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【特別企画 Vol.4】アキバ2大マニアックショップ探訪 秋月電子通商&千石電商

2002年01月02日 15時52分更新

文● 水野

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RT8019チップの単体売り

 アキバのメインストリート界隈を歩いたことのある人なら、誰もが一度は前を歩いたことのあるであろう2つの電子パーツショップ、秋月電子通商と千石電商。その方面の人には日本全国規模で貴重といえるショップといえる。なにしろ毎日ひっきりなしに人が出入りし、休日ともなれば満員電車のごとき混雑になるショップなので、どういう所かと興味を引かれている人も多いのではないだろうか。
 興味のない人には無縁の世界かもしれない。が、そうまで人々の心を集めるのならば、そのショップには、そして電子パーツの世界には、「何か」があるに違いない。
 というわけで、今回は普段はあまり焦点をあてない2つのショップに、店長さんへのインタビューで迫ってみた。

 まずは、秋月電子通商。店舗の外までパーツ類が並び、ひとたび入ればちょっと狭目の店内に人も部品もぎっしり、というショップだ。



-秋月電子通商-自社オリジナルキットが強み

秋月電子・外観

 --まず歴史を。
「秋葉原にきてから30有余年。三島由紀夫が割腹自殺した日にオープンです(笑)」
 ラジオデパートなどにこういう部品を扱うお店がたくさんあるんですけど、同じような品揃えで、どういう経緯でこういう大きい店舗を持つに至ったんでしょうか。
「単にメーカーからパーツを仕入れてというだけでなく、当社のカラーを出しているおかげだと思います。オリジナルの電子キットなども販売していますし、あと珍しい輸入品等もここにしかないようなモノが多いので」
 --キットと言いますと、どういう物があるんでしょうか?
「たとえば、フラッシュメモリを積んで自作したソフトにしたがっていろいろな動作をさせられるマイコンモジュールキットですとか、無線で信号をやりとりして、サーボモーターを動かせるようにするトランシーバキットですとか、現在出ているものはそういったものになります」
 --もともとは問屋さんだった、という話は本当なんでしょうか?
「いや、最初から小売一本です。最初の頃はパーツだけでしたが、徐々にキットなどを増やしていった、と」


所せましと並ぶパーツ類
店内店内

あの会社も御用達?

お店の中央の様子

 --お客さんはどういう方面の方が多いですか?
「まず当然、電子工作をアマチュア的に趣味としている方ですね。それと電気系の学生さんが勉強や研究のためにですとか。あと企業の方ですとか、そういった方々が主ですね」
 --企業の方というと、試作品を作ったりとか…
「そうですね。とりあえず1つ作って、うまく行ったらじゃあ何々を何百とか、大量の注文が来るという風に発展したりします。ソニーさんとかNECさんですとか、大企業の方が研究開発ための部品として買いに来られることもあります。ソニー(株)って領収書切ったりですとか(笑)」
 --趣味でやっておられる方となると、相当歴史が古いと思うんですが、やはり大勢いらっしゃるんでしょうか。
「はい。もう年配の方から、お父さんに手を引かれた小学生の方までが本をご持参になって、『ここに書いてある部品下さい』とか。世代を超えた趣味の世界という感じです」
 --そういう人というのは、もう日本全国規模でおられると思うんですが…
「ええ、ですので通信販売も多いです。今はホームページでの申しこみもやっておりますので」



対面販売が重要

秋月電子

 --具体的に、品揃えはどういった製品になるんでしょうか?
「電子パーツ関連ですが、その全てではないですね。抵抗、トランジスタ、IC、コンデンサ、電池、コネクタ、測定器、あとさっき言いましたようなオリジナルのキットとかですね。あとは防犯用のカメラなんてのもあります(笑)」
 --お店にはカウンターのようなコーナーがあって、小さく区切った水平な蜂の巣のような棚にパーツがぎっしり、という風になっていますが、そういう配置の理由は?
「お客さんが取りやすいように、選びやすいように、ということでこうなっています。それと『このICはどういう物?』といった風に、質問を受けたりそれに説明したりといったことが非常に多いですので、それが気楽にできる、お客さんとパーツを挟んで対面できる環境が重要かと。スーパーのように品物を選んで、取って、会計して、というだけでは面白くないのでは、と思います」


店内の様子
店内店内
USBオシロスコープ
ちょっと話題のUSBオシロスコープ。アメリカ製

 --どういったものがよく売れているんでしょうか?
「例えばこんなもの…(取り出しながら)USB接続のオシロスコープ。値段が高いので飛ぶようには売れませんけど、よくお客さんからご質問いただきます。部品関係になるともうほとんど平均化されてバラバラですね」
 --向こうにももう1軒、千石電商さんという同系統のお店があるんですが、そことの差別化とかは考えておられますか?
「いや、考えてません。お互いに切磋琢磨してお客さんのためになる競争をして行きましょう、ということで」



ぎっしりと並んだ棚
秋月名物(?)、お店の中央のカウンターのような棚。店員と客が商品をこれを挟んで気軽にコミュニケーションが取れるように、とのこと。細かいパーツが商品だからこそできることかもしれない

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