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三井物産、ネットワークセキュリティーサービス事業を開始

2001年11月27日 19時36分更新

文● 編集部 田口敏之

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三井物産(株)は26日、12月1日に、同社ITソリューション事業部内に“GTI(グローバル・トラスト・アンド・インテグリティ)プロジェクトセンター”という組織を発足し、企業向けにネットワークセキュリティーサービスを提供すると発表した。

三井物産の岡田氏三井物産情報専業本部ITソリューション事業部eアプリケーションプラットフォーム室シニアコンサルタントの岡田卓也氏

同社によれば、ファイヤーウォールやIDS(※1)といったセキュリティー製品の売り上げが近年大幅に伸びてきているものの、不正アクセスの被害件数も増大しているという。これについて、同社情報産業本部ITソリューション事業部eアプリケーションプラットフォーム室シニアコンサルタントの岡田卓也氏は「原因は、設置した製品の能力に依存してしまっているため。製品を設置した後も、それを人間が管理しバックアップすることが必要」と指摘した。また、アウトソーシングによる、ウイルスや不正侵入対策などのセキュリティーサービスや、障害復旧やシステム調整などを含む運用サービス、ハードウェアやシステムリソース等の24時間監視サービスなどを希望する企業も多いという。

※1 IDS(Intrusion Detection System):不正侵入検知システム。ネットワークに流れるパケットを常時監視し、ポートスキャンニングやDoS(Denial of Service)攻撃、DDoS(Distributed DoS)攻撃といった不正アクセスの兆候を検知するハードウェアシステム。

GTIプロジェクトセンターが提供するサービスの概要
GTIプロジェクトセンターが提供するサービスの概要

こうした要求の高まりを受けて、同社は岡田氏をプロジェクトジェネラルマネージャーとするセキュリティーの専門家集団“GTIプロジェクトセンター”を組織した。併せてサービスを提供するための施設としてセキュリティーテクノロジー検証・評価専用ラボと、集中監視センターを開設した。これにより、企業内のセキュリティー体制を強化するためのコンサルティングサービスや、セキュリティーポリシーの設計支援サービス。また、ネットワークの脆弱性評価を行なうナレッジサービス“FrontLine”や、24時間体制の不正侵入監視サービス“Hawk Eye”を提供する。

これらのサービスを導入することによって、企業は自社のセキュリティー体制の現状を把握し、それを運用していく上で必要な情報を収集でき、侵入リスクを把握することで不正侵入の防止が可能になるという。

『CIESEH』によるセキュリティーシステムの図
『CIESEH』によるセキュリティーシステムの図

24時間監視システムには、シンガポールのe-Cop.net社が独自に開発した、統合不正アクセス監視システム『CIESEH(サイサー)』を利用している。これは、IDSが発する警告を分析・管理する装置“イベントマネージャー”を企業のシステム内に設置し、不正あるいは未知のアクセスが行なわれた際に監視センターに警告を発して、攻撃方法の解析と攻撃元からの通信を遮断することで、迅速な防御対策を実施するというもの。e-Cop.netでは、11月の時点で1250種の不正アクセスに関するデータベースを保有しているという。

岡田氏は、「IDSは、駅の自動改札に似ている。不正な定期や切符は通さないが、どんな客が切符を持っているかまでは監視していない。これを監視するシステムが“イベントマネージャー”であり、さらに監視センターからのサポートを行なうことで、不正なアクセスを行なおうとしている者が、どこから来てどこへ行こうとしているのかを判別して遮断できる」と語っている。

また同システムの特徴として、複数のベンダーのファイヤーウォールおよびIDSに対応していることが挙げられる。11月の時点で、17社23機種の製品に対応しており、企業が未対応の機種を利用している場合も、10日以内で対応できるという。これによって、企業は監視のためのセキュリティーハードウェア、ソフトウェアへの新たな投資の必要がないという。

これらのサービスの販売は、パートナー企業を経由して行なう。料金は、コンサルティングサービスおよび“FrontLine”などは企業ごとに設定し、“Hawk Eye”は月額30万円からとなっている。

同社は、大手企業やデータセンター、ISPなどを対象にサービスを提供する計画で、初年度10億円、3年後までに50億円の売り上げを見込んでいる。また、GTIプロジェクトセンターを、2002年半ばに分社化する予定だという。

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