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コンパックとKDDI、CSKネットが、PDAでパソコンを遠隔操作する企業向けモバイルソリューションで協業

2001年12月19日 19時07分更新

文● 編集部 今井睦俊

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コンパックコンピュータ(株)、ケイディーディーアイ(株)、CSKネットワークシステムズ(株)の3社は19日、都内で記者説明会を開催し、企業向けモバイルソリューションサービスの提供で協業すると発表した。今回の協業の主な内容は、韓国のWitnet社が開発したPDAによるパソコン遠隔操作ソフト『Mobilick(モビリック)』を用いた“Mobilickソリューション”を共同提供するというもの。記者説明会には、コンパックコンピュータのエンタープライズビジネス統括本部モバイルビジネス推進本部の伊藤亮三本部長、KDDIのau商品企画本部商品企画部の原口英之次長、CSKネットワークシステムズのプロジェクト推進室室長の二瓶直人取締役、Witnetの韓文秀代表取締役が出席した。

出席者
左からCSKネットワークシステムズのプロジェクト推進室室長の二瓶直人取締役、コンパックコンピュータのエンタープライズビジネス統括本部モバイルビジネス推進本部の伊藤亮三本部長、KDDIのau商品企画本部商品企画部の原口英之次長、Witnetの韓文秀代表取締役

今回発表された“Mobilickソリューション”は、コンパックの携帯情報端末『iPAQ Pocket PC(アイパック ポケットピーシー)』を使ってオフィスのパソコンを遠隔操作できるモバイルソリューション。外出先から日常業務で使用する机上のパソコンに接続し、iPAQの画面にパソコンの画面を表示。スタイラスペンを用いてマウス操作と同様に操作できるというもの。iPAQ用ソフト『Mobilick PDA』と、パソコン用ソフト『Mobilick PC』をそれぞれインストールし、認証/管理用サーバー『Mobilick Management Server』を設置するだけで、パソコン内にあるデータ/アプリケーション/機能をほとんど利用できるとしている。ソリューション提供のための協業では、コンパックがトータルソリューションベンダーとしてPDA/サーバー/ストレージ/サービスなどのシステムインテグレーションを、KDDIが携帯通信サービス事業者として固定通信サービスと携帯通信サービスを統合した通信プラットフォームの提供を、CSKネットがISPサービス事業者としてインターネット上にMobilick Management Serverを設置/管理するASPサービスの提供を担当する。

パソコンのデスクトップ画面を表示したPDA『iPAQ Pocket PC』データ通信専用カード『Rapira Card』を挿入して、パソコン遠隔操作ソフト『Mobilick』によりパソコンのデスクトップ画面を表示したPDA『iPAQ Pocket PC』
遠隔地のパソコンを操作するデモ
デモでは、記者説明会の会場のiPAQからパケット網とインターネットを介して遠隔地のパソコンを操作した

記者説明会で行なわれたサービス紹介のデモでは、iPAQのスロットにKDDIの“au”ブランドのcdmaOneデータ通信専用カード『Rapira Card(ラピラカード)』を挿入し、auの携帯電話(cdmaOne)サービスのパケット通信網に通信速度64kbpsで接続。パソコンへの接続のためのユーザー認証では、iPAQ画面上の仮想キーボードとスタイラスペンとでユーザーID/パスワードを入力。iPAQからパソコン上にあるマイクロソフト社のワープロソフト『WORD』やオートデスク社のCADソフト『AutoCAD』を起動/操作する実演を行なった。市販ソフト以外でも、自社用に開発した業務ソフトなども遠隔操作できるため、業務ソフト自体の変更作業は不要という。対応OSと動作環境は、Mobilick PDAがWindows CE 2.1/3.0/Pocket PC 2002でStrongARM以上のCPU/32MB以上のメモリーを搭載したiPAQ。Mobilick PCがWindows 95/98/ME/NT/2000でPentium以上のCPU/32MB以上のメモリーを搭載したマシン。Mobilick Management ServerがWindows 2000/同 Advanced ServerでPentium以上のCPU/128MB以上のメモリーを搭載し、IIS/SQLをインストールしたマシン。

AutoCADを起動/操作したデモの場面iPAQからの遠隔操作によってパソコンのAutoCADを起動/操作したデモの場面

記者説明会の中で、コンパックの伊藤本部長は、Mobilickソリューションが「構築済みの既存の業務システムを、オフィス以外の遠隔地から完全に有効活用できるもので、モバイルシステムの業務利用をワンストップで提供可能な完成度の高いソリューションである」と述べた。また、KDDIの原口次長は、同社の「モバイルビジネス戦略では、3社協業による法人ソリューションへの展開のほかに、他業種のブランド製品への展開も考えており、コンパックやCSKネットが所有するブランドも活用する」と語った。さらに、CSKネットの二瓶取締役は、同社がブロードバンド/モバイル/ASPにフォーカスして他社と戦略的な提携関係を結んでおり、今回の協業により「パソコンの機能をポケットに入れてしまう」という、「従来のASPサービスとは違った革新的なASPサービスを提供できる」と述べた。3社からの説明に続いて、Witnetの韓代表取締役が「Mobilickは独自の圧縮技術により少ないパケット量でPDAとパソコンを相互接続する無線インターネットソリューションで、企業/個人など様々なケースに導入可能」とし、「無線通信技術の発達した日本市場で普及し、ビジネスで必須のツールになることを願っている」と挨拶した。

Mobilickソリューションの構成図
Mobilickソリューションの構成図。Mobilick Management Serverによるユーザー認証後に、PDAとパソコン間でイベント/画面などのデータが圧縮転送される

実際のソリューションの提供モデルとして、企業内にMobilick Management Serverを設置し、iPAQとパソコンをパケット網と専用線/フレームリレー/VPNを介して接続する“エンタープライズモデル”と、CSKネットが設置/管理するMobilick Management Serverを利用してパケット網とインターネットを介して接続する“ASPモデル”の2種類を用意。サービス開始時期は、エンタープライズモデルが2002年1月下旬を、ASPモデルが2002年3月下旬を予定している。

質疑応答の際に出た価格帯に関する質問に対して、コンパックの伊藤本部長は、エンタープライズモデルの価格例として、「500クライアントを導入した場合にソフトのライセンス価格が1ユーザー当たり1万円で、別途に認証用サーバーのハード/ソフトの費用がかかる」と応答。一方、ASPモデルでは、CSKネットの二瓶取締役が「通信費用に上乗せされる形になりKDDIと価格設定で交渉中」と答えるにとどまった。

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