■気化式クーラーの組み立て
約10日後、製作依頼した部品が納品されてきた。理想的には熱伝導性を考えて気化室は銅製、本体は内部が見えるよう透明にしたかったのだが、納期と制作費の関係で素材はアルミを使用した。全アルミ製で銅製クーラーを越える性能を発揮してこそアイデアの勝利。KO勝ちというものだ。ヒートシンクとのシールは、本来ならば溶接かパッキンを使用したいところだが、経費節減のため接着剤で固めることにした。これが後に悲劇を招くことになるのだが、この時点では非常に良いアイデアだと思っていた。
まずはヒートシンクを加工し、各パーツを仮組みする。特に問題なく設計通り組みあがることが確認できたので、各接合部分に耐熱タイプの接着剤を塗布し組上げる。ウィックの代りに使用したのは同軸ケーブルのシールドに使われている銅製の網。当初ウィック用にはタコ糸を用意していたのだが、熱伝導性が良好な銅製のより糸がないかと身の回りを捜してみたところ、これが一番理想に近かった。鈴池氏のオーバークロック研究室を見てハンダ吸取り線も用意したが、これはフラックスがついているため水を弾いてしまう。
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ヒートシンクにはもともとファンの取り付け用にM3のタップ穴が明いているが、ネジ止めできるよう片方だけ4mmのドリルを通し、周辺のフィンを切除する |
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CPUと接触して作動液を気化させる気化室。左側に見えるのが同軸ケーブルを分解して取り出したシールド線(銅網) |
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水蒸気との接触面積を増大させるため内部には銅網(同軸ケーブルのシールド線)を押し込む。各部品の接合部は接着剤でシール |