ADSLやCATVインターネットの急速な普及とともにブロードバンドルータの低価格化が進んでいるが、これら実売価格が1万円前後の製品は機能を最低限に絞ることで低価格化を実現している。これにより家庭/SOHO向けブロードバンドルータは、価格を重視したベーシックな製品と、豊富な機能を備えるハイエンドモデルに大別される傾向にある。今回紹介するヤマハのADSL/CATV対応ブロードバンドルータ「RTW65b」は後者であり、無線LANや高度なセキュリティ機能を搭載する充実した内容を持つ製品だ。
万全のセキュリティ機能による信頼性の高さが魅力
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本体前面に7つのLEDインジケータを装備し、回線がリンクアップすると点灯、通信中は点滅するなどして動作状態を伝えてくれる。背面にはLAN/WAN回線用のEthernetとUSBポートをそれぞれ1つずつ装備。複数のPCを接続する場合は、別途ハブを用意するか無線LAN機能を利用する。 |
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本体上部のカバーを外すと無線LANカードにアクセスできる。本体背面上部の小さな穴を利用して無線LANの外部アンテナを取り付けることが可能だ。 |
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本体機能の設定は基本的にWebブラウザから行う。充実したヘルプが用意されているので迷うこともない。このほか、TELNETクライアントでコマンドラインからより詳細な設定を行ったり、USB接続したPCからATコマンドでTA機能を設定できる。 |
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ファイアウォール関連の設定項目は豊富に用意されており、初心者でも7段階のセキュリティレベルを利用して簡単にファイアウォール設定を変更できるほか、慣れたユーザーなら利用環境に合わせて細かく設定できる。 |
そのほかにも、ポートフォワードによるLAN上のサーバの公開、次世代インターネットプロトコル「IPv6」への対応、メールの着信通知/自動転送機能など、個人ユーザー向けとしては申し分のない機能を搭載している。
また、面白い機能として「ブロードバンドTA」の搭載が挙げられる。これはPCとRTW65bをUSBで接続し、PCからはTAやモデムを使ったPPPによる通常のダイヤルアップ接続に見せかけつつ、PPPoEによるADSLインターネット接続を利用できる機能だ。これを使えばIPアドレスの割り当てはPCに対して直接行われるので、ICQやホスト-クライアント形式のネットワークゲームといった、ルータがIPアドレス変換を行うとうまく動作しないアプリケーションでも簡単に利用可能になる。しかもADSL事業者が複数の接続をサポートていれば、有線/無線LAN上のPCは通常のルータ機能を使って同時にインターネットにアクセスすることも可能だ。ただし、ブロードバンドTA機能がサポートする接続形態はPPPoEのみでCATVはサポートせず、パケットフィルタなどのセキュリティ機能が利用できない点に注意したい。
CPUにSH3を搭載するRTW65bのパフォーマンスだが、スペック上のWAN-LAN間スループットは、LAN側が有線接続の場合、IPアドレス変換やフィルタリング機能を利用しない最大値で約7.5Mbps、CATV接続のデフォルト設定であるセキュリティレベル4の状態で約5.5Mbpsとなっている。
実際に編集部でftpによるWAN-LAN間のスループットを計測してみたところ、IPアドレス変換を利用しセキュリティレベル1(最弱)の設定で約6.6Mbps、レベル7(最強)の状態でも約6Mbpsとなった。多くのADSL/CATVインターネット利用者には十分な性能と言えるだろう。
価格はオープンプライスで、店頭価格は3万円台前半となっている。スループットが6Mbps前後とやや中途半端なのがマイナスポイントだが、充実したセキュリティ機能とUSB接続、そして無線LANが加わった多機能ぶりは非常に魅力的だ。無線LAN環境を利用するヘビーユーザーにはお勧めの製品といえる。
接続回線 | ADSL、CATV |
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WAN側インターフェイス | 10BASE-T/100BASE-TX×1 |
LAN側インターフェイス | 10BASE-T/100BASE-TX×1、無線(IEEE802.11b)、USB |
サイズ | 71(W)×184(H)×137(D)mm |
重量 | 約700g |
