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NTT、1枚のICカードでさまざまな生活シーンに利用できる電子チケットシステムを開発

2001年12月22日 01時20分更新

文● 編集部 田口敏之

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日本電信電話(株)の情報流通プラットフォーム研究所は21日、入場券や会員券などの情報をデジタル化してICカードに格納し、商用レベルで運用するための汎用電子チケットシステム“FlexTicket(フレックスチケット)”を開発したと発表した。

デジタル化したチケットの流通を表わす図
デジタル化したチケットの流通形態

“FlexTicket”は、入場券や宿泊券などの“チケット”を、デジタル化して流通させるための商取引システム。これまでに実用化されてきた用途を限定した電子チケットと異なり、デジタル化する際の情報の記述には、チケット定義言語を用いる。チケット定義言語はXMLに準拠しているため、あらゆる分野で利用可能という。

偽造や二重使用の防止のためには、同社が11月に発表した、ICカードを用いた電子マネーのシステム同様、公開鍵暗号方式を利用する。公開鍵暗号方式を用いた電子チケットシステムは、世界でも初めてであるという。公開鍵には従来のRSA方式ではなく“楕円暗号方式”を採用した。また公開鍵暗号処理の一部を先行して計算しておくことによって、ICカード内のデジタル署名作成を、約0.2秒という短時間で行なえるという。

実際の利用のイメージとしては、まず利用者がウェブ上のフォームに必要事項を記入して、コンサートなどのチケットを購入する。発券されたデータは、自宅のパソコン、または駅やコンビニエンスストアなどに設置してあるキオスク端末でダウンロードする。そして、ICカードリーダー/ライターで、ICカードにデータを格納し、カードを持ってコンサート会場へ行く。会場の改札を制御するシステム上には、公開鍵を格納しておく。これにより、通過時に改札がセンターサーバーと通信して、チケットのデータの照会などを行なう必要がないため、高速な処理を行なえるとしている。

カードリーダー/ライターで、ICカードにデータを書き込む。市販のもので、十分実用になるという
カードリーダー/ライターで、ICカードにデータを書き込む。市販のもので、十分実用になるという
改札口のセンサーにICカードを接触させると、瞬時にドアが開いた。公開鍵を改札のシステムに格納しておけば、オンラインで検証する必要がないため、高速な処理が可能となる
改札口のセンサーにICカードを接触させると、瞬時にドアが開いた。公開鍵を改札のシステムに格納しておけば、オンラインでデータの検証を行なう必要がないため、高速な処理が可能となる

同システムを応用すれば、利用者は1枚のICカード内に複数のチケットのデータを格納して、さまざまな生活シーンに利用できるようになるという。

また用途に応じて、ICカード以外でもチケットのデータの利用方法は考えられるという。記者発表会においては、チケットのデータをバーコード化するというデモンストレーションが行なわれた。この場合の利用方法は、チケットを家庭用のプリンターで印刷し、コピー防止用のホログラムと、検証用のバーコードが入ったシールを添付するというもの。この場合、改札ではバーコードとシールのデータを照会して検証を行なう。しかし同社によれば「これはあくまでも一例であって、実用化する気はない」ということだった。

バーコードによるチケット。ホログラムが入ったシールを添付して、偽造やなりすましを防ぐバーコードによるチケット。ホログラムが入ったシールを添付して、偽造やなりすましを防ぐ
NTT情報セキュリティプロジェクトマネージャー担当部長の松本隆明氏
情報セキュリティプロジェクトマネージャー担当部長の松本隆明氏

今後の展開としては、同システムと電子マネーのシステムの連携を考えているという。これについて、同社情報セキュリティプロジェクトマネージャー担当部長の松本隆明氏は「技術的には可能だが、どのような方法で行なうかは検討中」としている。また、携帯電話にチケットのデータをダウンロードして、IrDAやBluetoothを利用して検証を行なう方法なども考えているという。

また、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株)とぴあ(株)は共同で、同システムを利用した事業の検討を進めているという。実用化の時期については未定としている。

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