インテック・ウェブ・アンド・ゲノム・インフォマティクス(株)(以下W&G)とRSAセキュリティ(株)は7日、都内で記者発表会を開催し、ネットワーク医療とゲノム(全遺伝情報)創薬分野での、セキュリティー技術において業務提携すると発表した。
インテック・ウェブ・アンド・ゲノム・インフォマティクス代表取締役社長の末岡宗広氏(左)とRSAセキュリティ代表取締役社長の山野修氏 |
W&Gは(株)インテックの子会社で、'89年9月に、情報処理、情報通信、放送などに関する技術の研究開発機関として(株)インテック・システム研究所という名前で設立。その後インテックの“ゲノム・インフォマティクス・センター”を統合し、社名をインテック・ウェブ・アンド・ゲノム・インフォマティクスに変更した。現在、情報処理技術をベースとしたECビジネス関連のウェブ事業、生命工学と情報技術の融合分野における支援ビジネスと研究開発、および次世代インターネットのための技術開発を手がけるという。
W&Gのビジネスモデル |
W&Gの事業概要 |
もう一方のRSAセキュリティは米RSAセキュリティ社の子会社で、'96年に設立。Internet ExplorerやNetscape Navigatorなどでも使われる“RSA暗号”と呼ばれる公開鍵暗号技術の開発元で、ネットワークセキュリティー技術や電子認証技術の標準化にも取り組んでいる企業。
両社はこれまで、RSAセキュリティの組み込み用途向け暗号ツール『RSA BSAFE』を利用した製造業向けの情報システム開発や、組み込み機器へのセキュリティー機能の実装において協力してきたという。今回の業務提携では、協力分野をネットワーク医療(※1)とゲノム創薬(※2)にも広げ、ユーザー認証製品『RSA SecureID』、PKIシステム管理製品『RSA Keon』など、すべてのRSAセキュリティ製品を含めた技術を導入して、高度なセキュリティーシステム/サービスを顧客に対して提供するとしている。
※1 インターネットを経由した遠隔地医療や、カルテの電子化による情報提供、患者へのネットワーク経由のインフォームドコンセントなどを指す。※2 ヒトのゲノム(全遺伝情報)をもとにした新薬の研究。
具体的な提携の内容は以下の通り。
- ネットワーク医療やゲノム創薬分野の研究開発、実験支援、データベース管理システムなどにおけるセキュリティー技術の開発とシステムの実装に関して協力する。
- W&GはRSAセキュリティの『RSA BSAFE』を顧客向けシステムに組み込んで提供する。
- W&GはRSAセキュリティの『RSA SecureID』、『RSA Keon』の販売代理店となる。
カルテの電子化で進むネットワーク医療分野における情報のやりとり。矢印のところにセキュリティーが求められている。米国では患者とのメールのやりとりにおいても電子署名と暗号化が利用されているという |
発表会で提携内容について説明した、W&G代表取締役社長の末岡宗広氏とRSAセキュリティ代表取締役社長の山野修氏によると、ネットワーク医療分野においては、欧米に比べて遅れていたカルテの電子化において国内でも前向きな動きが出てきているという。いったんカルテが電子化されると、患者の病歴などの情報がその後の治療や診断に生かされる反面、その患者のプライバシーの保護という観点から、データの暗号化、データを閲覧する医療従事者の認証をきちんと行なうことが非常に重要になってくる。また、ゲノム創薬分野は、各製薬会社がいっせいに研究を行なっている競争の激しい分野であり、研究内容や研究成果をしっかりと保護できる強固なセキュリティーシステムが求められているとしている。
製品/サービスの販売はW&Gが行なうことになるが、売り上げについては初年度1億円を見込んでいるという。ただ現在まさに立ち上がりつつある市場であり「年末から来年にかけて売り上げ規模は数倍になる」(末岡社長)と大きな期待をかけている。