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ソフォス、事業戦略説明会でメールサーバー向けアンチウイルス製品を発表

2001年12月07日 23時25分更新

文● 編集部 佐々木千之

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企業向けアンチウイルスソフトを手がけるソフォス(株)は7日、都内で報道関係者を招いて、本社である英ソフォス社CEO兼創業者のヤン・フルスカ(Jan Hruska)氏による事業戦略説明会を行なった。あわせて電子メールサーバー向けアンチウイルスゲートウェイソフトウェア『MailMonitor for SMTP』の発表も行なった。

英ソフォス社CEO兼創業者のヤン・フルスカ氏
英ソフォス社CEO兼創業者のヤン・フルスカ氏

フルスカ氏によるとソフォスは英ソフォス社が全額出資した日本法人で、2000年7月に設立した。親会社の英ソフォスは'80年にフルスカ氏らが設立した独立系のソフトウェアハウスで、企業向けのアンチウイルスソフトウェアの開発・販売・サポートを行なっている。米国、オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、シンガポールに全額出資子会社を持つほか、パートナー企業を通じて120ヵ国で製品を提供しているという。

ソフォスの特徴は、企業向けのアンチウイルスソフトに絞って事業を展開していることで、そのソフトウェア製品も、「(個人向け製品のような)小さなものから徐々にスケールアップしたのではなく、最初から企業向けのスケーラブルな製品を開発した」としている。

フルスカ氏が示した、ソフォスの国別売り上げグラフ。奥から、英国、米国、ドイツ、オーストラリア、フランス、日本となっている
フルスカ氏が示した、ソフォスの国別売り上げグラフ。奥から、英国、米国、ドイツ、オーストラリア、フランス、日本となっている

ソフォスはヨーロッパのアンチウイルス関連企業としては最大、世界全体でも5番目の地位にあるという。同社の顧客としては、英ボーダフォン グループ社、米KPMGコンサルティング社、Royal Bank of Scotlandなどがおり、日本でも企業名は出せないが600社の顧客がいるという。

ソフォスのウイルス研究体制
ソフォスのコンピューターウイルス研究体制

フルスカ氏は同社のソフトウェアの特徴の1つとして、22ものプラットフォームに対応していることも挙げた。毎月1000以上も発生するウイルスを同社が検知すると、同社のウイルス研究所で解析し、1つ1つを“VDL(ウイルス記述言語)”と呼ぶコードで記述する。それぞれプラットフォーム向けの製品に核として組み込まれている“Virus Engine”に対して、このVDLで記述したウイルスの性質を送ることで、すべてのプラットフォームで一斉に対応できるとしている。また、このウイルス研究所のほか、“Blue skies research”という、同社の製品が未対応のプラットフォームのウイルスを研究しているグループもあり、6ヵ月前に初のPalm OS向けウイルスが発生したときも、発見から2時間後には対応できたとしている。

フルスカ氏の示した最近のウイルスの傾向によると、32bit Windowsプログラムプラットフォーム向け“W32ウイルス”、主にオフィスアプリケーション(米マイクロソフト社製に限らない)向けの“マクロウイルス”、“スクリプトウイルス”は登場以来、ウイルス発生件数の上位を占めているが、この傾向はこれからも続くという。かつて流行ったHDDやフロッピーディスクのブートセクターに感染する“Bootウイルス”は減少傾向にあるとしている。また、最近現れたのがコンピューターネットワークのセキュリティーホールを使って広がっていくタイプの“Network awareウイルス”で、これは感染したコンピューターへ侵入できるようにする(Backdoorを作る)“トロイの木馬型ウイルス”とともに、さらに増加していくだろうと予測した。

フルスカ氏が示したユニークなグラフ。右肩上がりになっている赤い線がコンピューターウイルスの発生件数で、黒い線で書かれたのこぎり状の線はウイルスの発生がメディアに取り上げられた件数を示している
フルスカ氏が示したユニークなグラフ。右肩上がりになっている赤い線がコンピューターウイルスの発生件数で、黒い線で書かれたのこぎり状の線はウイルスの発生がメディアに取り上げられた件数を示している。最近の傾向は「一斉に取り上げられるが、数日後には全く報道されなくなる」

フルスカ氏は、米国のFBIがトロイの木馬型ウイルス“Magic Lantern”を作り、犯罪者のパソコンの情報を得るという研究を実際に行なっているが、アンチウイルスプログラムメーカーの中では、このウイルスの対策をすべきかどうか議論となっているというエピソードを紹介した。

同社の今後の製品戦略については、これからも企業向けアンチウイルス製品に絞ってサポートしていくことが確認された。この理由は、対象を絞ることで、サービスの質を保つためだとしている。

電子メール専用アンチウイルスゲートウェイソフト

続いてソフォス代表取締役社長のアラン・ブロデリック(Alan Broderick)氏が、新製品『MailMonitor for SMTP』を紹介した。

ソフォス(株)、代表取締役社長のアラン・ブロデリック氏
ソフォス(株)、代表取締役社長のアラン・ブロデリック氏

MailMonitorは、SMTPサーバーと、インターネットの間でゲートウェイとして動作するアンチウイルスソフト。メールサーバーに届く電子メールと、メールサーバーからインターネットに送信される電子メールについて、その添付ファイルも含めて、ウイルスに感染していないかどうか監視する。ウイルスに感染した電子メールを発見すると、管理者、受信(予定)者、送信者に警告を発するほか、設定によって感染ファイルの駆除、削除、隔離などの処理を行なう。添付ファイルについては、ZIPやARJ、LZH、GZIPなどの圧縮形式であってもその中身をスキャンできる。MailMonitorは基本的にはメールサーバーとは別のコンピューターにインストールして使用する。プラットフォームはまずLinux向けの製品をリリースし、順次ほかのプラットフォームに拡大する予定。

MailMonitorは、同社のデスクトップ向けアンチウイルスソフト『Sophos Anti-Virus』と同様に7000種類以上のウイルス、ワーム、トロイの木馬型ウイルスなどに対応でき、Anti-Virusと組み合わせることによって、企業をウイルスから守るとしている。

MailMonitorは27日に出荷開始。価格については、規模により異なるが、50ユーザーで13万5000円としている。

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