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インテル、『PXA 250/210』発表会開催――最初の搭載製品は今年半ばに登場

2002年02月12日 22時15分更新

文● 編集部 佐々木千之

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インテル(株)は12日、都内で記者発表会を開催し、PDA/携帯電話向けプロセッサー『PXA 250』『PXA 210』を発表した。価格はPXA 250-400MHz版が5100円(1万個ロット時)、PXA 250-300MHz版が4000円、PXA 250-300MHz版が2800円、PXA 210-200MHz版が2500円、PXA 210-133MHz版が2200円で、現在サンプル出荷中。PXA 250を搭載したPDAが2002年半ばまでに登場する見込み。

『インテル PXA 250 アプリケーション・プロセッサ』
『インテル PXA 250 アプリケーション・プロセッサ』(17×17mmのプラスチックBGAパッケージ)

発表会で挨拶した米インテル社ワイヤレス・コミュニケーションズ&コンピューティング事業本部 ハンドヘルド・コンピューティング事業部長のピーター・グリーン(Peter Green)氏によると、携帯電話では製品投入サイクルが短くなっており、これまでのよう各社独自のシステムを作り込んでいくやり方では間に合わなくなってきているため、標準的なハードウェアやツールに期待が高まっているという。

米インテル社ワイヤレス・コミュニケーションズ&コンピューティング事業本部 ハンドヘルド・コンピューティング事業部長のピーター・グリーン氏(左)と、インテル(株)代表取締役社長のジョン・アントン氏
米インテル社ワイヤレス・コミュニケーションズ&コンピューティング事業本部 ハンドヘルド・コンピューティング事業部長のピーター・グリーン氏(左)と、インテル(株)代表取締役社長のジョン・アントン氏

インテルはこのような期待に応えるものとして、以前から次世代の通信端末向けに“インテル パーソナル・クライアント・アーキテクチャ(PCA)”というコンセプトを提唱している。インテルPCAでは、主要な構成をアプリケーション処理部(演算部)とベースバンド処理部(通信部)、メモリー部の3つに分けることで、演算部と通信部の開発を並行して行なえることや、演算部に汎用のプロセッサーを使用することで、開発工数を短縮できるとしている。

グリーン氏の示した、PDAの機能とそれが必要とする処理性能のグラフ。左はPalm機、中央はPocket PCに相当する
グリーン氏の示した、PDAの機能とそれが必要とする処理性能のグラフ。左はPalm機、中央はPocket PCに相当する

今回発表したPXA 250/210はこの演算部を受け持つプロセッサーで、インテルのIA-32やStrongARMと共通のAPIを提供するライブラリー“インテル インテグレーテッド・パフォーマンス・プリミティブ(IPP)”のサポートによって、従来のStrongARM向けに開発したソフトの移植や、将来のプロセッサー向けの開発が容易になるという。

StrongARMとPXA 250/210の消費電力の比較
StrongARMとPXA 250/210の消費電力の比較

グリーン氏は、StrongARM(SA 1110)を搭載した米コンパックコンピュータ社のPocket PC『iPaq(アイパック)』が0から20数%にまでシェアを伸ばしたことを挙げ「今後はさらに高機能で通信機能を備えた端末が登場する。PXA 250/210はStrongARMを上回る高性能を実現しつつ消費電力を下げた、こうした次世代の端末にぴったりのプロセッサーだ。今年の中頃にはPXA 250/210を搭載した製品が出てくるだろう」と述べた。

インテル通信営業本部モバイルデバイス営業推進部長の漆原秀樹氏
インテル通信営業本部モバイルデバイス営業推進部長の漆原秀樹氏

続いてインテル通信営業本部モバイルデバイス営業推進部長の漆原秀樹氏がPXA 250/210について説明した。機能やパッケージの詳細については別記事に譲るが、外部アプリケーションから動作周波数の制御が可能であること、高低2つの動作周波数を瞬時に切り替えられること、40bitのアキュームレーターを搭載したことによる高いマルチメディア性能(※1)、ベースバンド部(通信部)との高速通信機能、USBやBluetoothなど多種の通信インターフェースを内蔵することなどを紹介した。

※1 PXA 250/210のベースとなる英アーム社のARM v5アーキテクチャーに、インテルが独自に追加したマルチメディア処理機能。1つの命令で複数のデータを処理するSIMDに対応した5つの積和演算命令を持たせた。特にCDクオリティーの音楽データのような、32bit(片チャンネル16bit×2)のデータ処理に効果を発揮するとしている。

