バッテリベンチは良好
モバイルに最適な長時間駆動
本機の主なスペックだが,CPUはTualatin コアの低電圧版Mobile PentiumIII-M-800AMHzを搭載し,チップセットは先に述べたi815EMを採用している。実はTualatinコアのPentiumIIIは,動作電圧の違いから標準ではi815EMで動作しない。Intelの協力を得てこの組み合わせを実現し,通常の組み合わせよりも省電力化に成功したという。ただしCPUの持つ機能のうち,Enhanced SpeedStepには対応するが,Deeper Sleepは利用できない。Deeper Sleepは,830チップセットで使われるサウスチップのICH3-Mによりサポートされる機能なので,815EMで使われるICH2-Mではサポート外となるためだ。それでも後述するバッテリベンチは良好な結果となった。
メインメモリは標準128MBのSDRAMをオンボードに備える。Windows XPマシンとして128MBというメモリ容量は少し心もとないものの,今回のマイナーチェンジ版「PCG-SRX7E/P」ではこの点が改良され,Micro DIMMソケットに128MBのメモリモジュールが追加されたので、容量は最大の256MBとなっている。
HDDについては30GBタイプの製品を内蔵。大容量タイプのHDDを採用している理由は,バイオが静止画や動画といったビジュアルやサウンドなどの取り扱いを重視しているため。ただし,バイオ505シリーズではさらに大容量の40GB・HDDを内蔵しているので,願わくばSRも同容量にしてほしかった。
旧SRシリーズと同容量(11.1V/3600mAh)のLバッテリを使用しているにも関わらず,長時間駆動を可能にした大きな理由は,低電圧版Mobile PentiumIII-M-800AMHzを採用したことだという。CPUのEnhanced SpeedStep機能を利用することでCPU負荷に応じた動作クロックに変化させたり,常時500MHzで動作させれば,公称値に近い長時間駆動も実現できるだろう。
ユーティリティソフトその3。電源管理全般の設定を行なえる電源管理ソフト「PowerPanel」。これで液晶ディスプレイの画面の明るさも設定可能。 |
一方,3DMark2000の結果は880.5(2回の平均値)となった。これはバイオFXのニューモデル(808.5)よりも若干よい結果である。試験マシンの中で,3D性能は飛び抜けてよい値とはいえないが,HDベンチは中程度,ワープロ/表計算といった通常のビジネスアプリケーションのベンチ結果も試験マシンの中では中より少し上に位置しており,使用する上で何ら差し障りはない。
騒音測定と熱測定の結果は,それぞれ20.8dB,パームレスト部(タッチパッド横)34.6℃,底面(底面中央)46.2℃となった。最近ノートPCの騒音に関して注目が集まりはじめているが,本機の場合はほとんど騒音が気にならない。いたって“静か”という印象である。これは,CPUの発熱が非常に低いため,もともとファンが付いているにも関わらず,ファン自体が回らないという理由からだ。また,独自の空冷機能・カスケードクーリング機構がある程度効いているのか,底面温度は高いものの(本体底面のPCカードあたりはもっとも放熱が激しい),パームレスト部はそれほど上昇していない。
ACアダプタ。本体のデザインにフィットした,エンボス加工の「VAIO」のロゴが入っている。 |