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日立製作所、5倍の熱伝導率を持つエポキシ樹脂を開発――ナノテク利用で

2001年12月28日 17時10分更新

文● 編集部

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(株)日立製作所は28日、日立研究所が従来の5倍の熱伝導率を持つナノ構造制御型エポキシ樹脂を開発したと発表した。同社によれば、熱硬化性絶縁樹脂として世界最高の熱伝導率を持つという。

開発したエポキシ樹脂の熱伝導率は0.96W/m・Kで、従来の汎用エポキシ樹脂(0.19W/m・K程度)の5倍の熱伝導率を持つのが特徴。低熱膨張性、低吸水性、高い高温弾性率特性も併せ持つという。熱伝導率を高めるために、従来は熱硬化性樹脂にアルミナ(Al2O3やシリカ(SiO2)などの無機セラミックスの粉末を混ぜていたが、製造過程での作業性が悪いうえに、添加できる量が制限されるため十分な熱伝導特性が得られなかった。

そこで、日立研究所では、樹脂そのものの熱伝導率を上げるために、ナノテクノロジーを利用し、自由電子を持たない絶縁材料では“フォノン(音子)”が熱伝導性を左右することから、熱伝導を低下させるフォノンの散乱を制御するために、樹脂中の構造をナノレベルで制御したという。マクロ的にはランダムに分子が並んだ等方性のアモルファス(非晶)構造を、ミクロ的には周期的に分子が並んだ秩序性の高い結晶性構造を持ち、アモルファス構造と結晶性構造が相分離していないため界面が存在しない(結晶構造の核との間が化学結合で結ばれている)ことを目標に開発を進め、最適なメソゲン(液晶分子に代表される配列しやすい化学結合基)構造を分子設計したという。

同社は今後、日立グループで保有するナノテクノロジー技術を用いて、接着性や長期絶縁信頼性などを高め実用化を進めていくとしている。

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