「SGI Solution3 Fair 2001」メインデーのGeneral Sessionでは、まず、同社代表取締役社長である和泉法夫氏が挨拶し、日本SGIの技術的資産と、11月9日に開始された日本電気(株)(以下、NEC)、NECソフト(株)(以下、NECソフト)との資本提携のメリットについて説明した。
![]() | 日本SGI(株) 代表取締役社長 和泉法夫氏 |
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同氏はNEC、NECソフトとの提携について「外資系と呼ばれる企業の新しいモデルとして、日本のマーケットに根ざしたビジネスを展開する」とし、同社の技術的資産である、3次元コンピュータグラフィックス技術を生かした可視化技術、HPC技術、「ブロードバンド」に対応したリッチコンテンツ配信技術を活かしたソリューションを提供するとした。さらに、従来外資系企業では困難だった全国規模のネットワークをNECとの提携によって実現し、NECソフトとは人的資源の交流を図り、日本のマーケットに根ざしたビジネスを展開するとした。
次に、米Silicon Graphics(以下、米SGI)会長兼CEOであるロバート・ビショップ氏が登壇し、米SGIの戦略について語った。
![]() | 米SGI会長兼CEO ロバート・ビショップ氏 |
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同氏は、現在米ロッキードの次世代戦闘機開発シミュレーションや、米軍の戦場可視化など、ミッションクリティカルな領域での実績をアピールした。また、今後の戦略については、「最大の“ITプレーヤー”ではなく、最高の“ITプレーヤー”を目指す」とし、独自の技術で他社との差別化をはかり、さらに付加価値をのせることで、顧客の事業の中心的な部分にアピールする製品を作る考えを明らかにした。
引き続き、米SGI上級副社長兼CTOであるイングリム・ゴウ氏が、今後の製品展開について説明した。
![]() | 米SGI上級副社長兼CTO イングリム・ゴウ氏 |
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同氏は、2003年から2005年までに市場に出す製品について、現在512プロセッサのSMPシステムを供給しているが、将来的にはレイテンシをさらに下げ、1000プロセッサ以上で1つのメモリ空間を利用できるシステムを提供することや、IA製品についても、MckinleyとLinuxを組み合わせた、ハイスケーラビリティ製品を提供することなどを明らかにした。MIPS製品については、消費電力が少ないといったメリットを利用し、現在2Uサイズのマシンに4つのプロセッサを搭載したモデルを販売しているが、将来はさらに高密度の、1Uサイズで8CPUを搭載したマシンを開発し、「1Tflopsの計算能力を1ラックで提供したい」と語った。
最後に、慶応義塾大学教授の中島洋氏がモデレーターをつとめたパネルディスカッションが行なわれた。
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パネルディスカッションのようす |
パネラーには、日本SGI社長の和泉氏、米SGIのロバート・ビショップ氏、イングリム・ゴウ氏、NECソリューションズカンパニー社長である金杉明信氏、NECソフト(株)代表取締役社長である関隆明氏が参加。NEC、NECソリューションズと日本SGIの戦略的提携について説明した。
中島氏からは、3社の提携によるそれぞれのメリットなどについて質問され、日本SGIでは、NECの保守管理網を利用できる点やNECソフトとの人材交流、NECからは、NECのHPCソリューションと日本SGIの可視化ソリューションをバンドルした新しいソリューションを提供できる点、NECソフトでは人材交流による人材育成や、同社のSI事業でのビジュアライゼーションソリューションの強化を挙げていた。
また、一部報道にあった、日本SGIがNECの子会社になるという報道については、NECとNECソフトが日本SGIの株式の60%を保有しており、連結会計上の子会社ということにはなるものの、日本SGIの執行役員構成には大きな変更はなく、経営に対して影響力を持つものではないことが強調された。また、NECとSGIとの協力関係はMIPSプロセッサの開発時から続いているものであり、今後このような関係をさらに拡大し、MIPSベースのシステムをさらに拡張性の高いものにしてゆくためにも、今回の戦略的協業が重要であることが説明された。
