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ボーランド、ウェブサービス利用アプリの開発が可能な『C++Builder 6』を発表──.NET、Linux対応版も予定

2002年02月19日 23時53分更新

文● 編集部 佐々木千之

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ボーランド(株)は19日、都内で記者発表会を開催し、C++言語のビジュアル開発ツール最新版『Borland C++Builder 6』日本語版を発表した。『Borland C++Builder 6 Enterprise』、『Borland C++Builder 6 Professional』、『Borland C++Builder 6 Personal』の3つのエディションがあり、価格は順に36万円、6万8000円、1万円。3月19日に出荷開始予定。動作OSはWindows 98/2000(SP2以上)/XP。

『Borland C++Builder 6 Enterprise』のパッケージ『Borland C++Builder 6 Enterprise』のパッケージ

ウェブサービスを利用するアプリケーションが開発可能に

C++BuilderはANSI C++に準拠した、Windowsアプリケーションのビジュアル開発ツール。C++Builder 6の最大の特徴は、XMLベースのウェブサービスを利用するアプリケーションのサポートと、第2四半期に出荷予定というLinux版C++開発ツールを利用することで、WindowsおよびLinuxアプリケーションのクロス開発が可能となったこと。

BizSnap、WebSnapなどによって、ウェブサービスを利用するアプリケーション/システムが開発可能になった
BizSnap、WebSnapなどによって、ウェブサービスを利用するアプリケーション/システムが開発可能になった

ウェブサービス関連では“BizSnap(ビズスナップ)”“WebSnap(ウェブスナップ)”“DataSnap(データスナップ)”の3つの機能を搭載した。BizSnapはXML/SOAP対応のウェブサービスを利用するアプリケーションを構築できるビジュアル開発プラットフォーム。WebSnapはウェブサーバーソフトである“Apache(アパッチ)”“IIS(Internet Information Service)”にネイティブ対応したウェブアプリケーションのビジュアル開発プラットフォーム。ウェブアプリケーションのソースレベルでバッグも可能でJavaScriptやVBScriptもサポートした。DataSnapは、XML、DCOM、CORBAを利用して、『Oracle』や『SQL Server』『Informix』『IBM DB2』『Sybase』『Borland InterBase』といったデータベースに接続するミドルウェアを開発できるプラットフォーム。同社のeビジネスシステム向けプラットフォーム『Borland Enterprise Server』上で動作するウェブアプリケーション、クライアントアプリケーションなどの開発も可能。

“CLX(クリックス)”コンポーネントライブラリーによって、WindowsとLinuxのアプリケーションを平行して開発できるという
“CLX(クリックス)”コンポーネントライブラリーによって、WindowsとLinuxのアプリケーションを平行して開発できるという

Linuxとのクロス開発関連では、新しく追加した“CLX(クリックス)コンポーネントライブラリー”を使うことで、WindowsとLinuxの両方で動作するアプリケーションを作成できるという。また、CLXを使って作成されたプログラムソースコードは、Linux向けのC++開発ツールとの互換性を持つとしている。

このほかに、プログラムコンポーネントの構造を示す“オブジェクトツリー”や参照コンポーネントのプロパティおよびイベントの表示、コンポーネントの関係をビジュアルに設計できる“ダイアグラムエディタ”などの機能を追加している。

C++Builderの各エディションの違いは、Enterpriseが企業内開発者向けで、ウェブサービスを利用したB2Bシステムや、多層分散システムの構築が可能なフルパッケージ。ProfessionalはWindowsアプリケーション開発社向けで、EnterpriseからWebSnap、DataSnapなどの機能を取り除いたパッケージ。EnterpriseとProfessionalにはCLXコンポーネントライブラリーが含まれる。PersonalはC++プログラムの学習や趣味のユーザー向けのパッケージで、データベースやウェブサービス関連の機能を持たないパッケージ。商用・業務アプリケーションの開発はできない。

発表会では『Visual C++』『Forte C++』『gcc』『Visual C#.NET』など、他社の開発プラットフォームとの比較がなされた。それによるとVisual C++やForte C++は統合開発環境ではあるが、開発はソースコード中心であり“ビジュアル開発環境”とは言えないという。また、Visual C#.NETは、ビジュアル開発による生産性の高さはあるものの、新しい言語であるため既存のプログラム/人的資産を捨てねばならない問題があるとし、これら資産を受け継ぎながらビジュアル開発による生産性向上をもたらすのはC++Builderだけだとした。

Microsoft.NET対応のC++BuilderとDelphiを年内に発表

ボーランド代表取締役社長の安藤由男氏は、米ボーランド・ソフトウェア社が12日(米国時間)に発表した、Microsoft.NET Platform向け製品戦略について説明した。安藤氏によると.NET対応版の『Borland Delphi』と『Borland C++Builder』を年内に発表する予定という。ただし、これらが既存のWindows版DelphiやC++Builderの延長にある製品なのか、あるいは別系統の製品になるのかなどといったことなど、詳細については未定。また、年内に発表となるのは英語版のみで、日本語を含めた各国語版についても未定という。なお、Linux向けのC++開発ツールは英語版のほか日本語版も予定しているという。名称がC++Builderとなるかどうかについては未定としている。

ボーランド代表取締役社長の安藤由男氏
ボーランド代表取締役社長の安藤由男氏

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