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Adobe Illustrator 10 日本語版

Adobe Illustrator 10 日本語版

2001年12月21日 14時27分更新

文● 伊藤 裕也

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Adobe Illustrator 10 日本語版

アドビシステムズ

オープンプライス(アドビストア提供価格 7万9500円)

イラストの作成からWebページのデザインまで対応する、プロ向けのベクターグラフィックスソフト「Adobe Illustrator」がバージョンアップし、1月中旬より店頭での販売を開始する。今回のポイントは、作業効率の向上とWeb対応の強化だ。

面倒な処理をカンタンに

Adobe Illustrator 10のメイン画面。用意されているシンボルを組み合わせるだけでも、かなり見栄えのするイラストが手軽に作成できる。
 Adobe Illustratorの最新版「Adobe Illustrator 10 日本語版」(以下、Illustrator 10)では、フォトレタッチソフト「Adobe Photoshop 6.0」やWebページ作成ソフト「GoLive 5.0」との連携強化から、パフォーマンスの改善、さらにはツールの拡張まで、数多くの機能強化・拡張がなされている。ここではその中でも、「シンボルの導入」「ワープ機能の搭載」「複合シェイプの強化」に注目して紹介していこう。



シンボルを使うと、このようなイラストも簡単に作成可能だ。これらの泡は、すべてたった1つのシンボルから作成されている。
 Illustrator 10のシンボルとは、同じカタチのオブジェクトを効率よく作成するための仕組みのこと。シンボルとして登録できるのはベクターシェイプやテキスト、ラスターイメージなどのオブジェクトで、一度登録してしまえば、以降その複製(シンボルインスタンス)を簡単に作業領域に表示できるようになる。Webページに並べるボタンなど、同じカタチのオブジェクトをいくつも用意するような局面で役立つ機能だ。なお、作業領域に配置した複製は、新設された「シンボル」ツールによって透明度や大きさ、色などの属性が変更可能だ。従って、同一でなくともよく似たオブジェクトを多数作成する場合にも有効である。



ワープ機能によるサンプル。アーチ形状はライブ変形効果によるもので、後からオブジェクト(ここではテキスト)の編集が簡単に行える。
 ワープ機能は、選択したオブジェクトをさまざまな形に素早く変形できる機能だ。あらかじめ用意されている形状は「上弦」「下弦」「アーチ」「旗」など全15種類で、いずれもカスタマイズ(設定の調整)が可能である。この効果はオリジナルのオブジェクトを変更しない(「ライブ効果」と呼ばれる)機能で、変形後でもオブジェクトの編集が通常どおり行えるところがポイント。従来、このように変形させる(ワープ効果を付加する)にはパスに沿ってテキストを流し込んだり、テキストからアウトラインを抽出して編集を行ったりと、面倒な作業が必要だったが、ワープ機能の搭載によって面倒な手順は大幅に省略される。



エンベロープのサンプル。ここではテキストを変形させているが、ベクターシェイプやラスターイメージへの適用も可能だ。なお、画面はβ版のもので、製品版とは異なる可能性がある。
 また、オブジェクトの変形に関していえば、Illustrator 10では「エンベロープ」も搭載している。エンベロープとはオブジェクトをパスの形状に沿って変形させる新機能だ。これにより、複雑な変形効果も最小限のステップで得ることができる。

 一方、複数のベクターシェイプを組み合わせた複合シェイプについては、今回のバージョンから複合前のオブジェクトを個別に選択・操作できるようになった。従来同様、単一のパスに変換(合成)することも可能で、扱いやすいほうを選択して柔軟に操作できるようになっている。

 ほかにもJavaScript/VBScriptによるスクリプトコントロールに対応するなど、今回のバージョンでは特に使いやすさに関係するポイントが特に目立っている。

 また、本稿では使いやすさに重点をおいたが、スライスツールの搭載にSVGファイルの読み込みのサポート、「ドロップシャドウ」「ぼかし」といったライブSVG効果の追加、Macromedia Flashファイル(SWF)の対応強化など、Web関連の強化についても今回のバージョンアップは注目すべきものがある。

 価格はオープンプライス。アドビシステムズの運営するオンラインストア「アドビストア」では、Illustrator 9と同じ7万9500円で販売される予定だ。従来版の登録ユーザーは2万5000円でアップグレード版を入手できる。グラフィックデザインやWebデザインに多少とも関わっている人にとって魅力あるソフトなのはもちろん、従来バージョンを持つユーザーもバージョンアップの価値はあるだろう。



スライスはオブジェクトベースで、指定したオブジェクトの位置を変更した場合には自動的に再構成が行われる。試行錯誤しながらページを作成するような場合には、かなり便利な機能。もちろん、スライスの設定はユーザー自身の手で直接行うことも可能だ。
Adobe Illustrator 10 日本語版の主なスペック
製品名 Adobe Illustrator 10 日本語版
対応OS Windows 98/Me/2000/XP
CPU PentiumII以上
HDD 180MB以上

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