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バーテックスリンク、デジタルコンテンツの著作権を保護するソフトウェア『Contents Protector』を発表

2002年01月30日 22時50分更新

文● 編集部 田口敏之

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(株)バーテックスリンクは30日、デジタルコンテンツの著作権保護を行なうソフトウェア『Contents Protector』シリーズとして『Contents Protector for Graphics』『同 for Media』『同 for Documents』の3製品を発表した。Contents Protector for Graphicsの出荷を3月1日に、同 for Mediaを3月18日に、同 for Documentsを4月25日にそれぞれ開始する。価格は300万円から。

『Contents Protector』
『Contents Protector』

ブロードバンドの急速な普及で、静止画や動画、音楽などの大容量のコンテンツを配信できるようになった。これに伴って、デジタル著作権(DRM:Digital Rights Management)が注目されており、コンテンツの著作権を保護するルールの確立と、複製を防止するソフトウェアが不可欠となっている。インターネットビジネスの分野においては、コンテンツの制作や、これを保護するアプリケーションの開発に対する投資額を増やす企業が増加しているという。同社によれば、2002年にはeコマースサイトの60%はセキュリティーツールやサービスなどのDRM技術を導入すると予測できるという。また、世界のDRM技術の市場は、2000年の9600万ドル(約124億8000万円)から年平均成長率106%で拡大し、2005年には35億ドル(約4550億円)規模に成長すると見込んでいるとしている。

同社代表取締役社長の由利義和氏
同社代表取締役社長の由利義和氏

同社代表取締役の由利義和氏は「弊社は従来よりインターネット上のセキュリティーソフトやハード、またMPEG技術を基幹とした動画配信ソフトやハードを提供してきた。今回、デジタルコンテンツの保護ビジネスをスタートする絶好の機会を得て、新たなサービスの提要を行なう。ソフト、ハードを含むソリューションの提供から、SEや導入支援を含めたサービスを提供していく」としている。

Contents Protectorは、コンテンツプロバイダーや企業内ネットワークなどが、静止画、動画、音楽、書類といったデジタルコンテンツを、インターネット上やイントラネット内で掲載、配信する際に、複製の禁止や再生回数の保護を行ない、著作権を保護するソフトウェア。イーストラテジー(株)が開発したデジタルコンテンツ保護エンジン『Net-Guardians』を基に、バーテックスリンクが開発し、パッケージソフトとして提供する。

コンテンツを保護するために、画像や動画などの閲覧に条件を付与できる
コンテンツを保護するために、画像や動画などの閲覧に条件を付与できる

同製品は、電子透かしを利用して画像ファイルを保護するContents Protector for Graphics、再生回数制限、ライセンス期限の設定などで動画・音声ファイルを保護するContents Protector for Media、印刷回数の制限や編集制限などでPDFやMicrosoft Office製品のドキュメントファイルを保護するContents Protector for Documentsの3製品によって構成されている。従来、コンテンツ保護を行なうためには時間と費用が必要だったが、同製品は短期間・低コストで行なえるという。このほかの特徴としては、3製品ともウェブブラウザーから、同一のインターフェースによって操作を行なえること、また、同製品によって保護したファイルを利用するユーザーが、ライセンスの取得や課金のために、特別なプラグインをインストールする必要がないことが挙げられる。

Contents Protector for Graphicで作成したコンテンツ。ウェブサイト上ならば写真を閲覧できる
Contents Protector for Graphicで作成したコンテンツ。ウェブサイト上ならば写真を閲覧できる
保存すると、画像は閲覧できなくなる
保存すると、画像は閲覧できなくなる

Contents Protector for Graphicsは、透明なGIF画像を元の画像の上に重ね、ユーザーがファイルを保存して閲覧する際に、GIF画像を表示して元の画像を見えなくする“セロハン保護”、コピーライトについて記された半透明GIFを用いて著作権を表示する“コピーライト文保護”、電子透かしによって不可視な画像情報を埋め込む“電子透かし保護”などの機能を備える。同製品を用いて保護を行なうと、ユーザーが画像を保存したとしても、閲覧できなくなる。ウェブブラウザーのキャッシュ(一時ファイル)に保存される画像も、同様に閲覧できなくなる。また、印刷による複製や、ウェブページ全体の保存を不可とし、さらにスクリーンショットによる画面全体の保存も不可能にする。保護できる画像フォーマットはBMP、GIF、JPEGの3種類だが、今後ほかの画像フォーマットにも対応していくという。

動画を閲覧する前にアンケートに答えてもらい、回答した者にのみライセンスを与えるといった利用法も可能
動画を閲覧する前にアンケートに答えてもらい、回答した者にのみライセンスを与えるといった利用法も可能

Contents Protector for Mediaは、128bitの公開鍵暗号方式とWindows Media Tecnologiesを用い、Windows Media Playerで再生できる動画や音声ファイルに制限をかけられる。再生回数と再生期間の設定、開始および終了期間の設定、またポータブルメディアへのコピーの可否、CD-R/RWへの保存の可否といった設定が行なえる。ユーザーが動画を閲覧する際にアンケートを行ない、回答したユーザーに対してライセンスを与える、といった仕組みも構築できる。同様の仕組みで、課金システムも構築できる。対応フォーマットは、Windows Media Audio、Windows Media Video、WAVE、ASF。今後、ほかのフォーマットにも対応していくという。

Contents Protector for Documentは、128bitの公開鍵暗号方式を用い、PDFやMicrosoft Officeなどの文書の保護が可能。企業内の利用が主で、社員にダウンロードやコピーをされたくない書類に対し、印刷の可否や文章の変更の可否、閲覧パスワード、印刷回数の設定などを行なえる。対応する文書フォーマットは、TEXT、CSV、HTMLなどのテキスト、PDF、Microsoft Officeで作成できる文書フォーマット。今後、ほかのフォーマットにも対応していくとしている。

同社取締役ソリューション事業部長の木佐谷康氏
同社取締役ソリューション事業部長の木佐谷康氏

同社取締役ソリューション事業部長の木佐谷康氏は「ウェブ上のコンテンツだけでなく、1回しか視聴できない販促用のCD-ROMを作成したり、またContents Protector for Mediaでは、アンケートに回答すると動画が閲覧できるといった設定を行なえるので、保護した動画コンテンツを配布した儲けがどうこうというより、マーケティングのツールとして面白いものになるのではないかと思っている」と語っていた。

価格は3製品とも共通で、著作権の保護のみを行なう“Enterprise Edition”が、1CPUあたり300万円(最大4CPU構成まで)、特定の会員向けに課金やアンケートを行なう機能を持つ“Advanced Edition”が1CPUあたり500万円。また、不特定多数を対象とした大規模なコンテンツを作成できる“ASP/CDN License”は、1000万円からとなっている。このほかに、年間保守料金が製品価格の30%かかる。販売は、バーテックスリンクソリューション事業部サーバーシステム部および、パートナー各社によって行なう。

動作環境は、対応OSがWindows 2000 Server/Advanced Server。ウェブサーバーがIIS 5.0以降。またデータベースが必要で、Microsoft SQL Server2000以降、Oracle 9i以降に対応する。パソコンには、CPUがPentium III以上のCPUと、256MB以上のメモリーが必要となっている。

同社は売り上げ目標として、初年度5億円を掲げている。

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