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マイクロソフト、“.NET My Services”の事業展開について説明

2001年12月17日 15時39分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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マイクロソフト(株)は17日、Microsoft .NETに関する開発者向けイベント“Microsoft .NET Developers Conference 2001/winter”の開催に先立ち、報道関係者向けに“Microsoft .NET My Services(ドットネットマイサービス)”(開発コード名:HailStorm)に関する説明を行なった。

米MS上級副社長
説明を行なった米マイクロソフト社開発者およびプラットフォームエバンジェリズム担当シニアバイスプレジデントのEric Rudder氏

Microsoft .NET My Servicesは、Microsoft .NETの中核である“XML Webサービス”のソフトウェア基盤として同社が提供するサービス。ユーザーのプロフィールや連絡先、スケジュールなどの個人情報をインターネット上に保管し、いつでもどこでもどのようなデバイスからでも取り出せるもの。

従来、あるウェブサイトから異なるウェブサイトにアクセスした場合、それぞれのサイトごとに個人情報を手入力する必要があるが、ユーザーが事前に.NET My Servicesへ情報を登録していれば、各サイトが提供するXML Web サービスで、その情報を共有できるようになる。

.NET My Servicesでは、下記のサービスが提供される。
  • .NET Alerts:あらかじめ登録しておいたアイテムに関する通知をユーザーがいつでも受け取れるようにする
  • .NET ApplicationSettings:ツールバーやアイコンなどの設定情報を格納できる
  • .NET Calender:スケジュールを格納できる
  • .NET Categories:ユーザー独自の情報分類基準を作成できる
  • .NET Contacts:連絡先情報を格納できる
  • .NET Devices:ユーザーが利用するデバイスに関する情報を格納できる
  • .NET Documents:ドキュメントの格納場所
  • .NET FavoriteWebSites:お気に入りのウェブサイトを登録できる
  • .NET Inbox:Hotmailなどの電子メールサービスを利用できる
  • .NET Lists:任意の種類のリストを作成できる
  • .NET Location:ユーザーの所在情報を登録し、自分への連絡方法を通知できる
  • .NET Presence:ユーザーのオンライン状態(在籍中、電話中など)を他ユーザーなどに通知できる
  • .NET Profile:氏名、住所、誕生日などの個人情報を登録できる
  • .NET Wallet:クレジットカード番号などの決済情報を格納できる

これら.NET My Servicesに登録される個人情報の内容開示やアクセス権は、ユーザー自身が管理できる。ユーザーがXML Web サービスを提供する企業側に情報開示を承認すると、企業からそのユーザーに最適化されたXML Web サービスが提供できるようになる。

同社は、サービス事業者に対し、.NET My ServicesのSDK(ソフトウェア開発キット)を無償で提供する。また、SLA(サービスレベルアグリーメント)は、“エントリ”“スタンダード”“コマーシャル”の3段階を用意するという、エントリは、小規模アプリケーション向けで年間1000ドル(約12万8000円)/アプリケーションごとに250ドル(約3万2000円)を徴収する。スタンダードは本格的ビジネスアプリケーション向けで、年間1万ドル(約128万円)/アプリケーションごとに1500ドル(約19万2000円)徴収する。コマーシャルはより高度なサービスレベルやサポートに対応するもので、個別契約による金額設定となっている。

エンドユーザーに対しては、基本サービスは無償で提供されるが、将来のMSNやOfficeといったアプリケーションサービスは、情報量や利用量に応じて課金を行なうという。

説明を行なった米マイクロソフト社開発者およびプラットフォームエバンジェリズム担当シニアバイスプレジデントEric Rudder(エリック・ラダー)氏は、「Microsoft .NETは、XML Web サービスのためのプラットフォームである。.NET My Servicesは、ユーザーを中心に展開されるもの。例えば、.NET Alertsは、商品の発送やオークションの最新情報など最適なタイミングと手段でユーザーに通知できるコミュニケーションツール。ユーザーの設定にしたがって通知先デバイスを選択でき、ユーザーが指定しないアラートは配信されない」

「またユーザー認証サービスとして、.NET Passportを提供する。これによりインターネット上でシングルサインインを実現できる。'99年のサービス開始以来、アカウントは全世界で2億件以上、毎月35億件の認証が行なわれている。.NET My Servicesの普及促進のためには、企業/組織の壁を越えた認証サービスの協調が必要だ。複数の独立したシステムを協調させてることで、ひとつの大きな認証ネットワークの構成を実現したい」と語った。

なお、.NET My Servicesでの協調については、当初はマイクロソフトがすべてのサービスのホスティングを行なうが、将来的にはマイクロソフト以外のサービス事業者や企業でのホスティングも可能にするという。

また、.NET My Servicesと各種アプリケーション、サービス、デバイスとのアクセスには、HTTPやDIME、XML、SOAPといった標準的なプロトコルを利用し、OSや開発言語を問わずアクセスを実現するという。

プライバシー保護に関しては、ユーザー情報の管理やアクセス権の設定をユーザー自身が行なえるようにし、またマイクロソフトが.NET My Servicesおよび.NET Passportのデータを2次利用することはないとしている。

.NET My Servicesは、Windows XPやOffice、MSN、Pocket PC、Visual Studio .NET、Windows CE、Xboxなどで対応予定となっている。本日開催のDevelopers Conferenceでは、.NET My Services SDKの早期評価版が提供された。今後2002年より試験運用がスタートし、ローカル環境による評価、インターネット上でのテストが行なわれた後、2003年に本格運用開始となるという。

なお同社は、国内での.NET My Servicesの事業展開に向けて、(株)ジェイアール東日本情報システム、(株)ジェイティービー、(株)ニッセン、東日本電信電話(株)の4社と協力し、早期評価およびアプリケーションの開発、検証を開始した。JR東日本情報システムは.NET My Servicesを利用した個人向けポータルサイトを、JTBはツアー予約サイトを、ニッセンはインターネット通信販売サイトを、NTT東日本は個人向けビデオ予約配信サービスサイトをそれぞれ構築し、早期評価を行なうという。

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