突然“AHL1200AHT3B”というOPN(Ordering Part Number)を持つAthlonがアキバに登場した。高速電脳が1万7800円で販売しているもので、同店では「代理店から『Athlon MP 低電圧版 200』とアナウンスされたもの。FSB 200MHzで、低電圧版のPalominoコア版Athlonだとは思う」としているが、正体は不明だ。
Athlon …-1.2GHz |
コアマーキング |
OPNをAMDの従来製品と照らし合わせてみると、まず先頭の“A”でAthlonファミリだということは確認できるが、シリーズ名(Generation)を示す2文字である“HL”が現段階では未発表のため想像するしかない。1文字目が“H”のシリーズとしては、Mobile Athlon 4が“HM”(High-Performance Mobile Processor)と表記しており、これに近いような気もするが…? 高速電脳が受け取った情報を踏まえて想像するに、HLとはさしずめ“High-Performance Low Voltage Processor”といったところなのかもしれない。
裏面はこれまでのPGA版Athlonと同じ |
クロック、あるいはモデル・ナンバーを境にして後ろ5桁は、“A”がCPUパッケージ(PGA)、“T”はThermal Spec(温度上限:90℃)、“3”がL2キャッシュ容量(256KB)で、最後の文字“B”はFSB(200MHz)を示していると考えて間違いないだろう。またVCoreを示す9桁目の“H”は、VCoreが1.2~1.5VとされているMobile Duron-1.1GHzと同じ。これを踏まえると、いよいよこのCPUは、Athlon MPというよりMobile Athlon 4に近いという印象が強くなってくる。
ここで気になるのは、1月18日に日本AMDが行った発表だ。同社はそのなかで“Cool'n'Quietテクノロジ”と呼ぶ、日本のデスクトップPCで多く採用されているブックサイズPCなどのSFF(Small Form Factor)デスクトップ向け省電力・低発熱技術を採用したAthlon XPの投入を明言していた。Cool'n'Quietテクノロジとは、電圧を固定したまま動作クロックのみをアプリケーションの要求に応じて動的に変化させることで、デスクトップPCの熱設計温度を下げ、小型化静音化に寄与するという技術だ。同じような技術としてはノートPC向けの“PowerNow!”があるが、デスクトップ向けのためバッテリ駆動時間を気にしなくてもいいCool'n'Quietでは、駆動電圧を制御する必要がないというのが大きく異なる。現在のところ、この低消費電力版Athlon XPに関して詳細なデータシートは公開されていないためあくまで想像ではあるが、HLという新しいシリーズ名が与えられているこの新型Athlonが低消費電力版Athlon XPだと考えるとしっくりくるのも事実だ。
発表会で展示されていた、低消費電力版Athlon XP 1500+を採用する日立製のPC。実クロックは1.3GHzとなっている。今回の“1200”はその下位モデルか? |
いずれにせよ、L1がクローズの低電圧版ということもあって“遊べる”CPUである可能性はある。自作派の探求心をくすぐる魅力と危険に満ちたCPUだけに、すすんで人柱になりたがる人を多く生みそうだ。
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