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アルファ・オメガソフト、都市映像をデータベース化してインターネットに公開できるシステムを発表

2001年12月21日 23時47分更新

文● 編集部 佐々木千之

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(株)アルファ・オメガソフトは21日、都内で記者発表会を開催し、移動するクルマから撮った映像をデータベース化し、インターネット上に公開できるシステム『LVS(Location View System)』を発表した。また、あわせて、同社が11月21日に発表した、ネットワークに接続して家電製品などの制御ができる組込用小型デバイス『WebPlug』の説明を行なった。

アルファ・オメガソフト代表取締役社長の佐々木隆仁氏
アルファ・オメガソフト代表取締役社長の佐々木隆仁氏

地域情報システム向け都市映像データベース『LVS』

LVSは、アルファ・オメガソフト、米@City.com社、KAIST(韓国科学技術院)のVision Laboratoryが共同開発したシステムで、都市の映像を、人間が見たままの形でデータベース化し、GPSデータと連動させ、地図の道路上の点を選択すると、その地点の360度のパノラマ映像を表示できるというもの。インターネットを通じての公開も可能としている。同社ではLVSそのものを販売するのではなく、サービス事業として展開するという。都市映像情報を集めたポータルサイト“eCity(イーシティー)”も開設するとしている。

『LVS(Location View System)』の画像をJavaベースのビューアーを使って表示しているところ。右側が地図と自車位置(ピンクの点)、左上が前方の映像、左下がパノラマ映像
『LVS(Location View System)』の画像をJavaベースのビューアーを使って表示しているところ。右側が地図と自車位置(ピンクの点)、左上が前方の映像、左下がパノラマ映像

LVSではまず、特殊な映像入力装置をクルマに取り付け、道路を走りながらGPSの位置情報と共に映像を記録する。その後、記録したデータを専用のソフトウェアシステムによって処理することで都市映像のデータベースを構築するという。映像入力装置やデータ処理ソフトウェアの詳細については企業秘密として明かされなかった。

発表会で行なわれたLVSのデモンストレーションでは、クルマから見た形の前方の映像と連動して、地図上に示された自車位置が道路上を移動、また、道路上の任意の点をクリックすると、その地点での水平方向の全周パノラマ映像を表示していた。LVSの画像はJavaベースのビューアーで見ることができるため、特に専用のソフトウェアを用意する必要はないという。

アルファ・オメガソフト代表取締役社長の佐々木隆仁氏によると「米国ではパロアルト市が構築している地理情報システムで使われている。にほんでは、ワールドカップの際の都市情報案内システムや、観光案内向けなどへの活用が考えられる」として、主に政府機関や地方自治体での利用を想定している。すでに受注を開始しているが「実際に自治体からの問い合わせも何件か入っている」(佐々木氏)という。LVSシステムの料金は、1kmあたり1000万円からとなっており、今後3年間で30~50億円の売り上げを見込んでいる。

家電のネットワーク対応にするデバイス『WebPlug』

WebPlugはアルファ・オメガソフトと韓国のWebGate社が共同開発したもので、Ethernet経由で送られた命令によって、I/Oポートやシリアルポートの制御が行なえるという小型の装置。WebPlugは幅35×縦25×高さ2mmの基板に、32bit CPU、2Mbitのフラッシュメモリー、2MbitのSRAM、LANインターフェース、プロトコルスタック(ARP、ICMP、TCP/IP、UDP、HTTP)、14のI/Oインターフェース、2つのシリアルインターフェースを載せたもの。1つのWebPlugで複数の機器が制御可能。開発キットはアルファ・オメガソフトが提供し、スクリプト言語によって開発が可能で、機器電源のオン/オフや、シリアルインターフェースを経由した制御が行なえるとしている。

『WebPlug』。基板が収められているのは名刺ケース
『WebPlug』。基板が収められているのは名刺ケース

アルファ・オメガソフトによると、大きな開発コストや長い開発期間がかかるとされる家電製品のネットワーク対応が、WebPlugによって低コスト・短期間で行なえるという。発表会ではWebPlugを使って、テレビや照明の電源をオン/オフしたり、金庫の扉に付けられたセンサーによって開閉を監視したりするデモンストレーションが行なわれた。

WebPlugのデモンストレーションで使われた、コントロールインターフェース。部屋にある機器をクリックすると電源が入ったり切れたりする
WebPlugのデモンストレーションで使われた、コントロールインターフェース。部屋にある機器をクリックすると電源が入ったり切れたりする

WebPlugは2002年1月にサンプル出荷を開始し、6月には量産出荷を開始する予定。基本的には顧客の要求に応じたカスタマイズを行なって出荷する形で、価格は1個あたり3000~5000円になるとしている。現在は復習のチップからなるWebPlugだが、顧客のニーズによってはチップの統合も考えているという。佐々木氏は「すでに、100件近くの問い合わせを受けている。今後大きな発展が期待できる」と述べている。

アルファ・オメガソフトが試作したFOMA向けのMPEG-4動画サーバー
アルファ・オメガソフトが試作したFOMA向けのMPEG-4動画サーバー

また発表会場では、LVS、WebPlugとは別に、近々(株)NTTドコモと共同で発表を予定しているという、FOMA端末にライブのMPEG-4映像をダイレクトに送信できるウェブカメラシステムも披露した。詳細については明らかにされなかったが、FOMAの動画システムに特化したもので、1台で同時に100以上の同時アクセスに対応できるとしている。

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