。OSは、Windows 2000 Professional/Serverに対応する。価格は、Outliner-Personalによるスタンドアローン版が35万円から、Outliner-Professinalによるスタンドアローン・データベース版が52万円から、Outliner-Serverによる大規模データベース版が320万円からとなっている。

一方、NeON-IIIは、映像と文字との連携に特化したソフト。“字幕レイアウト画面”上に文字を入力し、番組などの字幕を作成できる。作成した字幕は、文字単位で色や大きさを変更できるほか、ルビの付加も可能。従来、30分番組の字幕の制作には4~5日間の日数を必要としていたが、同製品を利用すれば、5時間程度で終了するという。同製品は、『ためしてガッテン』や『サザエさん』などといった番組に字幕を付加するシステムとして、一部ですでに運用が始まっているという。また総務省では、2007年までに、全ての放送を字幕放送に対応させるための指導を行なっており、同社では今後、同製品の需要が高まると見ている。同製品は、ソフトをインストールしたパソコンとセットで160万円から提供する。放送番組製作者向けに、初年度100システムの販売を見込んでいる。

TV会議ソフト『GloBiz21』と、自動ウェブサイト生成ソフト『EZプレゼンテーター Ver.2.0』

GloBiz21は、サーバーにソフトをインストールすれば、ウェブブラウザーから利用できるTV会議ソフト。クライアントのパソコンには、USB接続のカメラ、およびマイクを接続して利用する。同時に25人まで参加が可能で、3人までが同時に発言できる。映像と音声による通話のほか、ホワイトボードの共有機能や、アプリケーションを画面上で共有し、プレゼンテーションを行なう機能などを備えている。

テレビ会議ソフト『GloBiz21』
テレビ会議ソフト『GloBiz21』。発言権を持っている人の映像が大きく表示される

同製品は、Linuxを搭載したサーバーにインストールし、サーバー込みで提供する。価格は、25人まで同時に利用できるライセンスが500万円から。また、ASPサービスも提供するとしている。初年度の販売目標は、企業内への単独導入が500システム、ASP利用企業が1000社、販売額は20億円としている。

EZプレゼンテーターは、動画と、動画に連携するスライドショーによるウェブページを、自動的に作成できるソフト。ソフトを起動し、Microsoft PowerPointによるプレゼンテーションの様子を、パソコンに接続したビデオカメラで撮影するだけで、自動的に動画とHTML文書を生成し、PowerPointのスライドをJPEG形式の画像に変換する。ウェブページでは、左上のフレームに動画、左下のフレームにPowerPointの画像の一覧が表示され、右フレームに動画の再生と連携する形で画像が表示される。

『IBE EZプレゼンテーター Ver.2.0』
『IBE EZプレゼンテーター Ver.2.0』。ウェブサイト作成の知識がないユーザーでも、撮影を行なうだけで必要な素材を全て作成できる

また、撮影時にスライドショーの展開などを間違えてしまっても、後から全体の編集を行なうための機能を搭載している。同機能は、『Ver.1』を利用したユーザーからの要望によるものだという。製品のラインアップとして、Windows Media形式で動画を保存できる『IBE EZプレゼンテーター Ver.2.0 for WMT』と、Real Media形式で保存できる『同 for Real』の2種類を用意している。なお、同製品はソフトをインストールしたノートパソコンと併せて提供する。

提供するノートパソコンの動作環境は、CPUがPentium III-600MHz以上(1GHz以上推奨)、メモリーが256MB以上(512MB以上推奨)、HDDの空き容量は1GB以上となっている。OSはWindows 2000/XP Professionalに対応し、PowerPointはPowerPoint 2002、Microsoft Office XP Standardに対応する。このほか、利用にはコンポジット・ビデオ出力が可能なビデオカメラと、ナレーション収録用のマイクが必要。価格はオープン(編集部による予想価格は120万円前後)で、販売は同社の直販および、代理店経由で行なう。主なターゲットとして、教育機関、博物館、放送局、各コンテンツホルダーなどを見込んでいる。

同社代表取締役の菅原仁氏
同社代表取締役の菅原仁氏

同社代表取締役社長の菅原仁氏は、同社の事業について「映像という、それ自体が独自の時間軸を持つデータを、どのようにして扱っていくかを研究し、商品やサービスを提供している」と述べた。また、今回特に力を入れているというOutlinerに関して「映像業界は、最も電子化が遅れている業界の1つ。30分の番組を制作するには、100時間前後の素材を集めて、ビデオテープにダビングして素材を整理し、編集を行なう。こういった行程を、Outlinerは合理化できる」

また、映像をデータベース化することについては「これまで放送局が制作してきた映像は、再利用のことを考えていなかった。後にビデオ化を考えているアニメ作品などは別として、トレンディードラマなど、細かい部分の著作権や肖像権の問題をクリアできないために、再放送できないケースも多い。Outlinerを利用すれば、過去の映像の素材1つ1つを切り出してチェックし、管理できる。これは素材1つ1つに価値が生まれるということでもあり、インターネットで映像を配信する際には、好みの映像だけを切り売りできるようになるかも知れない。メーカーがPOSで商品の管理を行なうように、映像も管理できるようになる」と語った。

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