『PXA 250』の概要
『PXA 250』の概要
『PXA 210』の概要
『PXA 210』の概要

PXA 250/210の消費電力については、チップ内の回路すべてをアクティブにした状態で、SA 1110-206MHzが約800mWなのに対してPXA 250-400MHzで563mW(コア電圧1.3V)、PXA 250-300MHzで411mW(コア電圧1.2V)、PXA 210-200MHzで256mW(コア電圧1.0V)と、高性能化と低消費電力化を両立したとアピールした。実際には回路すべてが常にアクティブというわけではなく、細かく電力制御していることや、それほど処理性能を必要としないときは低い周波数で動作させることにより、全体としてはこの消費電力の差よりもさらに差は広がるとしている。

インテルIPPによって、StrongARM、PXA 250/210、そして将来のプロセッサーまで、同じファンクションコールが利用できるという
インテルIPPによって、StrongARM、PXA 250/210、そして将来のプロセッサーまで、同じファンクションコールが利用できるという
StrongARM、PXA 250、PXA 210の動作モード別の消費電力の比較グラフ
StrongARM、PXA 250、PXA 210の動作モード別の消費電力の比較グラフ

発表会では、松下電器産業(株)半導体社とセイコーエプソン(株)が同日発表した、PXA 250/210に最適化した電源制御チップを展示したほか、マイクロソフト(株)が『Windows CE.NET』、(株)アクセスがウェブブラウザー『NetFront』を開発用ボード上で動作させるデモを行なった。これらの企業以外にも数社が展示を行なったほか、インテルの発表資料で、カシオ計算機(株)、米コンパック、(株)東芝、(株)日立製作所、米ヒューレット・パッカード社、富士通(株)がPXA 250/210に対するサポートを表明した。ただし、製品開発表明を行なったのは、現時点では富士通のみで“Pocket PC 2002日本語版を搭載した最新PDAを開発中”とのことだった。なお、富士通の関連会社であるオランダの富士通・シーメンス・コンピューターズ社は、3月に開かれる“CeBIT”においてPXA 250を搭載したPDAを披露するとアナウンスしている。

会場で展示された、PXA 250開発ボード『DBPXA250 Development Platform』上で動作する、Windows CE.NET
会場で展示された、PXA 250開発ボード『DBPXA250 Development Platform』上で動作する、Windows CE.NET

またOSとしては、マイクロソフト(Windows CE.NET、Pocket PC 2002)のほか、英シンビアン社(EPOC)、米パームソース社(Palm OS 5.0)、米モンタビスタ ソフトウェア社(MontaVista Linux)、(株)リネオ(Embedix)、タオジャパン(株)/(株)ジャストシステム(intent/ATOK)がサポートを表明している。

インテルが展示した、台湾のASUSTeK Computer社のPXA 250搭載PDA(試作品)。韓国のZIO Interactive社の3Dシューティングゲーム『Metalion』を動かしていたインテルが展示した、台湾のASUSTeK Computer社のPXA 250搭載PDA(試作品)。韓国のZIO Interactive社の3Dシューティングゲーム『Metalion』を動かしていた。Metalionは、(株)セガのかつてのヒット作『スペースハリアー』のようなイメージのシューティングゲームで、非常になめらかに動いていた

インテルが期待を寄せるPXA 250/210だが、製品開発を表明したのは富士通1社だけにとどまった。前世代であるStrongARM(SA 1100/1110)は、Pocket PCやWindows CE端末向けに広く採用されており、PXA 250についてはこれを置き換える形で採用が進むと考えられ、おそらくグリーン氏の言う今年半ばに登場する製品はPDAタイプのものを指していると見て間違いない。

日本システムウェア(株)はPXA 250用のPCIインターフェース拡張用ブリッジチップ『SLC001CA』(画像中で銀色の四角に見える2つのチップ)を展示。カーナビやセットトップボックス向けの需要を見込んでいるという
日本システムウェア(株)はPXA 250用のPCIインターフェース拡張用ブリッジチップ『SLC001CA』(画像中で銀色の四角に見える2つのチップ)を展示。カーナビやセットトップボックス向けの需要を見込んでいるという

気になるのは、高機能携帯電話向けと思われるPXA 210だ。少なくともこの発表に合わせてサポートを表明する携帯電話メーカーは無かった(カシオ、東芝、日立、富士通はいずれもPDA向けとしてのみコメントしている)。インテルは前述の通り、インテルPCAコンセプトのように、無線部と演算部を分けたほうが開発工数が減るなどとしている。しかし一方で、携帯電話メーカーではこれまで、自社でチップ/システムを作り込むことによって特色を出してきたということもあり、汎用チップを搭載することに対して“差別化しづらくなる”という意見も聞かれるという。パソコンのように“均一化”して価格勝負になることは避けたいメーカーと、大量生産によって価格を下げた汎用プロセッサーによって携帯電話/無線機能搭載PDAにおいても影響力を発揮したいインテルの思惑には、まだ距離があるのかもしれない。

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