そこで2002年中に、開発者向けのWebサイト構築で使っていただけるような、いくつかのWebサービス的なものをリリースして、またコンシューマ向けWebサービスも随時出していく計画です。
我社は、私立学校向けの管理ソフトでソフトウェア開発事業をスタートしました。歴史的に長く、全国1500校以上の私立学校に導入されています。このソフトを.NETプラットフォームで、しかもいろいろなWebサービスを使って1つの大きなシステムを構築するというモデルを進めています。学校向けの会計や給料計算ソフトも、ASPモデルでの提供も考えているのですが、今回は全部.NETで、いろいろなWebサービスとして切り離すことができるようにします。開発は順調に進んでいて、コンポーネントやWebサービスといったビジネスを進めるのに役立っています。
このような開発モデルを利用して、ほかの管理ソフトやビジネスアプリケーションの開発も同時に行なっているので、非常に事業部同士でいいバランスが取れていると思います。開発は1年で終わらせて、2003年にはサービスをASP、もしくはWebサービスモデルで提供していこうと計画しています。
ツールの新製品としては、メインストリームの売れ筋製品として一番売れているのは「TrueDB Grid」と「SPREAD」ですから、これまで蓄積してきたノウハウをフルに使って、自社開発を進めていきます。「InputMan」も本数で言えば2番目に売れている商品ですけどね。我社は、これまでは海外のベンダーのソフトウェアを持ってきてローカライズする比重が高かったのですが、今後は自社開発製品を増やしていこうとしています。
中国では、さらにその先を研究しているチームがあります。完全なダウンロードなしのコンポーネント、見た目はほかのUIコンポーネントと同じですが、100%HTML、DHTML、XMLなどをベースにしたUIを構築可能なツールや、XMLベースのツールなどを研究しています。これも2002年中に順次リリースできるのではないかと考えています。
我々が提供していこうと考えているのは、引き続き、開発者向けのコンポーネント、システム構築のためのコンポーネント、そして、たとえば株価を表示するようなWebサービス的な部分です。エンドユーザー向けのWebサービスの提供となると、やはりその業界やビジネスの知識が必要です。ビジネスアプリケーションやパッケージを作るのと同様、熟練した知識やノウハウが必要になってきますからね。
ビジネスアプリケーションで言えば、特にそのメインストリームのコンシューマ向け製品は、今後ますます寡占化されていくでしょう。しかし、我々のような小さなベンダーは、とにかくニッチなマーケットを狙っていきます。本当に自分の得意とする分野を持っている会社は、まだまだ伸びるのではないかと思います。日本の経済全体は、現在あまりよろしくない状態ですが、ソフトウェア産業だけで見ると、ジャンルにもよるのでしょうが、ほかの業界ほどは落ち込んではいないと思います。今後さらに落ち込むことになっても、ITの投資が激減するとはちょっと考えられない。逆にそのような投資は、ある程度は引き続き必要になるわけで、少なくとも現在と同じ水準は保っていくのではないかと考えています。
ドットコムの崩壊は、今になって振り返ると当たり前だったと思います。はっきり見えますね。やはりあれもバブルだったんでしょう。そして、成功するビジネスはそう簡単ではないということです。商売がみんなうまくいくんでしたら、苦労することもないんでしょうけど、やはり最終的にいいビジネスを作り上げていくというのは、すごい努力と苦労が必要だと思います。とにかく経費削減よりも、もっと考えるべきなのは、どうやったらビジネスを伸ばせるか、便利にスムーズにできるかということです。さまざまな取り引きをスムーズに行なえるようにするのは、インターネットを使ったシステムのあるべき姿だと思います。それを考えると、Visual Studio.NETや.NETプラットフォームは、そういったことを目的とするシステム構築には、今まで以上に威力を発揮すると思います。
現在我社がインドで開発中のパッケージソフトは、ユーザーインターフェイスもデータアクセスの部分にも、すべてXMLを取り入れています。そうすることによって、いろいろな携帯端末やシステムもサポートしやすくなります。そういう意味でも、.NETプラットフォームは非常に強い武器になると思います。これから先の5年間が楽しみです。想像できないくらい、変わってしまうことでしょう。この先5年で。