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マイクロソフト、次世代組み込み向けOS『Windows XP Embedded』『Windows CE.NET』を提供開始、家庭向けWindowsテクノロジー“Mira”も紹介

2002年02月19日 21時34分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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マイクロソフト(株)は19日、組み込みでバイス開発者向けカンファレンス“The Windows Embedded Developers Conference 2002 Japan”を都内ホテルで開催し、次世代組み込み向けOS『Microsoft Windows XP Embedded マルチユーザーインターフェース版』、および『Microsoft Windows CE.NET 日本語版』を発表、本日より開発者向けに提供を開始した。

Warren氏
カンファレンスの基調講演で、Windows XP EmbeddedとWindows CE.NETを紹介した米マイクロソフト社エンベディッドアプライアンスプラットフォームグループジェネラルマネージャのTodd Warren氏

Windows XP Embeddedは、Windows XPの機能を組み込み機器向けに提供するソフトウェアプラットフォーム。小売業向けPOSデバイスや、Thinクライアント、セルフサービスキオスク端末、工業用オートメーション機器、ホームゲートウェイ機器、高性能STBといったネットワーク接続型の次世代デバイス向けOSとなっている。

Windows XP Professionalと同じバイナリーベースで、1万種類以上にコンポーネント化されたOS機能やサービス、ドライバーから、ユーザーが必要なものを選択できる。Internet Explorer 6.0、Windows Media Player 8.0、DirectX 8を搭載するほか、“ヘッドレス”(モニター、キーボード、マウスなし)、Flash/CD-ROMからのブート、ストレージオプションといった組み込み機器特有の機能もサポートする。

また、パソコンやサーバー、ウェブサービス、他のデバイスと連携できるようIPv6やIrDA、802.11といったネットワークプロトコル、UPnPなどをサポートする。ユーザー/グループのリモート認証や、デバイスのリモート管理も可能。セキュリティー機能として、KerberosやIPSecなどに対応する。そのほか、開発用の言語対応機能を組み込むだけで各国語言語に対応したデバイスを開発できる。

さらに、Windows XP Embeddedの統合開発環境として、Windows Embedded Studioが用意される。ブート可能なランタイムイメージの作成/カスタマイズ/構築ツール『Target Designer』、コンポーネントの作成/修正ツール『Component Designer』、対象ハードウェアの構成を解析しTarget DesignerやComponent Designerにインポートするファイルを作成するツール『Target Analyzer』、コンポーネントデータベースおよびリポリトジ管理ツール『Component Database Manager』で構成されており、OSのカスタマイズ、デバイス認識、アプリケーション開発などに利用できる。

米Lumenati社のSTB
Windows XP Embeddedのデモで紹介された米Lumenati社の高性能STB。STBとホームゲートウェイを組み合わせたもので、TV機能、音楽再生機能、CD/DVD再生機能などのほか、電子メールやウェブブラウザー、インスタントメッセンジャーなども搭載するという。画面左上には、デモ時に放映されていたTV番組の画面(ソルトレイクシティオリンピックのアイスダンス競技)が表示されている

Windows CE.NETは、次世代スマートデバイスやフットプリントの小さいデバイスを構築するためのリアルタイムOSで、Windows CE 3.0の後継となるもの。カーネルのコンポーネント化により、200KBの最小構成プラットフォーム(最小限のカーネル機能のみで構成)を実現するという。

CPUは、ARM、MIPS、SHx、x86といった4種類のマイクロプロセッサーファミリー(32bit/64bitアーキテクチャー)に対応し、エミュレーション技術もサポートする。セキュリティー機能は、KerberosやSSLに対応している。

また、XMLウェブサービスにアクセスするためのソフトウェア基盤技術“.NET Compact Framework”をサポートし、Internet Explorer 5.5、Microsoft Direct3D API、Windows Media 8 CODEC/コントロールにも対応する。無線技術では、Bluetoothや802.1x/Zero Configurationをサポートしている。

そのほか、設計ツール『Platform Wizard』により、構築するデバイスの種類に合わせてプラットフォームを作成できる。なお同社は、Windows CE.NETのソース開示を行なっており、ユーザーはほとんどのソースコードにアクセスできるようになっている。

日立と富士通のCE.NET端末
(株)日立製作所が本日付けで発表したWindows CE.NET搭載の携帯情報通信端末『NPD-10JWL』(写真左)と、富士通(株)が参考出展したブロードバンド対応のWindows CE.NET搭載POSシステム(右)。日立の『NPD-10JWL』については別記事参照のこと
コマツのCE.NET端末
(株)小松製作所(コマツ)が参考出展したWindows CE.NET端末『WebLightPro』

本日のカンファレンスで基調講演を行なった米マイクロソフト社エンベディッドアプライアンスプラットフォームグループジェネラルマネージャのTodd Warren(トッド・ウォーレン)氏は、「ウェブサービスをさまざまなデバイスをリンクさせることで、ユーザーにリッチなエクスペリエンスを提供できる。デバイスに必要な要素として、小型化を意識してコンポーネント化されたリッチなOS、さまざまなデバイス間の統合、そしてリッチなアプリケーションサービスだ。リッチなアプリケーションを提供することでデバイスの差別化を図れるだろう。われわれはそれをサポートするOSを作る」

「Windows Embeddedの次期バージョン“Longhorn”ではさらなるコンポーネント化を進める。CE.NETの次期バージョン“Macallan”も開発を行なっている。これらの開発には今後も投資を続け、デバイスに対する付加価値を実現したい。これによりデバイスだけでなくパソコンもサーバーもアプリケーションもサービスも共に前進できるだろう」と語った。

また同社は、Windows XP EmbeddedおよびWindows CE.NETの提供開始に伴い、Windows CE.NET用開発ツールキットおよびWindows XP Embedded統合開発環境である『Platform Builder』を、認定パートナーを通じて、5月31日まで特別価格で提供する。なお価格は、認定パートナーにより異なるという。

PlatformWizard
組み込みデバイス構築ツール『Platform Builder』のPlatform Wizardの画面。構築したいデバイスの形態などをウィザード形式で選択しながらプラットフォームを設計できる
CE.NET画面
Platform Wizardで作成したWindows CE.NETの画面

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