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【PalmSource 2002 Vol.1】PalmSource開幕――ソニーが開発中の折り畳み型CLIEを披露

2002年02月06日 22時39分更新

文● 塩田紳二

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最初のキーノートの内容は、各社のデモ。米パームからのメッセージは、Palm OS 5.0とARMへの移行である。

文字列処理で比較した従来機種(68000ベース)とARMベースマシンの速度グラフ。200MHzのARMチップでは現在のm505の29倍となる
文字列処理で比較した従来機種(68000ベース)とARMベースマシンの速度グラフ。200MHzのARMチップでは現在のm505の29倍となる
グラフィック処理による速度比較。8bitカラーでもm505の倍以上の処理速度が出ている
グラフィック処理による速度比較。8bitカラーでもm505の倍以上の処理速度が出ている

Palm OS 5.0は、英アーム社のプロセッサー『ARM』に対応した初めてのPalm OSとなり、フル32bitカーネルとなる。また、PACE(Palm Application Compatibility Environment)と呼ぶ、(68000用コードで書かれた)従来のPalm用アプリケーションの実行環境も持つ。ただし、今回は違うアーキテクチャーへの移行ということで、Palm OSの基本的なアプリケーション構造などについては従来のままとし、なるべく小さな手間でアプリケーションを移行できるようにしている。

Palm OS 5.0のブロックダイアグラム。ハードウェアの違いをHALで吸収し、DAL(Device Abstruction Layer)でデバイスを抽象化して扱う。また、従来のアプリケーションとの互換性は、PACE(Palm Application Conpatibiliry Environment)と呼ばれるレイヤーで持たせるようにしてある
Palm OS 5.0のブロックダイアグラム。ハードウェアの違いをHALで吸収し、DAL(Device Abstruction Layer)でデバイスを抽象化して扱う。また、従来のアプリケーションとの互換性は、PACE(Palm Application Conpatibiliry Environment)と呼ばれるレイヤーで持たせるようにしてある

また、Windows上で動作する“Palm OS Simulator”も提供される。従来、Windows上での開発には“POSE(Palm OS Emulator)”と呼ぶツールが使われていたが、Palm OS Simulatorは動作中のデータベース状態やヒープの状態を表示できるなど、OS内部状態をチェックしながらアプリケーションを実行させられる。

Palm OS Simulator上で動作しているPalm OS 5.0。Palm OS Simulatorでは、実行中にデータベースやヒープの状態をリアルタイムに表示できるPalm OS Simulator上で動作しているPalm OS 5.0。Palm OS Simulatorでは、実行中にデータベースやヒープの状態をリアルタイムに表示できる

デモを見る限り、現時点ではGUIや標準アプリケーションに大きな変更はなさそうで、見た目には今のPalm OS(4.1)の画面とほとんど同じ。Palm OS 5.0では、テーマにより画面の配色のカスタマイズが行なえるようになっているが、そのためか画面のデザインは同じながら、Palm OS Simulatorの画面表示には背景に色が付いている。会場でこのPalm OS Simulatorを配布していたので、実際に動かしてみたところ、唯一Palm OS 5.0であることを確認できるのは、ホーム画面の“情報”メニューでバージョンを表示させたときのみ。

Palm OS Simulatorの背景色

Palm OS SimulatorでPalm OS 5.0を動かしたとき、背景に色が付いていると書いたが、この件について、某ライセンシーの関係者から指摘をいただいた。“色がついているのはデバッグ版のROMイメージであることを示すため”とのことである。
Palm OS 5.0の次のバージョンでは、大がかりな変更を予定している
Palm OS 5.0の次のバージョンでは、大がかりな変更を予定している
Palm OS 5.0の次世代OSでは、ARMネイティブなアプリケーションがサポートされ、スレッドやメモリ保護といった機能が組み込まれる予定。PIMデータ形式も大きくアップグレードするようだ
Palm OS 5.0の次世代OSでは、ARMネイティブなアプリケーションがサポートされ、スレッドやメモリー保護といった機能が組み込まれる予定。PIMデータ形式も大きくアップグレードするようだ

PalmSource社は、Palm OS 5.0の次のメジャーバージョンアップ(バージョン6?)で、大規模なAPIの追加やアプリケーション基本構造の変更を予定している。これから考えると、Palm OS 5.0とARMプロセッサーを採用した最初の世代は、スピードこそ速いものの、見た目は現在のPalm OS 4.0/4.1とほとんど変わらないものになると思われる。

キーノートに登場したソニーハンドヘルドコンピュータカンパニー プレジデントの吉田雅信氏
キーノートに登場したソニーハンドヘルドコンピュータカンパニー プレジデントの吉田雅信氏

また、キーノート中でソニー(株)のハンドヘルドコンピュータカンパニーの吉田雅信プレジデントが登場、ここで、開発中の新型CLIEを披露した。そのCLIEは折り畳み式になっており、開くとキーボードと液晶ディスプレーが現われる(折り畳み型の携帯電話そっくりである)。また、液晶ディスプレーをひねって180度回転させ、そのまま畳むと液晶ディスプレー部分が表になり、現在のPalmやCLIEのような形になる。遠方なので細かくは分からなかったが、ヒンジ部分にカメラのようなものも見える。匡体の出来具合から見て、開発はかなり進んでいると思われる。もしかしたら、これがARM版CLIEなのかもしれない。

吉田氏が披露した開発中のCLIE。折り畳み形で開くと液晶とキーボードが現われる。ヒンジ部分左にみえるのはカメラのレンズか
吉田氏が披露した開発中のCLIE。折り畳み形で開くと液晶とキーボードが現われる。ヒンジ部分左にみえるのはカメラのレンズか。変わった配列のキーボードの下にはCLIEのロゴも見える
開いた状態で液晶ディスプレー部分がヒンジと直角に180度ひねるように回転でき、そのまま閉じると今度は、液晶のみが表になって、従来のCLIEやPalmのようなスタイルになる
開いた状態で液晶ディスプレー部分がヒンジと直角に180度ひねるように回転でき、そのまま閉じると今度は、液晶のみが表になって、従来のCLIEやPalmのようなスタイルになる

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