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【オーバークロック研究室】Pentium 4-2.0AGHzのオーバークロック耐性を探る(前編)

2002年02月13日 15時49分更新

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●BIOSの設定が反映されない

GA-8IRXPの「Advanced Chipset Features」項目。なんとCAS Latency Timeは1.5にセット可能だ。が、しかし…

 先の結果をふまえて「もう少し何とかならないモノか?」とスピードアップについて考えてみると、FSB設定クロックの操作以外で効果的な手段としてはメモリの動作タイミングを詰めることぐらいしか頭に浮かばなかった。そもそも組立後の通電テストでBIOSにセットした内容は、実装したメモリ(PC2100 CL=2.5)のSPDに書き込まれたデータをそのままBIOSへ鵜呑みにさせてしまう設定であり、これを詰めれば少しは速くなる可能性が残されている。

 再度、BIOS SETUPからAdvanced Chipset Featuresを開いてConfigure DRAM TimingをManualに設定。BIOSで用意されているCAS Latency Timeのパラメータは写真の通り、1.5、2、2.5の3通りとなっている。ここで驚いたのは、CL=1.5という選択肢があることで、本当にこのタイミングが通用するのか少々疑問に思ったが、何れにせよメモリスピードを追求する側にとっては歓迎できるパラメータだ。このCL=1.5は後で試すとして、先ずはCL=2をセット。残りの項目もSPD設定より速くなるパラメータをセットした(ちなみにActivate to Precharge delay=5、DRAM RAS to CAS Delay=2、DRAM RAS Precharge=2を選択した)。



WPCREDIT
WPCREDIT(H.Oda!氏作)でチップセットのレジスター内容を確かめてみる。メモリの動作タイミングに関係する番地は78h、79h、7Ahである。※注意:WPCREDITを使用する上で如何なる損害を被っても作者や筆者及びASCII関係者は一切の責任を負わない点を十分に認識した上で活用していただきたい。
i845Dのデータシートから抜粋したレジスターセッティング表
【表2】i845Dのデータシートから抜粋したレジスターセッティング表

 ところが再起動後にSuperπで104万桁を計算させてみたが、所用時間は先と同じ95秒で全く変化がみられない。「確かにSAVE EXITしたはずなのに」と再度Advanced Chipset Featuresを開いて確かめてみたが、先ほどの設定通りのパラメータが並んでいる。「もしかしてここでの設定が反映されないワケ?」と再びWindowsXPを起動してチップセットのレジスター内容を調べてみたところ、i845Dのデータシートのリファレンス内容から判断すると思った通りBIOS SETUPでの操作が反映されていなかった。メモリスピードに関する項目を表に抜粋してみたが、BIOS SETUPで何れのパラメータをセットしても(先のCAS Latency Time=1.5も含めて)チップセットにレジストされるパラメータは78h=00h、79h=02h、7Ah=00hで、具体的に言うとCAS Latency=2.5、Activate to Precharge delay=6、DRAM RAS to CAS Delay=3、DRAM RAS Precharge=3、DRAM Idle Timer=infinite(無限)に固定されている。

 そこでWPCREDIT(H.Oda!氏作)の機能を活用してWindowsXP上から直接、チップセットのレジスターに表で示したSpecial dataを書き込んでみた(ただし、この行為は、柔なメモリだとレジスター内容を書き換えた途端にハングアップしてしまうこともある。場合によっては思いもよらぬ被害を被る可能性があるので応用される時にはリスクを承知で実行して欲しい)。Special dataと言ってもCAS Latency=2、Activate to Precharge delay=5、DRAM RAS to CAS Delay=2、DRAM RAS Precharge=2、DRAM Idle Timer=0に該当するパラメータであり、BIOS SETUPで設定しようとした行為に準ずる数値である。結果的にチップセットのレジスター内容を書き換えた直後に実施したSuperπの計算時間は、元の状態から4秒の短縮に成功し90秒切りにあと2秒と迫った。

 なお、このチップセットレジスター78h番地のパラメータに関してもしかすると隠しパラメータがあるかも知れない。それは、BIOS SETUPで用意されていたCAS Latency Time=1.5の存在が根拠である。i845DのデータシートではCAS Latencyの選択肢は「2」と「2.5」の2つだけがサポートされているが、パラメータとしてはあと2通りセット可能なのだ。ただし、この2つは「Reserved」となっていて正式にサポートされていない。「危険」を承知で試した結果、78h番地だけを30hとセットした場合は、即ハングアップに見舞われたものの20hではどうにか動作しそうな気配をみせた。そこでSpecial dataをもとに他の項目も高速設定となる78h=25h、79h=04h、7Ah=01hに書き換えてSuperπを走らせてみたところ、先のSpecial dataをセッティングした時より1秒短縮の90秒で計算を完了した。確かな裏付けはないのだが、非サポートのパラメータのうちの一つはCAS Latency=1.5の可能性が高いと思われる。そして、もしかするとハングアップしたパラメータはCAS Latency=1なのかも知れない。ただ、この推論が当たっていたとしてもメモリの性能に左右される条件を持つことから、FSB設定クロックを高くすると余程のメモリでなければたちまちついてこれなくなるだろう。したがって「幻のパラメータ」程度に考えておいた方が良さそうだ。

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