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【矢部直治のアキバB級グルメ探検隊(最終回)】アキバで30年!ホモ・サピエンスのハートを刺激する「ベンガル」

2001年12月21日 04時42分更新

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カリーという料理には、ホモ・サピエンスのハートにガッツを入れる不思議なパワーがある。味や色彩はもちろんのこと、あの狂暴ともいえる匂いを嗅いでしまったらもう大変。たとえいたいけな幼稚園児であってもとたんに殺気立ち、

「クラスでいちばんカリーをお代わりした奴がいちばんエライ奴!」
「クラスでいちばん速くカリーを食べた奴がいちばんスゴイ奴!」

と闘争本能フルスロットルで一匹のプチ・野獣と化すし、都会人の野生回帰・アウトドア&キャンプにおける定番料理はどう考えてもカリーだ。 それもそのはず、紀元前のローマ帝国において、かのグラディエイターたちが闘技場に入る際には、必ずカリーの匂いを嗅がせていたという歴史的事実(リドリー・スコット監督の映画にもよく観るとそのシーンあります)まであったりする……なんてハナシはもちろんレッド嘘。でもハーブティーやチキンの香草焼き、焼肉なんかじゃこうはならないから、やはりカリーという料理だけが持つ「スパイスの魔力」といえるかもしれない。

アナタが子供だったとき、イチバンお気に入りだった場所はいまでもあるだろうか。 アナタが子供だったとき、イチバン好きだった食べ物屋さんはいまもあるだろうか。

私の場合は両方ない。 二十年近くの歳月が流れるうちに、ジャングルジムは撤去され、樹齢ウン百年の木も切られ、公園は団地へと姿を変えた。 二十年近くの歳月が流れるうちに、はげたオッサンが一人でやってた中華そば屋は不況でつぶれてコンビニになり、いまではドトールコーヒーへと姿を変えた。

オーナーの笹本さん入魂のベンガル「カリー粉」も販売しているぞ。うんまいカリーを料理したいなら、力強い武器になること請け合い。そのほかにもいくつかの食材を販売しているので、興味ある方はチェックしてみよう

ウン十年という歳月は、町並みと人をすっかり変えてしまうには十分過ぎる時間だ。秋葉原という街にしても、ウィンドウズ95の大ブレイクからわずか5年でずいぶん変化した。そして現在、秋葉原駅前の再開発計画は着々と進行し、駅のアキハバラデパートでさえも新春からショッピングセンターになる。

そんな激動のさなかであっても、「ベンガル」は変わっていない。建物も味もまったく同じまま。ここのカリーは「アキバの歴史を物語るテイスト」といえるだろう。奥行きのある深い味わい、絶妙かつ芳醇な香りのカリーソースをじっと眺めていると、きっとアキバの歴史が、己の真理が見えてくる……わけないか。なにはともあれ、カリーをひと口ほうばってみよう。不況でボーナスがない悲しさも、クリスマス&年末年始ひとりぼっちな寂しさも、スパイスパワーで一発昇天。たちまち体力回復身体健康元気HATSURATSUオロナミンC!化すること間違いなし。そして仕上げに芳醇な香りのマサラティーをドリンクアップすれば、気負いすぎたハートがほどよく醒め、ポジティブシンキングのかたまりへと変身する。物理的、精神的、経済的にお寒いときは「ベンガル」のカリー。コレ。キマリです。

 最後に、わたくしが常々知りたかった「ある疑問」について、料理長のダウラさん(ニューデリー出身・日本語超堪能)にインタビューした内容を収録してこの項を終えたい……っていうか、この連載を締めたい。いや~、いまマジで原稿を書いたり取材する時間がナッシングなんですわ。「季刊B級グルメ隊」というのはさすがにアレなんで、今回でひとまず閉幕させていただきやす。みなさま、1年間のお付き合いをありがとうございました。それではアデュー、エブリワン! またいつか。

<ライター矢部の疑問>



ダウラさん。このお方がベンガルの料理長(12月現在)ダウラさんだ。ネイティブ以上に日本語が上手で、ギャグをガンガンかましてくるステキすぎるお方。目が合ったら挨拶してみよう。きっと面白い発言をしてくれるはず!

――あのう、「インド人は毎日カリー食べる」ってホントですか?

ダウラさん:ハイ、ホントですよ。everydayというよりもむしろwhole lifeですね。ワタシもインドにいるときは毎日食べてました。インド人、嘘つかないよ(笑)

――毎日だと飽きませんか?

ダウラさん:んー、でも入れる具もスパイスも毎回違うしね。たぶん、日本人が毎日「おみおつけ(味噌汁)」飲んでも飽きないのと同じようなもんでしょう。でも、ワタシは週に一度くらしかカレー食べないよ。昨日の夜ごはんは煮物だったし、洋食か和食を食べる日が多いです。

――ええっ、なんでですか!?

ダウラさん:だってカリー味にしちゃったら、肉や野菜が持ってる本来の味がわからなくなるじゃない。それにね、ワタシ毎日厨房でカリーの匂いを嗅いでるでしょ。それでもう十分ですよ。そんなことよりアナタの実家、居酒屋なんだって? こんど奥さんと飲みにゆくから住所教えてよ。塩辛って美味しいよね。

――え? あー、ハイ。では最後に日本人のカリー通にヒトコト!

ダウラさん:そうねー。日本のヒト、みんななんかカリーに対してすごくコダワリあるよね。なんで?って不思議に思います。あと平気で「辛さ20倍カリー」とか食べるでしょう? あんな辛いの、ワタシには絶対ムリね。ホントもう、インド人もびっくりよ(笑)

――あ、ありがとうございましたっ!

<データ>

店名:ベンガル
住所:千代田区外神田3-10-12 日加石油ビル1F
営業時間:11:00-19:30(火~金は15:00-16:00に昼休み)
定休日:月曜日



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